皆さんは曲を演奏するとき、どんな事を思いながら演奏しますか?

私はバンドの中に入って演奏することもあれば、全体の指揮をしたり、分奏やパート練習の指導もしたりするので、いろんな経験をさせていただいてます。

そういった経験の中でどんな事を思いながら演奏しているのかご参考までにご紹介します。

音からのイメージ

これが一番簡単です。
CDや演奏会などで実際に自分が演奏する曲と同じ曲を耳から情報として記憶します。
私はそれを「聞き覚え」と言っています。
メロディーの流れやリズムの感じ、もしくはテンポ感など、耳から聴いた曲を自分のイメージとして持っておいて演奏を行います。

指揮者からのイメージ

指揮者もいろんなイメージを持っています。
「楽譜のここの部分はCDではかなりテンポ早いけど、自分(指揮者)はちょっと遅めの方がいいと思う」
「ここは楽譜に何も書いていないけど、もっとテンポをためたい」
など、指揮者自身のフィーリングを身振り手振りと顔の表情などで表現します。
奏者の立場としては、その指揮者のフィーリングに応じて音のニュアンスを変えていかなければなりません。
もちろん、指揮者と奏者の意見が食い違う事もよくある事ですので、意見のすり合わせは必要です。

楽譜からのイメージ

楽譜にもたくさんのヒントがあります。
華々しい金管のファンファーレから始まる曲なのに、フォルティシモではなくてフォルテと書いてある。
例えば2018年吹奏楽コンクール課題曲「虹色の未来へ」。
この曲の出だしがフォルテの理由は「吹奏楽はフォルティシモだと吹きすぎる傾向があるから」と作曲者は語っていた。
また、音符の長さが4分音符なのか8分音符なのか。
2019年吹奏楽コンクール課題曲 行進曲「道標の先に」の一番最後の音は4分音符で書かれています。
しかし、マーチの最後は行進の隊列が止まるとき、足を揃えて止まるので短くした方が良いという考えもある。
(コンサートマーチととらえるかによっても変わるかも)
だから、作曲者が4分音符で書いた意図も考える必要がある。作曲者自身が生きている人なら直接もしくは間接的に聞けるかもしれないけど、お亡くなりになっている方なら推測しなければならない。

3つのイメージのバランを考える

上記で述べたイメージ以外に曲のストーリーや時代背景、描写の景色、作曲者の性格などいろんな要素があるが、私は上記の3つのイメージが誰しもよく使っている事だと思う。
でも、今回お伝えしたいのはこの3つのバランスです。
私の印象では、アマチュア奏者は特に音のイメージから演奏している場合が多いです。
つまり聞き覚えだけで演奏してしまっているという事です。
作曲者の多くは音符一つひとつこだわって書いています。
作曲者が「こう演奏してほしいな〜」と思って書き記した楽譜をもっと観察してみましょう!
同じフレーズが繰り返されていても演奏している楽器の組み合わせが変わっていたり、音符の長さが微妙に変化している場合があります。
これまで音のイメージを中心に演奏しているな〜って思われた方は一つひとつの音符の確認もして、曲全体を捉えてみましょう!
今まで感じることができなかった曲の新たな表現方法が見つかるかもしれませんよ。