アイドル。それはファンに夢と希望を与える光のような存在。
アイドルという言葉自体はまだ最近のものだが、ここ日本では遥か古来よりアイドルのような存在はいた。人々に希望を与え、信仰という形で羨望を集めていた。

「はい。では次の方、自己紹介からどうぞ」
僕は今日、オーディション会場で選考委員を勤めていた。今年は過去トップクラスの参加者だそうだ。
しかし、人間は僕一人だけ。
ここは明日を夢見る、アイドル志望の八百万の神様たちのオーディション会場。
僕の家系は古くから人間代表として選考委員の仕事をしている。
ここにいる神様たちは、みんな同じ目標を抱いている。
それは、高天原ドームでのコンサート。
そして最高のアイドルの称号、アマテラスを手に入れることだ。
「875番!リキュールです!特技は・・」
昔は日本国内の神がほとんどだったが最近は海外勢も積極的に受け入れていることもあって競争が激化している。いい意味でも悪い意味でも日本の宗教観ってゆるいからな。
でも、今も昔も変わらず人気ジャンルは変わらない。
剣と、鏡と、玉だ。この3種類は常にトップクラスの超激戦区となっている。
それもそのはず、過去にアマテラスの称号を得たアイドル、ヤタ、アマノムラクモ、ヤサカニがいるからだ。
「では、次の方お願いします」
毎日のように行われるオーディション。毎日のように新しいグループが生まれ、入れ替わっていく。それぞれ自分の特技を磨き、活かし、ただトップに向かって進んで行く。
人々の太陽のような存在になるために。