リーside

 

1年生や3年生の女子たちが廊下でざわついている

 

原因は俺の前の席に座ってる転校生

東京から離れた地方の高校になぜか一人で暮らしている

ダサいと有名な夏の制服のシャツさえもおしゃれに見えるし

何より・・可愛い♡と女子たちが一目見ようと集まっているらしい・・・

 

確かに、俺よりも背も小さいし華奢だけど

結構、朝もいい走りしてたし・・・

意外に根性ありそうだし、笑った顔もちょっとかわいい・・ような気もする

 

でも、なんだろな、

机に上にある真新しいペンケースも机の上のシャーペンも消しゴムも

誰かが選んで持たせたような違和感というか多分、本人が買ったものじゃなくて

急いで用意して、転校した・・させられた気がする・・・

 

 

いやいや、ドラマの世界じゃあるまいし、こんな地方の小さな町に

そう簡単に小説みたいなことなんてあるわけない

 

教室の窓の外はまぶしいくらいの青空に真っ白な雲が浮かんでいて

平和そのものだ・・・

 

「池﨑、学食行こうや、ほらさ、髙塚くんも一緒にいこうよ」

 

いつも通りに尾崎と彼女が誘いにきた

転校生も誘うところはさすが気がつくし、やっぱ、いいヤツだ

 

「でもさ、今、廊下は危険じゃない?

 パン買ってこよーか。髙塚くんは・・・クロワッサンとか?」

 

尾崎の彼女が嬉しそうに笑う

 

 

「そんな、横文字なんてねーよ。アンパンかやきそばパンの2択しかない」

 

「コロッケパンもあるだろ!」

 

これもいつも通り、笑いあった

 

この町にきた理由もわからないけど、なぜか

目の前にいる転校生が

穏やかな日々が過ごせればいいなと思った