暗闇を怖がらなくなる絵本 | 絵本読み聞かせ講師・上甲知子「絵本で子育て講座」出前します【小田原 湘南 横浜 静岡】

絵本読み聞かせ講師・上甲知子「絵本で子育て講座」出前します【小田原 湘南 横浜 静岡】

絵本の読み聞かせを味方につけると子育てはもっと楽しくなります
「読み聞かせなんてめんどくさい」という方も、簡単に楽しくできるときだけ続けられる「絵本で子育て」をお伝えします


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先日(2019年5月20日)の朝のNHKのニュースで
絵本のことをやっていたのですね。

連続テレビ小説「なつぞら」が始まる前の時間帯で
お!
なんだ?なんだ?と思って見ていたのです。
 
見ましたか?
 
録画してないのでうろ覚えですが。
あるいち視聴者であるわたしが受けた印象、という感じで
以下、読んでください
(放送内容、正確ではないです)
 
取り上げられたのは、2冊の絵本。
科学的アプローチの絵本と心理学的アプローチの絵本。

「赤ちゃんに絵本を読んでも反応してくれない」というママが
とある絵本だと反応してくれて、
手を伸ばしたり、絵を触ったりして
「コミュニケーションが成立して嬉しい」的なことを言ってまして。






 
わたしは、わかりやすい反応がなくても、いいのにな、と思いました。

手を伸ばして触りたくなる絵本というのがあり、
じっと見ているだけで、特段、なんのわかりやすい反応もない絵本、というのもあり、
読み始めると、どっか行っちゃう絵本、というのもあり。

 

この放送の仕方だと、わかりやすい反応がある絵本が良い絵本。
しかも「東大の!」先生が
科学的に、赤ちゃんが興味を持つ絵と言葉を研究して作られた絵本だから
間違いない!という。


 
ま。
それはそれでいいや。
まずは、とっかかりとして、我が子に読んでて、ママが嬉しい方がいいもんね。
わかりやすい反応あった方が嬉しいんだし。
 

わたしはこの絵本は持ってないけど
講座などで、この絵本についての質問や感想などをいただくことがすごく増えて
「本当にいいんですかね?」とか。
「確かに反応するんですよ」とか。
 

それなら、それでいいと思いますよ。
だって、東大の先生が赤ちゃんの脳波とか視線がどこに向かうかとか
研究して作ったんだから。
 
試しに1冊、導入してみるのは、全然、悪くないと思います。
 


ただね。
わかりやすい反応だけを、「反応」だと思ったら
そうじゃないんじゃないかなってことは思います。
見た目ではなんの反応をしなくても、
心の中ではすんごく動いているかもしれないってことを
わたしは実体験として知っています。
 
 
 



というわけであえて絵本のリンクは貼りません。







もう1冊。

これ。すんごく、嫌な展開だった。
夜、暗闇を怖がる男の子に、心理的アプローチにより描かれた絵本を読み聞かせたことによって
「暗闇怖くなくなったよ」
「一人で寝られるよ」
という
作られたセリフを原稿通りに言わされているような取材。

「絵本ってすごいですよね」

 
この絵本です。

 
以下、出版社のサイトより転載します。
 
累計100万部突破の大ヒット絵本
『おやすみ、ロジャー』シリーズ第3弾、
「だいじょうぶだよ、モリス」ついに登場!

 
日本テレビ系「世界一受けたい授業」で特集され大反響!
発売2週間で13万部突破!
 
虫が苦手、暗やみがこわい、ケガや痛み、食べ物の好き嫌い、さみしがり...
お子さんのあらゆる不安が、
本書の「魔法の言葉」でたちまち消える!
 
プレゼンの達人、2児の父でもある
オリエンタルラジオ中田敦彦さんが初の翻訳!
「子育ての"こんなとき、どうすればいいの?"を
たった1冊で解決してくれる絵本です」
 
1週間の物語に、子どもも親も困りがちな場面を網羅!
月曜日:新しい環境への不安
火曜日:さみしい気持ち
水曜日:虫など苦手な生き物
木曜日:けがや痛み
金曜日:苦手な食べ物
土曜日:暗闇への恐怖
日曜日:月曜日から土曜日のおさらい
 
 
読者の声
発売前に、200名を超えるママ、パパに試していただきました!
85%が「子育ての参考になった」と回答(絵本ナビ調べ)

「日常的によく遭遇する問題に対して、子どもが分かりやすいような声がけや例えで解決策を提示していて、子育ての参考になりました」(40代、4歳児・5歳児のママ)

「初めての児童館に行った時に不安を感じて入りたがらなかったのですが、この本にあったように一緒になって遊びながら気分を変えたことで自分で靴を脱いで館内に入ることができました」(30代、3歳児のママ)

「とにかく虫が苦手でカブトムシもさわれない息子でした。カブトムシにも個性があり、優しい仲間であるという認識をしてもらうと簡単に触れるようになりました。最後は電気に群がる羽虫にも挨拶をしていました」(30代、4歳児のママ)

「見た目だけで食わず嫌いをしていたほうれん草を絵本に出てきたエピソードを話すことで食べることができました」(30代、3歳児のママ)

「夜は、真っ暗だと寝られなかったのに、読んだ直後には『まっくらにするわ』と自分で暗くし、『あっ、星見えたわ』と暗がりを楽しみながら寝ることができました。それ以降、暗くしてもいやがりません。」(30代、3歳児のママ)


 

 
えっと。
絵本を読み聞かせることによって
子どもをコントロールしようとしていませんか?
 
