簡単UL:登山用テントを選ぶ | Photo Life in Toyama

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富山の写真家 林治のブログです

いつも Photo Life in Toyama へご訪問ありがとうございます。

 

さて、今回は「簡単UL:登山用テントを選ぶ」と題して、現在私自身が取り組んでいる比較的イージーな登山装備軽量化のやり方をご紹介していきたいと思います。

 

一番手前が筆者の宿

 

「簡単UL」シリーズ ご紹介

 

簡単ULNo.1:登山用テントを選ぶ(本記事) 右差し Go!

簡単ULNo.2:登山用スリーピングマットを選ぶ(前編)右差し Go!

簡単ULNo.3:登山用スリーピングマットを選ぶ(後編)右差し Go!

簡単ULNo.4:登山用クッカー&関連パーツ おすすめ7選 右差し Go!

 

 

  1.はじめに:装備軽量化のすすめ

 

 

登山・自然風景撮影は重さとの戦い

 

登山や風景写真をされている方は、一般的に「重さとの戦い」をされていることと思います。

 

特に、「人工物のない」自然風景と呼ばれる分野を撮影する方は日本ではある程度歩かなければ撮れず、必然的に登山装備と撮影機材を背負うことになります。

 

そして、自然風景では昼間よりも早朝や夕方、また夜にドラマチックな光景となるのでしっかりした三脚も必須。

写真を大サイズにプリントして展示することが多ければ使用するカメラも大型となり、するとこれに比例して三脚も大きいものになり、撮影機材だけで最低8kg以上。テントや食料を背負うとどこへ行くにも大抵22〜23kg、時にはそれ以上(30kg以上)の荷物を背負っていました。

 

3年前の筆者(荷重約23kg)

 

ただ、体力には余裕を持っておきたいもの。

そこで、最近は登山装備の軽量化に取り組んでいます。

 

UL登山とは

 

それから、最近ではUL(ウルトラライト)登山が流行ってますね。

しかし、一口にULと言ってもその目的はいくつかに分類できると思います。

 

1.装備全体を超軽量にし、その中でスピード登山、岩・沢・雪への挑戦やランニングなどを行う。(短期・挑戦型

2.食事を含め装備全体をより軽量化し、ソロでのロングトレイル踏破などに挑戦する。(長期・修行型

3.撮影機材や釣り道具を持つためや、滞在日数(食料)を増やすために他の装備を軽量化する。(他の目的優先型

4.1〜2泊の比較的短期間の山行を中心に、純粋に身体への負荷を少なくするために軽量化する。(純粋負荷軽減型

5.たまにしか山へは行かないが、海外ユーチューバーに憧れてULキャンプを楽しんでいる。(海外UL信者型

6.ULギアにハマったので、道具を買い、計量し、自宅でも使って楽しんでいる。(用具マニア型

 

私は、現在は写真家なので分類は3.になります。

そして常に撮影機材を持つので、例えばいわゆるULタイプのザックでは耐重量の点で持ちません。

そのため、単純に超軽量のギアを探す方とは内容が異なってくることにつきまして、ご了承の程お願いいたします。

 

また、私は2人での定住型撮影が多いことから、YouTubeで紹介されているソロ装備はあまり参考になりませんし、2人とも料理が趣味でもあるのでお湯をかけるだけで食べる食事は不得意です。そこで、自分たちなりのULを目指していくしかないのかなと考えています。

 

ここでは、私なりの居住性・食事を確保した簡単なULをご紹介しますので、何卒お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

 

  2.テントの目標重量

 

冬の撮影の宿

 

目標とする重量・・(2人用テント)本体一式(ペグ以外)+グランドシートで合計 1.5kg以内

 

ネットで「1人用で1kg以下の超軽量テント」と書いた記事をよく見ますが、超軽量テントは底の布が薄いので無雪期の山ではほぼ100%グランドシート(フットプリント)が必要です。

これを怠ると、底の布に無数の小さい穴があいたり布が裂けて雨水が入ってきますし、修復に多大な労力が必要となります。

 

こうした理由で、本シリーズではテントの重量は本体一式に専用グランドシートの重量を足して考えています。

(使い勝手は専用グランドシートが優れるため)

 

