かさこ塾で同期だった
しのちゃんのブログを読んで読みたくなって
小田原の図書館で借りてきて読んだこの上下巻の
分厚い本。
十五の夏
佐藤優
幻冬舎
https://www.gentosha.co.jp/book/b11537.html
https://www.gentosha.co.jp/book/b13243.html
文庫版
ハードカバーは重かった
もう、しのちゃんのこのブログのとおり。
https://jidobungaku.hatenablog.com/entry/2022/01/14/190000
しのちゃん、とっても簡潔にピンポイントにこの本の魅力を伝えていて
さすが過ぎる。
わたしだとどうしても近視眼的になってしまって
何も伝わらずコーフン気味の鼻息しか感じられない
ってことになりそうなんだけど。
何からどう書いていいのか。
まず、わたしは著者の佐藤優さんについて、
でっぷりとしたふてぶてしいお顔をされた(ごめんなさい)
確か何かの罪で逮捕された?
ロシアの外交官だった?
くらいの認識しかなかったです。
著作を読んだこともなかったです。
この本は、旅行記です。
佐藤さんが高校1年の夏休みに、東欧・ロシアを一人旅します。
15歳です。
佐藤さんは、この40日間、ずっとテープレコーダーで録音していたんだろうか?
ずっとビデオカメラで記録していたんだろうか?
っていうくらい
鮮明で詳細な会話。
なんだろう?
記憶で書いたの?
しかも1975年の出来事を2018年に初版。
いつ書いたんだろう?
帰ってきてすぐに記録したのかな?
旅の間に会話まで記録していたのかな?
それとも40年前のことを思い出して書いた?まさか!
わたしが心動かされた場面を何箇所か引用したいと思います。
まずは、しのちゃんも触れていたけど、
優くんのお父さんについて。3箇所。
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(以下引用)
「優君、日本の社会は事務屋が主導している。
事務屋は電気工学の基礎知識に欠けているので、技術的に不可能な無理難題ばかりを言ってくる。
お父さんは若い技師たちとの間に立って事務屋との調整をするのだが、ほんとうに疲れる。
優君が技術屋になるなら、銀行のような事務屋の多い職場では、理解されず、余計な苦労をする。
それだから工場や研究所のある会社に就職した方がいい」
(引用ここまで)
今で言ったら、システムエンジニアさんとかそうなのかな。
役所にメンテナンスに来る、SEさんに、無理難題を言ってたよなあ、みんな。
めっちゃわかる。
優君のお父さん、ナイスアドバイス。
って、ここ引用するのって感じ(笑)
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(以下引用)
「『モスクワわが愛』は、どこが面白くないの」
「カネはかなりかかっているだろう。しかし、ストーリーが上滑りだ。それにロシア人の普通の生活が感じられない」
「普通の生活?」
「そうだ。食事をするシーンがほとんど出てこない」
「確かにそう言われてみると、パーティーで食事をしているシーンしか出てこない」
「食事をするシーンを見ると、その国の人たちの生活がわかる。どうもあの映画で描かれているソ連の生活が、お父さんには血の通ったもののように見えない。
優君は、ソ連を旅行したいと思っているんだろう」
「うん」
「是非、自分の目でロシアの人の生活を見てきたらいいと思う。
もちろん、観光客が見ることができるのは、その国の一部だけだ。しかし、映画や本で知るのと、実際に旅行してみるのとでは、知識の質が全く異なる。
『モスクワわが愛』を見て、お父さんは、優君が直接ソ連を見た方がいいと強く思った」
(引用ここまで)
実際、優君は直接ソ連を見たけれど
ロシア人の日常生活は、この15歳の旅行では知ることができませんでした。
でも、東欧の国では、その国の人の生活を見て味わうことができました。
それがねえ、しのちゃんも書いていたけれど、
本当に美味しそうなんです。
お父さんのこの言葉を優君は素直に聞いて
食事のシーンをこの本の中にふんだんに書いてます。
でも優君は、ちょいちょい食事を抜かします。
眠かったり、お腹いっぱいだったり。
貴重な一食。
(もったいね〜〜)とはわたしの心の声です。
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帰国後、税関であったトラブルについて、お父さんとの会話。
(以下引用)
「知恵とは、生きていくために必要な知識ということ」
