ユリナside


マネージャーの田島さんから音響室に呼ばれて

何となく分かってた。

事務所にデビュー前の新人から好きな人と

交際を続けたいなんて条件だすなんて

あり得ないこと。

契約解除されてもおかしくない話しなのに

田島さんは真面目な顔をして


「ユリナの希望が叶えられるように事務所にも

髙塚くんにも話すよ」


最初で最後のわがままだった。

そして、最後の賭け…


ホントは不器用な自分を受けとめてくれる、たった一人の大切な人、、

高校を休学してから会えないことが、こんなに

苦しいなんて思わなかった…

毎日のライン。寝る前には必ず声を聞かせてくれることは変わらない…

それなのに、会いたくて会いたくてたまらない…


こんなに好きだなんて、ようやく気づいた


デビューまでのスケジュールは事務所の

期待の証で、韓国、LAの世界レベルの

レコーディングとMV撮影…

そして、世界デビューは3カ月後に決定していた



田島さんから近くのカフェに呼び出された

優しい田島さんは私の顔をあまり見ないから

結果は良くないってすぐに分かった


「私なら大丈夫です。

今は仕事を集中しますから、

迷惑かけてごめんなさい」


そう伝えるはずだった…


「田島さ…


スマホが鳴って、田島さんがごめんって顔をした


「あ、はい。田島です。

えっ、どういうことですか?

わかりました、すぐに戻ります」


初めてみる動揺した田島さんに心臓が

早くなる…


何が起こったんだろうか



そして、嵐のように…私の大切な人の

人生をかえていく