ひろむside


西先生から突然応接室に呼び出されたのは

先輩が芸能活動を優先することから

高校を休学すると聞いた頃だった。


学校は先輩と付き合ってる事は知ってる

筈だったから、先輩の事務所側から

今後は会わないで欲しいって話しだろうな…って

薄々感じてたし、もちろん構わないと思ってた。

先輩には世界に羽ばたいてもらいたい。


応接室なんか初めて入るわけで、

西先生と学年主任の先生、校長まで揃っているし

かたや有名芸能事務所らしく、高そうなスーツをビシッと決めたイケメンのマネージャーらしい男性が

俺をみるなり即、立ち上がって深々とお辞儀をされたから驚いてしまった。



「はじめまして、髙塚くん。

いつも、ユリから君の話しを聞いてるよ。

僕は彼女のマネージャーの田島です」


さりげなく名刺を俺の前に差し出した。

初めての名刺にとりあえず手を差し出したら

名刺に小さく、後で裏をみて。の文字。

裏には田島さんの手書きの個人の携帯番号。




田島さんの話しは先輩は俺と今後も付き合いたいと希望していること。

事務所サイドも特別に了承してること。

学校側にも理解してほしいと伝えられた。


先生達も俺も先輩と別れてほしいって話しだと思ってたから、

ふいに西先生が真面目な顔て


「ありがとうございます」


って…ちょっと笑った。

だけど、田島さんに正直に伝えようと思ってた。


「僕はユリナ先輩をずっと応援したいと思ってます

先輩が…僕と付き合っていきたいと思ってることは

本当に嬉しいです。

僕にとっては大切で大好きな人だから… 

だけど、先輩の夢を叶えてほしい、世界を目指せる人の側にいる事に僕は自信がないんです」


「すみません…」


田島さんに頭をさげた。


正直な気持ちだった。今まで、先輩の隣りに相応しい人間になる為に勉強も部活も頑張ってきた…

本当は自分自身に嘘をついてるようで苦しかったのかもしれない、


「…髙塚くん。ありがとう。

君はユリを本当に大切に思ってたんだね」


「先輩には自分から伝えます」

たくさんの感謝を込めて話せる時間が欲しい


「うん、分かった。時間を作るから髙塚くんの

連絡先を教えてくれる?」


「はい」


田島さんから先輩と相談して後日連絡すると約束した



終始、西先生は涙ぐんで、

「自分の気持ちを伝えようとする髙塚はスゴいよ…

ユリナも分かってくれるよ」


田島さんは少し複雑な顔をしたけど、皆んなにお礼を言って柔かに笑顔で帰って行った


その翌日、田島さんから連絡があった…