ひろむside



初めて先輩に会ったのは中高一貫の学校の

中等部に入学した日だった


元々、音楽が好きだったこともあるけど

入学式の軽音楽部の歌に感動して

キレイな歌声とキレイな先輩に見惚れてしまってた

当時から学校の人気者の彼女は明るくて

優しくて誰もが憧れてる存在



ただ、同じ部活の後輩として遠くから見る

だけで十分満足だったし、当時の軽音部の人気は

凄まじくて到底話すことなんて不可能だった


俺が中等部3年で先輩が高等部1年の時に

突然、先輩から


「私の彼氏になってくれないかな」


今でもあの衝撃は忘れられなくて

あまりにも驚いた俺の顔をみて

先輩は大笑いした


「キミを選んで良かった」


その言葉が忘れられない…

最初は先輩の人気が凄くて、他校の生徒から

告白されたり、待ち伏せされたりされるから

彼氏のフリを頼まられたと思った

もちろん、本気じゃなくてあくまで

彼氏のフリでも、先輩の隣りにいる以上は

成績も常に学年トップていたい…

少しでもカッコよくしたいから髪も

金髪に染めた


そして、誰もが認める学校公認のカップルに

なったはずたった




だけど、だけど…俺にとっては…

憧れの尊敬する先輩で…

スターになるべき人で、、

笑った顔も拗ねた横顔も大好きだったのは

事実だった


でも、恋ではなかった


先輩が高校2年の春に大手芸能事務所から

スカウトされて先輩の幼い頃からの夢が

叶う時がきた

俺は先輩の夢が叶うことが嬉しくて

世界中の皆んなに先輩の歌声を聞いて

欲しかった



「髙塚と別れるならデビューは

しない」


先輩が事務所に条件を突きつけた…