カンプン・リゾートの、一番安いカテゴリーの部屋の朝は早い。
朝6時10分位、夜が明けると共に、鶏が鳴き始める。
ここのリゾートでは、庭に鶏が放し飼いになっているのだ。
新館・スィートクラスの部屋だと、少々鶏が鳴いても、窓を閉めていれば、何てことはない。
しかし、この、エコノミーな部屋は、屋根と壁の部分が空いていて、ばっちりオープンエアーなものだから、外の音は丸聞こえで、もう起きざるをえない。
もう朝寝はあきらめて、夜明けのベランダに出ると、思いのほか、気持ちがいい。
下に流れる川音などを聞きながら、ぐいぐいとストレッチなどをする。
ほどなく、どこかから、「プルルル、プルルル」と電話が鳴っているような音がする。
階下の部屋の電話が鳴っているのだろうか。
その音は、規則正しく、いつまでも鳴る。
人がいない部屋に、いつまでも電話が鳴っているのだろうか?
もしかしたら、それは、鳥の鳴き声だったのかもしれない。
ひとしきり、体をほぐした所で、朝食に行く。
ここの朝食は、朝8時からなので、8時ちょうどに行くと、スタッフはまだ皆、机をふいたりしていて、食事しようかなんて人は、私だけだ。
スィートルームに泊まっている人たちは、鶏の声に起こされる事もないので、もっとゆっくり遅くに朝食に来るのだ。
のんびりと、遠くの棚田の景色を眺めながら、食べ終えた頃に、スィートルームの人たちはやってくる。
私は、行き違いに自分の部屋へ、階段をとことこ降りて戻っていく。
戻る頃には、鶏たちも落ち着いているので、ここで軽く一休み。
この宿には、「Please make up room」とかの札がないので、電話でフロントに、部屋の掃除を午後にしてもらうよう頼む。
本を読んだり、一休みした後、有名なテガラランの棚田を見に行く。
この宿から、徒歩10分ほどだ。
この棚田周辺は、すっかり観光地化されていて、昼間は観光客でごった返している。
排気ガスもすごくて、以前のようにはくつろげない。
でも、やっぱりいい景色である事に変わりはないので、棚田をしばし眺める。
美しい棚田を見た後、またとことこと歩いて、ホテルに戻る。
すると、スコールが降ってきたりする。
私の部屋(エコノミー)は、例によってオープンエアーなので、窓を閉めても、ざぁざぁと大雨の音が聞こえる。
部屋に居ながらにして、スコール感が味わえるなんて、この部屋は楽しい。
そんな雨音を聞きながら、午睡するのは、とても幸せな時間だった。
雨がやんで、日が落ちると、私は部屋の電気をつけずに、そうそうに寝る。
なぜなら、オープンエアの部屋なので、電気を付けて虫が入ってくるのが嫌だったのだ。
朝、早起きしているので、夜も8時位から眠れる。
すると、8時20分位に電話がかかってきて、目を覚ます。
その電話は、レストランからで、もうラストオーダーになるけど、夕食は大丈夫か、という内容だ。
うん、大丈夫、と返事をして、再び眠る。
カンプン・リゾートでの1日は、こんな感じで終わって行く。