ひろむside


教室の外は雨が降りだした


あ、、こんな雨の日だったな…

雨で遠くの緑が霞んで見えた


日頃、見かけない派手めなジャケットに

ジーンズ姿の20代位の男が高校の正門の10メートル前を彷徨いていた。見るからに高校には関係なさそうだし、誰かを探してるみたいで二人組の女子に声を掛けた


「この高校ってさ、ユリナがいたよね?」


「…」


「警戒しないでよぉ、ユリナの彼氏知ってる?」


「知りません!先生を呼びます」


二人は正門に向かって走り出した


「偏差値の高い学校はお堅いよなぁ」

男は独り言を言いながら、スマホを見ている


自分を探してる…?

今までに感じた事のない恐怖で、傘で身を隠しながら正門まで早歩きしだした

何が起こってるんだろう


教室に入ると自分の顔を見てはコソコソと話す奴もいたし、誰も面倒なことには関わりたくないって事かよく分かった


昼休みに入ったら、予想通りに西先生に呼ばれた


「髙塚…、ごめんな」


朝の不審者は週刊誌の記者で、PTAから高校に猛抗議があったらしい。元々、進学校で一部の保護者からは軽音楽部に対して目立ちすぎとかチャラチャラしてる声も事実だ。元に自分も金髪にしてるから、言い訳も出来ない


芸能人になりたいなら他の高校に行けば良かったのに、、しかも彼氏が同じ軽音楽部にいるなんてね、


憧れや称賛なんて、あっという間にカタチを変えていくんだ…


 

西先生は田島さんに状況を説明したけど、週刊誌を止めることも出来ないし、更にエスカレートする可能性もあること。

ただ、高校に行ったりすることは厳重に警告したと聞いた…

でも…また、いつ高校にも迷惑かけるかも知れないし、ユリナ先輩のデビューに何かあったら…


それだけは、阻止しなければならないんだ


「西先生、相談があります…」


「すぐに転校させてください。」