カルロス・ルイス・サフォン「風の影」
スペインに旅行する前から読んでいたスペイン出身の作家による小説。
面白いんだけど、「長いなー」と思いながらダラダラ読んでいて最近やっと読み終わった。
下巻の後半になって急にいろんな謎が解けて一気に読み進んでしまった。
物語は1945年のバルセロナで始まる。
10歳の少年ダニエルは古本屋でフリアン・カラックスという作家の「風の影」という小説を入手する。
とても気に入って作家のことを調べようとするが、どうやらこの1冊を除いて全て燃やされてしまったらしい。
そしてカラックス本人はパリで亡くなったとか、よく分からない。
1945年から1954年まで、ダニエルが少年から青年に成長する様子と、フリアン・カラックスについての謎の探求が微妙に絡んでいく。
カラックスについて調べるうちに過去に彼に関わった人物と接触することになり、バルセロナの財閥アルダヤ家、アルダヤ家で働いていた乳母、カラックスの友達だったジャーナリストのミゲル、出版社で働いていたヌリア、刑事フメロなどの存在が出てきて、1930年代のスペイン内戦時代の事情も絡んでくる。
後半のヌリアの手記でいろんなことが明かされてパズルのピースがはまる感じ、とてもよくできてる話だと思った。
フェルミンのキャラが面白かった。
バルセロナが「影の都市」と称されているけど、私が訪れたバルセロナは光に満ちた場所だったから意外。
でも内戦時代はそんなダークな場所だったんだろう。
実際のバルセロナの地理が詳しく書かれていて、Google Mapを見ながら物語に出てくる場所を探すと面白かった。
(小説に出てくるお店なんかはもちろん架空の存在ではありますが)
読書や物を書くことの素晴らしさ、人生に対する影響を考えさせられたな。
冒険あり、歴史あり、ミステリーあり?でとても面白い内容だった。
で、これって4部作になってるのか・・・他の作品も読まねば
(作者は既にお亡くなりになっています。RIP)
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