年齢を重ねると、若い頃は当たり前にできていたことが徐々にできなくなっていく。積極的に何かにチャレンジしようという意欲が減少する傾向にあるため、うつ症状が現れる高齢者は少なくない。様々な人との関わりがある介護施設の利用者であっても例外ではないため、対策が必要だ。

効果的な対策として、自然との関わりが挙げられる。おすすめなのは家庭菜園だ。家庭菜園で野菜などを育てれば、リラックスできる、育てる喜びを感じるといった魅力を得られる。高齢者だけでなく、介護者も心を安らげることができるためおすすめだ。さらに自分が育てた野菜は手塩にかけた分、美味しさもひとしおだ。年齢を重ねたことで食欲が減退してしまう高齢者も、自分が育てた野菜なら美味しく食べることができるだろう。美味しいものを食べてお腹が満たされると、考え方がポジティブになる人もいる。うつの対策として、家庭菜園は非常に良い方法と言えるだろう。

家庭菜園におすすめの野菜として、ゴーヤが挙げられる。ゴーヤはグリーンカーテンとしても人気だ。喉の乾きを感じにくい、身体機能が低下しているといった理由から熱中症にかかりやすい高齢者に最適だ。また、栄養に優れ、食欲増進にも役立つ。植える場所は、室外機を避けた日当たりの良いところを選ぶべきだろう。ゴーヤは根を浅く広く張っていくため、庭への直植えが難しい場合は長方形のプランターを準備する。底に鉢底石を敷き、野菜用の培養土を入れ、水を入れたバケツにゴーヤの苗を入れ浸してからプランターに植える。植える時期は5月~6月頃が適している。植える際には、苗の周りの部分を少し凹ませることがポイント。これにより苗に水がしっかり浸透するようになる。風で茎が折れないよう、割り箸や棒などを使い固定することも忘れずに行う必要がある。水やりは、夏場の場合雨の日以外は毎日行う。真夏日で乾燥している場合は、朝と夕に1回ずつがベターだ。

身体介護をイメージしがちな介護の仕事だが、温度管理も大切な仕事だ。夏場は冷房を冬場は暖房を使わずに生活している人はそうそういないだろう。使わなくても生活はできるが、下手をすれば、夏場は熱中症、冬場は凍死してしまうなんて事もありえるからだ。もちろん要介護者も例に漏れず冷暖房を使っているのだが、そこで問題となるのがこれらを使用した部屋と使用していない部屋との間で発生する寒暖差だ。寒暖差は下手をすると死に直結する可能性の高い要素である。

こういった事態を回避するために、室間温度差と上下温度差を適正に抑える事が温度管理の基本的な仕事内容だ。室間温度差は、暖房を使っている部屋と廊下やそれ以外の部屋などの温度差。上下温度差は暖房を使っている部屋の天井付近と床付近の温度差を指している。室間温度差は特に注意が必要だ。人間の体は暖かい所から急に寒い所に行くと心臓に大きな負担がかかるからである。上下温度差に注意が必要なのは、天井付近に滞留した暖かい空気と、床付近の空気の寒暖差が原因で起こる転倒などのトラブルを防ぐためだ。

温度差をなるべくなくすために温度計を設置するのだが、この温度計を設置する場所にも気をつける必要がある。温度計の設置場所は目線と同じくらいの高さがベスト。数値として表すなら床から1.1mくらいがベターだろう。これくらいの高さに設置する事で温度計の数値を正確に読み取る事ができる。結露が発生してしまう可能性を考え、壁紙やクロスへの設置は避け、それら以外の場所、たとえば柱面などに設置するのがおすすめだ。

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