どうも、はちごろうです。


最近、店のブラインドカーテンが立て続けに故障する。
主な理由はどれも昇降レールが摩耗するというものなんだけど、
もう10年以上日差しにさらされ続けているので寿命と言えなくもない。
いまのところ、摩耗したレールを交換することでどうにかしのいでるんだけど、
これの交換作業に1時間以上かかってしまう。
はっきり言って買い換えたいところであるが、
全部換えると10万円以上するので無理という結論になってますわ。
さて、映画の話。




「オール・ユー・ニード・イズ・キル」











桜坂洋原作のライトノベルをハリウッドで映画化。
地球外生命体との戦いの中、同じ一日を繰り返す羽目になった兵士の運命を描く。
主演はトム・クルーズ。監督は「ボーン・アイデンティティ」のダグ・ライマン。



あらすじ


突如現れた地球外生命体「ギタイ」に襲撃された地球。
ギタイの攻撃によりパリが陥落したことで、
ロンドンでは英仏海峡を挟んで緊張が続いていた。
多国籍軍によるパリ上陸作戦を翌日に控えたある日、
米軍のメディア担当官ケイジがロンドンの統合防衛軍の本部に着任する。
今回のパリ上陸作戦の撮影の打ち合わせにやってきたのだが、
本部のブリガム将軍は彼に最前線に行くことを要請する。
実戦経験のないケイジは言葉巧みにその申し出を断るが、
結局彼は命令を背いたことで逮捕されてしまう。
ティーザー銃で感電させられ、気が付くと彼はヒースロー基地にいた。
そこで彼は精鋭揃いのJ小隊に放り込まれ、
強化スーツを着せられて、そのままパリまで運ばれてしまう。
ギタイの待ち伏せによりまともに上陸することも出来ず、
いきなり戦場に放り込まれたケイジは
ギタイをどうにか一体だけ倒すことが出来たものの
差し違えるように彼は息絶えてしまう。
だが次の瞬間、彼は再びヒースロー基地で目を覚ました。
同じ人物にたたき起こされ、同じ人物に小隊の隊員たちのところに連れていかれ、
同じように強化スーツを着せられ、前線まで連れて行かれる。
前線では同じ人物が同じ死に方をして、同じ攻撃を受け死亡する。
そして気が付くと再び同じヒースロー基地で同じ男に起こされる。
ケイジはそこで自分が同じ一日を何度も繰り返していることに気づくのだった。




「日本原作」って宣伝文句、だっせー!



原作は日本のライトノベル作家桜坂洋のSF小説。
日本のラノベがハリウッドで映画化されるのはおそらく初めてかと。
実は20年以上前から日本の漫画やアニメは
欧米の映画関係者から注目を集めていて、
特に慢性的な企画不足に陥っているハリウッドでは
かなり早い段階から映画化権獲得を目指すプロデューサーも多かった。
ところが権利を持つ出版社側の腰が重いため、
なかかな実現に至ることがなかったわけです。
確かに「ドラゴンボール」の実写版みたいな失敗を避けるために
映像化の権利交渉に慎重になるのもわからなくもないけれど、
おそらくは自分たちが主導権を握れないから、というところが本音なんでしょう。
で、今回さまざまな紆余曲折を経て無事映画化にこぎつけたわけですが、
「日本原作」という宣伝文句には呆れるばかりですね。
これ例えば「ハリー・ポッター」を日本で宣伝するときに
「イギリス原作」って言っているようなもんですよ。
原作者の桜坂さんにも失礼だし、なによりみっともない。
確かに桜坂さんの知名度は日本ではまだ一般的ではないですが、
これをきっかけに「桜坂洋」という作家を売るきっかけにもなっただろうし、
日本の映画関係者だって慢性的な企画不足に陥ってるのは一緒なんだから、
新たな売れっ子作家を作ってビジネスチャンスも増えたはず。
この先見の明のなさは、誰が悪いんでしょうかね。




激ムズのアクションアドベンチャーゲームみたいな・・・



さて、本作は戦場に送り込まれた男が同じ一日を繰り返すという話。
こうした「タイムループ」ものと呼ばれるジャンルの作品は、
例えばビル・マーレイ主演の傑作コメディ「恋はデジャ・ブ」とか、
SF映画の「ミッション:8ミニッツ」なんて作品など結構良作が多い。
ただ本作はどちらかというとゲーム的というんでしょうかねぇ。
テレビゲームでもしてるかのような感覚の作品なんですよ。
例えて言うなら、本作はアクションアドベンチャーゲーム。
クリアしない限り他のゲームは遊べない。
やればやるほどプレイヤーの戦闘レベルは上がるけれども、
セーブポイントがないから死ねば必ず1面からやり直し。
しかもノーミスでラスボスの前まで行っても、ラスボス戦は1回限り。
そこで死ねばキャラデータだけでなくゲームデータそのものが消滅するという、
近年これほどまでにユーザー泣かせのゲームはないと思う。
だからゲームユーザーにはお馴染みの世界で、
その気の遠くなるような苦労には「うへー!」ってなりますね。
ただ、本作はいろいろと脚本に問題があって、
致命的なのは基本となる一日の紹介がおざなりなんですよ。
最初にヒースロー基地で目を覚ました主人公が精鋭部隊に放り込まれ、
半ば強制的に強化スーツを着せられて輸送機に乗せられ、
ギタイとの戦闘の最前線であるパリに降下させられて、
(この前線がノルマンディってとこが「プライベート・ライアン」の冒頭の
 あの悪夢のような上陸作戦を連想させて良い!)
訳の分からないうちに一体のギタイと差し違えて死ぬ、
で、またヒースロー基地で目が覚めて・・・というのが基本的な流れなんですが、
主人公が徐々にこの世界の仕組みについて学んでいくにしたがって、
例えば上陸前に他の隊員たちと基地内で訓練をするシーンなどの
冒頭で語られなかったエピソードが唐突に差し込まれるんですね。
だから、観ていて「このシーンはいつの出来事なの?」と
疑問に思うことが何度も出てくるんですよ。




トム・クルーズって「俳優」だったんだよなぁ・・・



でもそうした脚本の粗を救って余りあるのが主演のトム・クルーズですね。
彼はもう30年以上トップスターとして認知されていましたけど、
今回改めて彼も「俳優」なんだってことに気づかされたというか。
映画の冒頭、ロンドンに着任したケイジは実戦経験が一切なく、
口先だけで世渡りをしてきたような腰抜けなんですが、
この冒頭のケイジを演じてるトムがホントにむかつくんですよ。
「こいつ、ホントに軍人か?」ってくらいにいけ好かない。
そんな彼が逮捕され、ヒースロー基地に送られて、
あれよあれよという間に最前線に送られるわけですが、
このときの「なんでこんな目に?」という不安と怯えの表情。
そしてそんな彼が永遠ともいえる戦闘の日々を送るうちに
きちんと歴戦の兵士として一端の顔つきになっていくんですよ。
これにはちょっと笑えるくらいの驚きを感じました。


まぁ、ところどころ「?」って思うところもありますが、
夏の娯楽映画としては無難なところなんじゃないですかね。
派手な戦闘シーン、謎解きサスペンス、そしてトム・クルーズ。
傑作ってほどではないですが、全くの駄作とも言い切れない一本ですよ。



[2014年7月6日 新宿ピカデリー 1番スクリーン]





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