どうも、はちごろうです。



これから紹介する映画は日本橋のTOHOシネマズで観たんですが、
帰りにビルの入り口にあった芋けんぴの専門店で二袋買って、
喉が渇いていたからコンビニに直行してジュース買ったんだけど、
ソフトクリームを頼んでいたことをすっかり忘れていたことに気づいたのは
有楽町で映画2本目を観終わった後でした。夏のせいか、年のせいか・・・。
さて、映画の話。




「GODZILLA ゴジラ」











1954年に製作された怪獣映画の金字塔「ゴジラ」を
公開60周年の今年、ハリウッドでリメイク。
主演は「キックアス」のアーロン・テイラー=ジョンソン、
共演に渡辺謙、ブライアン・クランストン。
監督は「モンスターズ」の新鋭ギャレス・エドワーズ。



あらすじ


1999年、フィリピンの地下採掘現場で大規模な崩落事故があり、
調査に呼ばれた芹沢猪四郎博士は、助手のヴィヴィアンと共に穴に潜る。
そこで彼らは人類の想像をはるかに超える大きさの生き物の化石と
何かの卵が産み落とされた跡を発見する。
そしてその生き物が動いた跡は海岸線にまで続いていた。
数日後、日本のジャンジラ原発に夫婦で勤務する米国人ジョーは、
作業中に巨大地震に遭遇。原発は跡形もなく崩れ落ち、
妻のサンドラが命を落とす。
15年後、サンフランシスコに妻と息子と暮らす軍人フォードは、
任務を終えて帰宅した日にジョーが日本で警察に逮捕されたことを知る。
彼を引き取りに日本に向かったフォードは、
父が15年前の巨大地震の真相を追って、
ジャンジラ原発周辺の立ち入り禁止区域に入ったことを知る。
フォードは自分と共に帰国することをジョーに促すが、
彼は最後にもう一度だけと立ち入り禁止区域に入ることを頼み込む。
仕方なく父とともに付いてきたフォードだったが、
立ち入り禁止区域には一切放射能がなく、防護服なしでも過ごせるほどだった。
区域内にあった自宅で当時の研究資料を回収した二人だったが
警備の警察官にあえなく見つかり拘束されてしまう。
二人は原発に連れて行かれ尋問を受けるが、
そこで二人は研究者に見守られる巨大な繭のようなものを見る。
その施設で繭の研究をしていた芹沢は、
尋問でのジョーの様子から彼が原発の元研究員で
しかもことの真相をある程度掴んでいることを確信するが、
そのとき巨大な繭が覚醒。中から甲殻類のような巨大生物が生み出されるのだった。




ハリウッド随一のオタク会社、レジェンダリー



怪獣映画の金字塔として世界中で愛される映画「ゴジラ」。
水爆実験の影響で出現した巨大生物ゴジラが東京を壊滅する姿と、
それに対抗しようと知恵を絞る科学者たちの苦悩を描き、
娯楽性とメッセージ性を兼ね備えた、後世まで語り継がれる傑作となった。
そして今回、「ゴジラ」生誕60周年を記念して、
東宝とハリウッドがタッグを組んで新作が制作されることとなったわけですが、
実は以前にもゴジラはハリウッドでリメイクされている。
それがローランド・エメリッヒ監督版の「ゴジラ」。
しかし、ニューヨークに出現したエメリッヒ版のゴジラは
オリジナルとは似ても似つかぬただの巨大なトカゲだった。
そのため、エメリッヒ版のゴジラは日本だけでなく
世界中の映画ファンから「なかったこと」にされている。
そういったこともあり、今回のリメイクには少し不安もあったんですが、
今回制作したのはハリウッドの新興制作会社レジェンダリー・ピクチャーズ。
ここの会長のトーマス・タルは元々ウォール街の敏腕証券マンで、
そこで稼いだ金をつぎ込んでレジェンダリーを設立。
「ダークナイト」3部作、「300 スリーハンドレット」
「マン・オブ・スティール」「ウォッチメン」「ハングオーバー」
そして昨年「パシフィック・リム」を製作してきた。
つまり男の子のオタク心を刺激してくれるいまどき珍しい映画会社で、
それだけで本作に対する一抹の不安も和らぐってもんです。




