1月17日 破水から緊急入院
1月27日 退院

退院後、初めての健診は2月4日だった。
退院の、ちょうど一週間後。

病院は家から徒歩18分なので、破水するまでは運動がてら歩きで通院していたが、徒歩はさすがに厳しいと思い、この日からはタクシーで行こうと決めていた。

当日の健診30分前、タクシー会社に電話したが、甘かった!

全然つかまらない。数社かけてもダメ。
実は事前に健診時にも利用OKな陣痛タクシーに登録していたので、そこにかけたら余裕だと思っていたのだが、舐めていたようだ。
お役に立てず申し訳ございませんと言われたが、これが実際の陣痛だったらめちゃくちゃ怖いので必ずお役に立ってほしいと思った。

診察は、爬虫類ハンター似の偉い先生だった。
開口一番、「随分顔色が良くなったね!あなたも旦那さんも、入院当初はもう全く生気がなかったけど!」と言われて笑った。

この先生に希望をもらうまで、延々と絶望駅に停車する電車にガタゴト揺られているような気持ちだったから、あの時の私の顔には生気の「せ」の字もなかったと思う。

切り干し大根を擬人化したら私達夫婦になるレベルでしおしおだったはずだ。
今、その時のことを笑えるようになっていることが嬉しくもあり、感慨深くもある。

にしても、この病院の先生方や助産師さんは、私だけじゃなくて旦那さんのことも気にかけてくれているんだなぁ。
私は自分のことだけで精一杯だったから、旦那さんのメンタルに気を配って頂けることは大変ありがたい。

診察は、まず膣からのエコーで始まった。
破水してから二十日ほど経過していたが、この時はまだ出血が続いていたので不安も募っていた。

「お、この出血多分ここからだねー」

先生がエコーの画面を指差す。

「分かる?ここ、べろって剥がれてるでしょ?卵膜っていうんだけど。ここから破水したのかもしれないね」

なるほど。
モニターには、中が空洞のアーモンドのような形のモノが映っていた。
結構でかくないかこれ。

「あの、それって大丈夫なんですか?」
「あんまり怖く捉えなくて大丈夫。でも病院でこれを治すことはできないから、とりあえず引き続き安静で」

安静は安静なのか。
後で助産師さんに聞いてみたら、卵膜は胎盤を包んでいる膜のことらしい。
そんなものが剥がれていて大丈夫なのだろうか。
ニュアンス的には、良くはないが悪すぎることないという感じ。
子宮頚管は35ミリで問題なしと言われた。


その後、腹部のエコーで赤ちゃんの様子を確認。
200グラムで週数相当。あぁ、良かった。

羊水もしっかりあるし、なにより赤ちゃんがビチビチと動き回っててハイパー元気だったことに安心した。

君はすごいね。
あんなことがあったのに、こうしてまた羊水をたくさん作り出して、手足を動かしているなんて。


その日は、花粉症の薬と、ナプキンでかぶれたデリケートゾーンのかゆみ止め軟膏を処方してもらって終了。

次の健診の日程を決めるときに、
「さてさて、あなたはどれくらいの頻度でエコーすれば不安にならないかなー」と言われて吹き出した。

「ふふふ、それは毎日ですよ!お金さえあれば!」とは言わず、翌週にしてもらった。 

にしてもなんて優しい先生なんだ。
この病院で分娩予約して本当に良かった。



2月13日
退院後2回目の健診。
この日は破水当日、夜間に診察してくれた女医さんが診察してくれて、何度も労いの言葉をかけてくれた。

まずは前回同様、膣からのエコー。

この時にはもう出血も止まっていて安心しきっていたが、モニターを見ると卵膜の剥がれは一向に治っていなかった。
むしろ剥がれたところ大きくなってない?と思えたほど。

血が止まったから塞がったものだと思っていたが、先生いわく、この剥がれた部分は、これから塞がるとも塞がらないとも言えないものらしい。
あまり例がないのかな。

子宮頚管は36ミリで問題なし。

その後、腹部のエコーに移り、いつもより長めに赤ちゃんに異常がないかを確認してくれた。
頭や心臓にも今のところ問題はなさそうと言われて安心。

性別も、おちんちんらしきものが見えたり見えなかったりで、多分男の子だろうとのことだった。
Kちゃんそっくりの赤ちゃんを想像して、ちょっと笑えた。

エコーが長かったので、ついでに破水の原因について聞いてみたら、検査の結果、どうやら感染症ではなさそうだと言われた。
やはり、原因は特定できないらしい。

あの日は新宿駅で立ちっぱなしのまま電話でお客様とやりとりをしていて、お腹が張ってしまっていたのかもしれないし、連日のアポイントで体が無理をしていたのかもしれない。

できれば仕事に戻りたかったけど、アポイント先や職場で破水したらそれこそこの子は助からなかったはずだ。

先生に、職場が遠いこと、営業職で外出が多く、さらに営業バッグが重いことを伝えたところ、産休前まで要安静の診断書と、傷病手当ての申請書も同様に書いてくれると言ってもらえた。

一度破水した部分はまた破れやすくなっている可能性があるので、安静にしておくに越したことはないらしい。

ひとまず赤ちゃんの無事と、傷病手当てが休職中もらえることに一安心だ。