水道管の老朽化(法定耐用年数の40年超)は、大阪府が全国で最も深刻な状態です。日本水道協会の統計(2015年度)によると、老朽管の距離は6890km、全水道管に占める割合は28.3%で、いずれも全都道府県ワーストです。さらに、大阪市の老朽管率は44.9%という極めて深刻な状態です。

昨年の大阪府北部を震源とする地震の際には、水道管の破断等に伴う断水や漏水が各地で起きました。水は必要不可欠なライフラインです。大阪は今、南海トラフ巨大地震や上町断層地震等の都市直下型地震に備え、都市防災力を高めていかなくてはなりません。その為には、老朽化した水道管の更新を早め、耐震性を高めなくてはなりません。

水道管の更新には、1kmで1億円の費用がかかるとも言われています。単純に計算すると、現時点で耐用年数を超えている府内の水道管の更新だけでも、約7千億円が必要ということになります。大阪府をはじめ、府内の自治体の財政状況は、厳しいところがほとんどで、この財源を確保することに頭を悩ませています。

しかし、この状態を黙殺し、万が一、この状況で巨大地震が発生したら、府民が生活していく為に必要不可欠な「水」というライフラインの復旧に、どれほどの時間と費用がかかるのでしょうか。そう考えると、今、一刻も早く、真剣に対策案を出し、早急に取り組まなければなりません。

水道料金の値上げを財源に、水道管の更新費用を捻出する案も一つでしょう。しかし、その前に、大阪府内の水道事業を最効率化すべきだと考えます。大阪市水道局と大阪広域水道企業団が一つの運営主体になる「府域一水道」の実現は欠かせないと考えます。

また、浄水場機能を統合し、他の用途に活用可能となった土地を財源とし、水道管の更新費用に充てていくことも有効な方策だと考えます。「府域一水道」が実現したならば、柴島浄水場のほぼ全面の敷地を、新たなまちづくりに活かしつつ、財源にすることも可能です。柴島浄水場は、新大阪駅から至近距離にあり、これからの大阪、日本の成長の核となる超一等地です。

各自治体がコンセッション方式で水道事業の運営権を譲渡することに対して、不安を抱かれる府民の方の気持ちには、理解できるところがあります。その不安視されている部分を払拭できるような、しっかりとした制度を設計し、政治家や行政が十分な説明や対話を行うことが大事だと考えています。

大阪府内の深刻な老朽水道管の問題に対し、目を背けず、財源論も含めて、府民の皆さんのご意見もお聞きしながら、「府域一水道」の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えいます。府民生活を守る為の水道行政の変革について研究してまいります。