また、2人用テントは従来2kg以内が常識でしたが現在は軽量テントが増えたので、グランドシートをプラスした重量で1.5kg以内を目標重量に定めました。

さて、これで良いテントが選べるでしょうか。

 

 

なお、このシリーズは原則として3シーズン(夏の高山、春・秋の中級山岳)の装備を前提としています。

 

 

  3.テント選択のポイント

 

ここで、おさらいを兼ねてテント選択のポイントをまとめます。

 

* メインテントは自立型でダブルウォールのものがおすすめ

 

テントにはテント自体がフレームで自立するものとそうでないもの。また、フライのないシングルウォールと、ダブルウォール(インナーテントとフライシートの2層構造)のものがあります。

 

 

(上)自立型・シングルウォールテント

 

(下)自立型・ダブルウォールテント

 

 

その中で、メインテントとしておすすめは「自立型」で「ダブルウォール」のテントです

 

実際にテントに泊まって行動すると以下のようなことが起こります。

 

・何日も山にいれば、大雨に降られたり強風の場合もある

・撮影やアタックのため、テントを張りっぱなしにして行動することもある

・稜線のテント場など、ペグを打つことができないテント場も多く存在する


このような状況を考えると、不在の時に風でテントが倒れにくい自立型テントを選ぶ方が安全ですし、ペグダウンできないテント場を想定しペグ無しで自立するテントを選ぶべきと言えます。

 

また、シングルウォールテントはテント内に結露が発生するため、多少重くてもダブルウォールのテントを選ぶのがおすすめです。前室(フライシートによるひさし部分)があり、雨よけ、靴置き場、荷物置き場などの使い方ができる点もメリットになります。

 

そして、トレッキングポールを支柱に使うテントも避けたいものです。テントを張りっぱなしにして何日も活動する場合、その間トレッキングポールが全く使用できないからです。

 

* テントの重量は、本体+ポール+ペグ類+グランドシートの合計重量で判断する

 

理由は前述の通りですが、グランドシートが重ければいくら本体が軽くても総重量で他のテントと変わらない場合があるので注意しましょう。

また、ペグも場合によって単体を購入するなど工夫すると軽量化を図ったり設営を簡単にすることができます。

 

グランドシート(フットプリント)の例

 

* 耐久性や居住性に不安があるものは避ける

 

超軽量テントの中には、テントの位置付けではなく「ツェルトの延長」または「シェルター又はビバークシェルター」としてラインナップされているものがあります。

こうしたものの中には防水性に不安があったり強風に耐えられないものもあるので、避けた方が無難です。

 

* その他の確認事項

 

その他として、以下の点も確認しておきましょう。

 

・入口に虫侵入防止のメッシュがあるかどうか

 -- メッシュがないと用途が限られます

 

・テント内・天井部分にヘッドランプやランタンを掛けることができるかどうか

 -- シングルウォールテントでは殆どこの機能はありません

 

・横たわった時、顔周辺に風が当たる構造かそうでないか

 -- 意外に快適性に影響があります

 

・底部分の布地の厚さ

 -- 表示されているデニール(D)値を確認する(数字が大きい方が厚手で丈夫)

   あまりに薄い底の場合、少し厚めのフットプリントを使うことも検討

 

・ベンチレーターの有無・数・構造・メッシュの有無

 -- 3シーズン用テントでは雨対策や通気性が重要

 

カメラ

 

テントの下に水が流れることも

 

例えば、剣沢や薬師峠のテント場でテントを張り大雨に遭った際には、(水捌けの良い場所にテントを張ったつもりでしたが)どちらも数時間テントの底の下をザーザー水が流れました。

 

こうした場合、ツェルトと同じように底が割れているテントや防水処理が不十分なテントであればテント内に浸水しますし、天井から水滴が落ちてくるとさらに不快です。防水性は十分チェックしましょう。

 

そして、悪天候を想定するとシュラフマットやテントマットも重要です。これについては別の回でご説明します。

 

 

  4.おすすめの超軽量テント

 

具体的におすすめの超軽量テントをいくつかご紹介します。

 

おすすめにあたっては、軽量であることに加えて

 

・なるべくサイドウォールが急角度で立ち上がる一般的なドーム形状のものを選択した

・なるべくペグダウンを必要とする箇所が少ないモデルを選択した

・ある程度天井高が確保されているなど、居住性を考慮した

・市場の評価や口コミの内容も確認して選択した

 