今回のゴジラと似ているあのキャラクター



さて、本作の監督はギャレス・エドワーズという若い監督さんなんですが、
やっぱり日本のサブカルに対して影響を受けてる人だってことはわかる。
本作は実はある日本のアニメ作品とその構造が似てるんですね。
映画の冒頭、芹沢博士などが巨大な生物の存在を掴み、
その後ハワイで初めてその巨大生物が姿を現し、
そして最終的にはその巨大生物は人類滅亡の危機を回避して帰っていく。

「主人公が人ならざる何者かの存在に気づく」
「その巨大な何かは物語の中盤に満を持して出てくる」
「結局その巨大生物は人類の味方」

これ、話の構造としてはまるっきり「となりのトトロ」なんですよ。
「トトロ」の場合は、草壁親子が郊外の古い家に引っ越してきて、
メイとさつきが生き物でない何かの存在に気づく。
トトロが全体像を表すのは映画の中でもかなり中盤で、
終盤は迷子になったメイを探す手伝いまでしてくれる。
思いっきり「トトロ」と構造が一緒なんですよね、これ。




男の子の心を鷲掴み!でも・・・



そうした制作陣の本作における熱意や、
日本のサブカルに対する尊敬は十分すぎるほど伝わってくる。
とにかく、本作の怪獣の描写は昨年の「パシフィック・リム」同様
往年の怪獣映画のような中に人がいて動かしているかような動きをする。
でも怪獣たちは当然ながらフルCGで作られているので
生物としての存在感はハンパなく高められている。
そして重要なのが「声」。今回のゴジラの雄叫びは
そのまんま使ってるの?というくらい初代のそれに限りなく近い。
映画の中盤、満を持して登場したゴジラの咆哮は
「待ってました!」と言いたくなるくらいの気持ち良さでした。
しかし、本作はそうした「破壊者」としてのゴジラの魅力にはあふれているんですが、
オリジナル版のもう一つの魅力はほぼ雲散霧消しているといっていい。
それは人類に復讐する「自然の脅威」としてのゴジラと、
怪獣たちに立ち向かう人間たちの苦悩の部分である。
本作のゴジラは、最初から「正義の味方」なんですね。
人間たちが垂れ流した放射能を求めて地上にやってきたムートーを
ゴジラが地球の環境をあるべき姿に戻すために現れるんですが、
怪獣たちの出現に対して登場人物は基本何も考えない。
ただ怪獣たちを退治することだけしか考えず、自らを省みる場面は皆無だし、
これだけの事態が起きているのにもかかわらず
事態を収拾するために政治家が一切出てこない。
あくまで現場の判断で物事を進めていく。
オリジナル版ではゴジラを見てきた博士の証言を国会で聴いて
政治家たちが不毛な政争を始めるシーンとかあったのに、
そういうアプローチでの「人間の愚かさ」も削られてる。
もっといえば、人間のドラマパートの演出に対して
ほとんど意欲が感じられないんですわ。
ただただ、怪獣同士のどつき合いに重点を置いて
オリジナルが持っていた社会に対する問題提起はごっそり抜けている。
ここの部分は少し残念な感じもしました。


とはいえ、娯楽映画として観れば見事なくらい楽しませてくれます。
アクションスペクタクルとして男の子心をこれでもかとくすぐってくれる。
確かにオリジナルにあったメッセージ性は皆無になったけど、
これはこれでアリなんじゃないでしょうか。
日本の特撮関係者もなぜ自分たちでこれを作れないのか、
そろそろ本気で考えるべきだと思います。



[2014年7月27日 TOHOシネマズ 日本橋 8番スクリーン]




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