「知識だけじゃない。経験だ。
経験を積んでいれば、元北大生がいかがわしい人間だということがすぐにわかる。
こういうことは経験を積まなければわからない面がある。
それから、今回、税関でトラブルがあったことは、浦高の先生はもとより、友だちにも言わない方がいい」
「どうして」
「自分にとって、大きな不利益が想定されることについて、自分から言う必要はない。
先生から尋ねられたときにはほんとうのことを言えばいい」
「しかし、黙っているなんて、嘘をついているようで嫌です」
「嘘をつくことと、ほんとうのことを言わないことは、まったく別の話だ。
真実を語ると、自分にとって大きな不利益が想定されることについては、黙っているというのも大人の知恵だ」
(引用ここまで)
わたしは
「嘘をつくことと、ほんとうのことを言わないことは、まったく別の話だ。」
と言える優君のお父さんみたいな大人になりたいと思いました。
処世術、っていうんでしょうか。
理想論だけじゃなくて
我が子を不利益から守ろうとするすべを
いいタイミングで伝えることのできる大人。
黙っていることは嘘をついていることとは違う。
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あー。
やっぱりピントがずれてる。
この3箇所を紹介したところで、この本の魅力は伝わるわけないのに。
よし、じゃあ、後2箇所、引用しちゃおう。
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ハンガリーのペンフレンド フィフィの言葉。
(以下引用)
「大丈夫だ。おじさんは『昨日はお金を要求して済まなかった』と謝りに来た。
僕からは『外国人のふりをして済まなかった』と伝えた」
「悪い人じゃなかったわけだ」
「マサル、世の中に悪い人なんて、そんなにいないよ」と言って、フィフィは笑った。
(引用ここまで)
「世の中に悪い人なんて、そんなにいないよ」
同年代の違う国の友人に
なんという真理を教えられることか。
1975年の東欧とロシアを旅して、優君は悪い人に出会うことが本当になかった。
ところが、嫌な感じの人に出会うんですよね。旅の終盤に。
それは日本人だった。
うーん。
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日本語を話すハンガリー人の書店員との会話
(以下引用)
「日本で読んだ東ヨーロッパの紀行文には、ロシア語を話すと嫌われると言うことが書いてありましたが、僕が会話帳を見ながらたどたどしいロシア語で質問しても、チェコスロバキアでもポーランド、ハンガリーでも、みんな丁寧に答えてくれました」と言うと、書店員は笑いながら
「言葉に罪はありません。ソ連の政策に問題があるのです。ロシア語を嫌っている訳ではありません」と答えた。
(引用ここまで)
「言葉に罪はありません。」
ってねえ。
サラッとすごいことを言うよねえ。
いや、当たり前のなのかもしれないけれど。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
じゃなくて、ちゃんと切り分けて考えるって大事だよね。
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あー。
ここ?
じゃないよねえ。
この本の魅力を伝えるのはここじゃないよねえ。
じゃあ、最後にもう1箇所。
幼稚園2年目で体操の時間に「それでは悪い見本を見てみましょう」とみんなの前でスキップをさせられ、熱が出て2ヶ月幼稚園を休んだ。
運動機能に問題があるのかと心配した母親が小児科へ連れて行くと
小児科の先生がこう言った。
(以下引用)
「優君の運動能力にはまったく問題がありません。
ただし、この子は感受性が強いので、担任の先生の言葉に過剰に反応しているのだと思います。
幼稚園なんか行かなくても人生に支障はありません。
今の幼稚園に通うのが優君の負担になっているのですから、幼稚園を変えるか、それとも幼稚園に通わずに、自宅にいればいい。
問題の原因は、優君ではなく担任の先生にあります」
(引用ここまで)
優君の周りにはなんといい大人がいたことか。
理解してくれる大人の存在って、その子がその子らしく生きていくときに
大事。
「幼稚園なんか行かなくても人生に支障はありません。」
「問題の原因は、優君ではなく担任の先生にあります」ってね。
言ってくれるお医者さんがいるだろうか。
あー。
ここでもないか。
ダメですね。
ごめんなさい。
読んでください。