といった点も考慮して選択しています。

 

また、それぞれおすすめの理由(良い点・心配な点)を記載していますので、その内容も参考にしていただければと思います。

 

 

ヘリテイジ HI-REVO 2(2人用)(自立型 ダブルウォール)

 

 

HPにエスパーステントのDNAを引き継ぐと記載されている通り、長野県安曇野市穂高に拠点を置く国産ヘリテイジテント。

中でも HI-REVOシリーズは超軽量にもかかわらず快適性を保つことを主眼に作られている貴重なテントです。

また、スペックの割にコスパが高いモデルでもあります。

 

※ヘリテイジブランドにはより軽量の「クロスオーバードーム」もありますが、ドーム型ツェルトと明記してあるため、おすすめから外しました。

 

* 良い点

 

・本体パネルとフライに15Dという超薄ナイロンを使用し、本体一式+フットプリント計 重量 1,250gという超軽量を実現、一般的な軽量テントより 約500g(またはそれ以上)の軽量化が可能

・前面メッシュ+後面吹き流し 3箇所のメッシュ付きベンチレーターを装備

・天井高さが115cmと同クラスでは高いので居住性も良好

・後々テントポール等の部品が購入できるのも Made in Japanのメリット

 

* 気になる点

 

本体、フライともにグリーンというのが少々気になります。もう少し他の色が選べたらよかったと思う人もいるかも。

まあ、贅沢かもしれませんね。

 

* スペック

 

・価格 58,905円(Amazon 税込)

・間口 203×奥行123×高さ115cm

・重量 1,100g(本体+フライ+ポール+張り綱)

・専用フットプリント

 価格 7,524円

 重量 150g

・スリーシーズン対応

・本体一式+フットプリント計  価格 66,429円  重量 1,250g

 

 

アライテント SLドーム(2人用)(自立型 ダブルウォール)

 

 

 

2024年6月にアライテントから発売された「2人用ダブルウォールで本体一式980g」とクラス最軽量の山岳テント。

私はまだ実物を見ていませんが、いわゆるドーム型ツェルトのように防雨性・防風性・耐久性に課題があるものとは一線を画すので、非常に魅力的なモデルです。ただし生地が非常に薄いため、取り扱いには注意が必要と表記されています。

 

* 良い点

 

・超軽量:フットプリント(グランドシート)込みで 1,180gの軽さ

・必要十分な居住性を備えたULテント

・床シートが30Dナイロン、専用グランドシートが40Dナイロンと厚手

 

 ただし、注意すべき点は以下です。

 

* 気になる点

 

・95cmと若干天井高が低い点(床面は210x120cmと広め)

 

* スペック

 

・価格 68,200円(専用アンダーシート付き)(定価 税込)

・間口 210×奥行120×高さ95cm

・重量 980g(本体+フライ+ポール)

・専用フットプリント

 同梱

 重量 200g

・本体+フットプリント計  価格 68,200円  重量 1,180g

 

 

NEMO(ニーモ)タニ オズモ 2P(2人用)(自立型 ダブルウォール)

 

 

NEMOが日本の山岳シーンのためにデザインしたフラッグシップモデル。

特に換気や雨を意識した設計で居住性も良好。NEMOテントの中では重いという意見もありますが、他社と比較すると十分軽量なモデルです。

 

* 良い点

 

・超軽量:フットプリント(グランドシート)込みで 1,460g

・クロスポールによる吊り下げ・自立型構造のため使い勝手も良好

・間口 220×奥行130×高さ104cmと室内スペースが広め

・特に換気に配慮されているので居住性が高い

 

* 気になる点

 

本体・フットプリントとも価格が高い割にはNEMOの他モデルと比べて軽くないので、コスパの点で若干不満を感じるかもしれません。

 

* スペック

 

・価格 79,034円(Amazon 税込)

・間口 220×奥行130×高さ104cm

・重量 1,240g(本体+フライ+ポール)

・専用フットプリント

 価格 7,150円

 重量 220g

・スリーシーズン対応

・本体+フットプリント計  価格 86,184円  重量 1,460g

 

 

プロモンテ VB-22Z 3S(2人用)(自立型 シングルウォール 前室付き)

 

 

