「喜怒哀楽」
11年前に父を見送ったあの日。
父に再発を告げたあの日。
あの日から消化しきれてない思いがあることは知ってました。
だけど、その思いがこんなに大きく本当に大きく私の中に残っていることを知ったのは今日でした。
【喜】
その大きな存在で人が死に向かう時間を刻む中、あなたが見せてくれた「生き様」は私の理想となりました。
ただその時を静かに動じることなく最後まで「家族」を思い逝ったのだと思ってます。
あなたの娘に生まれたことを誇りに思います。
そして、あなたの娘として、あなたを見送れる時間と環境を無言で提供してくれた主人に深く感謝をしてます。
【怒】
11年前のあの日、あなたに癌の再発と余命宣告をしたのは私です。
あの時、告げながら私の中から出てきた感情は「怒り」です。
繫ぎ止める手段がなく、死にゆくあなたに『見捨てらた』と思ったからです。
『見捨てられる』怒りで心が震えました。
「私を置いていく無責任な父親」
今ならわかります、怒りの下にあったのは悲しみです。
【哀】
あなたを愛する人の側で逝かせることが私の役目だと信じました。
「その時」が刻一刻と迫ってきてあなたが旅立ったと判断する役目を背負いました。
私の首にかけられてる聴診器がその象徴です。
ただただ「その時」は溢れる涙を止めることは出来ませんでした。
【楽】
私たち家族らしい見送りが出来たと自負してます。
思い出話もたくさん出来たし、酸素吸入器の前でオナラする人もいたし、本当に「その時」が訪れるまで眠ってるあなたの側で笑い合って過ごせました。
小林麻央さんのご冥福をお祈りします。