フロンティア軌道法 入門編2 | 有機化学勉強会

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分子軌道のエネルギー準位図の基礎その1

 

ここでは、分子の軌道を考える際に使用するエネルギー準位図について紹介する。
下に示した図は、とても簡単な分子である水素分子の軌道エネルギー準位図である。
イメージ 1

図の縦方向はエネルギー準位を示しており、上に行くほどエネルギー準位が高く、エネルギー的に不安定であることを示している。
2本の横線があるが、これらがそれぞれ分子軌道を表している。水素分子には2つの分子軌道がある、ということである。
下の横線のところには、上下向きの矢印が横線と交差するように書かれている。これらの矢印はそれぞれ電子を表している。そして横線と交差していることで次のことを表現している。
「2つの分子軌道(2本ある横線)のうちエネルギー順位が低い方の分子軌道(図中の下のほうにある横線)には、電子が2つ存在している(矢印が2本ある)。」
1つの軌道には電子は2つまでしか存在できない、という原理があるため、一つの横線あたり矢印は2つまでしか書かれることはない。
水素分子のエネルギー準位が高い方の軌道(図中の上のほうにある横線)には矢印が書かれていない。これは、その軌道には電子が存在していないことを示している。

 

 

「軌道に電子が存在する」という表現を使う代わりに、「軌道に電子が入っている」という言い方もよくする。

 

 

2本の矢印が、一つは上向き、もう一つは下向きに書かれているが、これもルールである。詳しい理由はここでは述べないが、一つの軌道に入る2つの電子(矢印)はそれぞれ逆向きに書く、という決まりである。

 

 

電子が入っている軌道のことを被占軌道、入っていない軌道のことを空軌道、と呼ぶ。