大阪で、ゴキブリの事を、「あぶらむし」、と言う。
東京では、誰も言わない言葉だ。
だが、最近では、大阪でも、「あぶらむし」 と言わないで、ゴキブリと言う人も増えてきた。
多分、テレビで、ゴキブリがどうだとか、ゴキブリ退治に何々とか、言っているので、皆、自然に、ゴキブリという言い方が、身についたのだろう。
ゴキブリ、が全国で通じる言葉なのに比べて、全国に広がっていない言葉もある。
その一つに、「ものもらい」 がある。
これ、大阪では、絶対に、「めばちこ」 と言う。
東京で、「めばちこ」 と言っても、誰もわかってもらえない。
(これ、他の地方では、「めぼ」 と言う言い方もあるらしい。)
先日、しょうゆに比べて、ソースは地域性の強い食品だ、という事を書いた。
それは、ソースは、しょうゆほどに、生活必需食品ではないからだろう、と私は考えた。
「ものもらい」 という言葉も、ソースと似たような理由で、全国に広まらないのだ、と思う。
「ものもらい」 って、そう頻繁に、起こらない病気だし、起こっても、数日たてば治ってしまう。
つまり、そんなに、大病ではないゆえに、この言葉は、全国に広まらないのだ、と考える。
私は現在、東京にいる。
先日、私は何年かぶりに、「めばちこ」 になった。
が、私はどうしても、それを 「ものもらい」 と説明する事ができないまま、その「めばちこ」 は治ってしまったのだった。