番組内で
「必要のない不安は感じる必要がない」的なことを、
作者が言っていたような気がするんですが。

そもそもわたしは、そうは思わないんですよね。
そのあたりも語り出したら長くなってしまうんですが。


 
この絵本を読み聞かせてもなお、暗闇を怖がる子がいたとしたら
親はどう思うんでしょう?
「暗闇を怖がらなくさせるために読んだのに!なんであんたはまだ怖いの?!」 
ってなるんでしょうか?
 

こんな大人の見えすた意図を子どもは敏感に察知するでしょうし

内心「けっ」と毒づきながら
「ぼく、もう、暗闇怖くないよ」って親のために言ってあげてるのかもしれません。
 




嫌だ~。
 
ぞわぞわする。
いやらしすぎる。
絵本で子どもをどうこうしようとするなんて、おこがましいですよ。
そんなもんじゃないと思います、子どもって。
 




 
そこでふと。
 
古典的教科書とも言える「児童文学論」

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↑今は文庫版もあるんですね



 
これは、わたしが20年ちょっと前に、いや、30年近く前に?
大学で司書の勉強をしていたときの、教科書でした。
 
1953年に書かれた本ですよ。
60年以上前の本です。
日本での初版は1964年です。
わたしの持っているのは、1989年版第31刷です。
著者はリリアン・スミス。
翻訳者は、石井桃子、瀬田貞二、渡辺茂男。
日本の絵本創世記のビッグスリーとも言える方々。(←わたしの勝手な意見です)
 
もはや、古典。
この60年も前の児童文学論の冒頭にこんな言葉があります。
 
 
この世のどんな強制をもってしても、子どもが読みたくない本を、むりに読ませておくことはできない。
(中略)
子どもたちにしてみれば、どうして自分がこの本をはねつけて、あの本にしがみつくのかというわけを知らないだろう。
子どもたちの判断力は、めったに分析的ではないからである。
しかし、それは、ある純粋なもの ー 楽しみに根ざしている。
「楽しみのない」場合は、もし読んだとしても、いやいやのことなのである。
 




 そう。
読む理由は「楽しいから」 以上。
それ以上でもそれ以下でもない。
結果的についてくるものはあるとしても。
 
 
子どもが本を選ぶ範囲は、いつも手近にあるものに限られるだろうし、
それはまた、大部分がおとなの考えしだいになるだろう。
子どもはどんな本が好きか、むしろ好きにならなければならないか、について、
おとなの側はある誤った考えがあって、そのために、
本を愛し読書を愛するということを知らせたいおとなの当の目的が、
かえって達せられなくなる。


 

 
どの絵本、本を選んで子どもに届けるか
身近なおとなの責任は重大です。

見え透いた意図で「けっ」と思われ
「本を読んでもつまらない」と思わせたいなら
うってつけかもしれません。




 
 
この科学万能の時代にあって、私たちは、私たちの子どもについても科学的になった。

私たちは、子どもたちを方式におしこめた。

私たちは、IQ(知能指数)とか基本語彙とか治療的読書とかの熟語で、子どものことを考えている。
 
(中略)
 
それ自身限りなくひろがる地平線をもち、たえず求め、求めるものに手をのばし、
おとなの眼をすりぬけてゆく子ども心について、私たちはどれほどはっきりと、知っているだろうか?
(中略)
おそらく私たちは、科学的方法を信ずる現代の傾向のために、
子どもの内奥に秘めた能力を信ずることを忘れているのである。
 
 




 
 
(中略)子どもというものを考えれば、私たちは本能的に、凡作や駄作をはねつけることになるだろう。

真のねうちのある本、誠実で真実で夢(ヴィジョン)のある本、読んで子どもが成長できる本だけを、
子どもの手に渡すことになるだろう。

なぜなら、成長することが、子どもの天性だからである。

子どもは心身の変化と活動なしではいられない。
 
子どもの想像力をかきたてない読書、子どもの心を伸ばさない読書は、
子どもたちの時間つぶしになるばかりでなく、子どもを永久につなぎとめることができない。
 


 

 
 
昨日のNHKの番組を、リリアン・スミスさんがもし見たとしたら
嘆き悲しみ、いや、怒り狂うかもしれませんよ。



 

なんともバカにしてる、わたしはそう思うのです。


暗闇を怖がってていいじゃないですか。


どのタイミングで、怖がらなくなるか、それはその子自身が成長とともにつかみ取っていくものだと思います。


ずっと怖いままだっていいじゃないですか。

怖がる権利を親が奪おうとしていいんでしょうか。

絵本でそんな簡単に、あれができるようになる、こんなことを克服していく、
なんてそんなバカなことがあるのかしら。




 
そんな裏さもしい意図をもって
子どもに絵本を読み聞かせた親であることに自己満足しちゃってどうするんでしょうか。
 



子どもというものを考えて
本能的に感じることができにくくなってしまった、わたしたち大人。




テレビで取り上げられた絵本は、売れます。

NHKとして、こういう絵本の取り上げ方って
ずいぶんと残念だなあと
わたしは思うのです。



 

 
 
ここまで書いたことは
あくまでもわたしが勝手に感じたことです。




この絵本を「面白い!」「もっと読んで!」
と願う子どもがいるかもしれません。

それならそれでいいと思います。


この絵本がどうこう、ではなく
その裏の大人の意図が
わたしは好きではありません。





じっくり再読しよう。













やっとお姿拝見