リーside
日曜日
今日はりなちゃんとのデートの日。昨日、出かける前に
着ていく服をメールしてって、尾崎の彼女からの連絡があった
どんだけ、信用ないんだよ・・・
カーキのTシャツにジーンズの俺にしては、いたって無難なコーディネートに
満足したのか、頑張って!と♡の絵文字・・・
待ち合わせの時間より、10分早く着いたら、すでにりなちゃんが先に
着いていた
薄い黄色のブラウスにブルーのスカートが凄く似合っている
「ごめん。待った?」
「ううん。早く来すぎちゃっただけだから」
少し、照れて俯く、りなちゃん、やっぱ、可愛いや・・・
「カフェに行く?」
カフェに入る前にりなちゃんが行きたいというのは
近くの博物館で、ひろむくんに勧めた化石やらが展示している
俺のお勧めの場所だ
聞けば小学生に行った以来だから、久しぶりに行ってみたいって
そういえば、小学校のお約束の遠足コースだったな
もしかして、ひろむくん来てるかも・・・
いやいや、さすがにそれはないか・・・
興味なさそうだったしな
それに、東京じゃ、もっと規模が大きな博物館なんて
いっぱいあるだろう
「変わってないね~」
テンション高めのりなちゃんは、キョロキョロと見渡してる
さすがにイベントもない今日は、人も少なくて
家族連れの姿がちらほらといるだけ
人影が少ないなか、暗めの照明に浮かぶ金髪の姿
あれ?見覚えのある後ろ姿に
ドキッとする
もしかして・・・?
いつも席の前で後ろ姿は見てるから、間違いない
どき、どき、どき・・・
心臓が速くなる・・
マンモスの化石の前で動かない姿・・
何かメモとってる?何やってんの?何が気になってるのか
キョロキョロと挙動不審な動き・・
でもさ、俺が勧めたから、ここにきてるの?
そう思ったら、もう体が動いていた
「ひろむくん?」
「え・・・?」
めちゃくちゃ、驚く姿にちょっと笑った。
慌てて、メモってたノートを素早く、リュックに入れて
何事もなかったようにいつものひろむくん
「あれ?今日、髪染めるんじゃなかった?」
「あ~、なんか面倒になった」
「予約してなかった?」
「14時」
時計は14時10分を過ぎたとこ、風紀委員としても
見過ごせない!
ひろむくんの腕をつかんだ。
「まだ、間に合うから行くぞ!」
「え~、いいよ・・・」
あー、もう、面倒とかなんだよ、
俺が連れていくしかないだろ
ひろむくんの腕をつかんだまま、
「りなちゃん、ごめん!また、今度ね」
博物館を出て、近くのショッピングセンターへ二人で走った
そういえば、俺たちよく走ってんなー
嫌そうに走ってたひろむくんもあきらめたのか
スピードを上げて一緒に走った
ちょっと、目が合ったらひろむくんも笑ってた
何だかドキドキする俺・・・そんなに走ってないのに・・・