「日本で彼氏できないから世界で見つけてくる」。あいかわらず突拍子もないことを言う娘に母は「ほーで」と一言だけ返事を返し、2万円とおにぎりを持たせ見送ってくれた。

 

 メキシコの男の実家に招待されてもそれは何の意味も持たない。

そんな文化をまだ知らない私は、好きになった男の実家へ招かれた事を喜んでいた。

窓のない寒々しいゲスト部屋に通され1人で眠り風邪をひき、かわいそうに思った彼は私を母親と一緒のベットで寝かせた。

母親は風邪で弱る私にこう言った。「あなたは息子の友達よね?」。

私の彼氏となる人はメキシコ人ではなかったようだ。

 

 トリニダード・トバゴのスティールパン演奏者ジェームスの、60歳を超えてもあふれる色気や渋さに一目ぼれ。

3年目の訪問で想いがようやく伝わり「君は僕のものだ」とささやかれたちまち有頂天に。

そして次の瞬間「僕に日本の車を買っておくれ」。

私の彼氏はトリニ人でもなかったようだ。

 

 同じカリブの島、ドミニカで散歩中の女性に「うちに泊まりなよ」と誘われる。

宿代が浮く下心を持って伺えば、「うちの息子と結婚しな」と、私より年下の母親は16歳の息子をあてがい、やれ水洗便所をつくりたいから金をくれ。もてなししたいから鶏を10羽買ってくれと言う。

16歳の息子は私の耳元で「アイラブユーフォーエバー」と下手な英語でつぶやいた。

ドミニカはスペイン語圏だ。

ドミニカ人の下心は私の下心よりもはるかに上回っていた。

 

 カンボジアの電気も水道もない村の男の恋はおぼこいと思っていた。

なのに私の前を通るたび、ぎゅっと手をつかみ意表を突いてくる。

その後のアプローチはとてもロマンチックで「緑豊かなのんびりした村で子育てもわるくないな」と想像妄想する。

まさか家庭を持っていたなんて。おぼこいのは私だった。

 

 朝の4時。部屋の扉がノックされ出てみると、「君を庭で見かけて。結婚しよう」。

ガーナ人の求婚の早さは気持ちがいい。

 

 7回の離婚を繰り返した男性の8人目の妻は「うちの夫は子供をたくさん作った。老後は子供たちがみてくれるから私たちは安泰だ」と安堵する。日本では老後のための保険(お金)が必要だが、キューバでは次の男の保険(子宝)が必要だ。

 

 あぁ、そして。今年もバレンタインがやってきた。

世界のあちこちで恋はしてきたものの、なんて穏やかな平日…。

 
2018年2月14日掲載
 
フェルナンドよ。なぜ実家では私に指一本触れないんだ。
 
 
全然英語わからないけど、恋の相談にのってあげてたんだよ~
@トリニダード・トバゴ
ドミニカカラーの衣装。いかす!
かっこよすぎんだよっ!
ドミニカで三重ナンバー発見!
ドミニカ人の髪の生え際がマジで直角!マジで全員!
ガーナ人は求婚があいさつ。
 
ドーン!! 日本と地場が違からいろんな奇跡が起こるってこと。
20歳年下。@キューバ