倒れた母が発見された場所は,家の中で一番段差が大きいところだった。
いつもは両側につけられている手すりをしっかり握りしめ『よいしょ,』と掛け声をかけながら足を上げていた。『スロープを付けようか。』『狭すぎて無理かな。』私と姉はいつもそう言っては段差解消のついて実行できず先延ばしにしていた。
できることはあったはずなのに,まあ,大丈夫だろうと二人とも甘く見てた。
母は次の日の朝10時頃その場所で全裸のまま倒れているのを発見された。
お風呂に入ったものの気分が悪くなって私か姉に電話をかけようやとしたのか,真相はわからない。母の記憶からその時のことは抜けてる。
転倒で母の様子も私と姉の暮らしもこれまでと変わった。