以前ダンロップテントを開発製造していた会社が立ち上げた信頼のプロモンテブランド。今回はその中から、シングルウォールテントに前室を付けたタイプをご紹介します。

シングルウォールを避けるべきと書いておいてこれを選ぶのは気が引けましたが、ハーフフライ&前室があり換気良好のため結露が少ないこと、前室が便利に使えることから、実質的にダブルウォールに近いテントとして選んでいます。

 

カメラ

 

注意 25年前のダンロップテントは今でも使用可能

 

筆者は25年ほど前にダンロップVシリーズ(オールシーズン)4人用を購入。その後、ダンロップVLシリーズ(3シーズン)の2人用を追加して愛用していました。

 

その後、2〜4人用を中心にアライテントやモンベル等計10種類ほどのテントを使いましたが、ステラリッジテント3人用は加水分解により僅か2〜3年で廃棄する結果となりました。これが最短でダメになった例ですが、ステラリッジより遥か前に購入し同じ場所で保管していたダンロップの V(4人用)、VL(2人用)は今でも問題なく使用できています。もちろんプロモンテ VL-36(3人用)も数年間使用していますが加水分解の兆候はありません。

 

同じように使用して同じ時期・同じ場所で保管しても、テントの加水分解性は「メーカーにより」大きな差があります。

「テントはどの会社のものでも加水分解により数年で使用できなくなる」ということはなく、また「テントは使用状態や保管状態が悪いと加水分解が起きる」という訳でもありません。

 

こちらのモデルも長く使えるのではないか・・と期待します。

 

* 良い点

 

・ハーフフライ(前室)があり、本体の半面は通気性があるので結露はかなり避けられる

・さらに虫よけメッシュ付きのベンチレーターも装備

・前室が大きく、靴やバーナー等屋外へ出すことも可能

・一般的なダブルウォールより設営時間が短縮できる構造

・価格も比較的手頃

 

* 気になる点=重量

 

下のスペックに記載した通り、フットプリントがやや重いため 本体一式+フットプリントの合計重量が1,478gと1,500gギリギリとなります。

 

注意 どうしてももう少し軽量化したいという方は「タイベックシート」をフットプリントとして使用すれば、専用フットプリントを使用する場合より100gほど軽量化することができます。(場合により2枚切り貼りしてテントの底のサイズに合わせておくと便利です)

 

 

* スペック

 

・価格 59,475円(Amazon 税込)

・間口 205×奥行120×高さ105cm

・重量 1,230g(本体+ポール)

・専用フットプリント

 価格 3,891円

 重量 248g

・スリーシーズン対応

・本体一式+フットプリント計  価格 63,366円  重量 1,478g

 

 

NEMO(ニーモ)ホーネット オズモ 2P(2人用)(半自立型 ダブルウォール)

 

 

現在とても人気があるアウトドアギアメーカーNEMOの人気軽量テントです。

より軽量な NEMO ホーネット エリート オズモ 2Pも大人気ですが、作りの良さ、本体・顔周辺の布構成(寝た時の顔の位置まで風を通さないシートが立ち上がっている)、より天井高さが高いことからこちらの方が一般用途にはベターだと思います。

収納時のサイズも小さく超軽量なので人気があるのも分かります。

 

* 良い点

 

・超軽量:フットプリント(グランドシート)込みで 1,137g

・比較的作りが丁寧で、様々な仕掛けによって屋内スペースが広く使用できる

・本体・フライのテンションを効果的に掛ける工夫がされ、設営性・居住性が高い

 

 ただし、注意すべき点は以下です。

 

* 気になる点=半自立型

 

ホーネット オズモも、ホーネット エリート オズモも半自立型と呼ばれる構造のテントで、最低片側はペグダウンしないと自立していられません。高山のテント場ではペグダウンできない場合も多いので、場合により設営に苦労する可能性がないとは言えません。

 

* スペック

 

・価格 64,823円(Amazon 税込)

・間口 215×奥行130×高さ98cm

・重量 950g(本体+フライ+ポール)

・専用フットプリント

 価格 7,150円

 重量 187g

・スリーシーズン対応

・本体+フットプリント計  価格 71,973円  重量 1,137g

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

この記事が皆さんの軽量登山の参考になれば幸いです。

また、ご意見等もお気軽にお寄せください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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