みっちりと隙間がないこの世界。
そう考えるだけでもう息が詰まりそうだよ。
僕はしばらく、
僕の居場所について知りたくてうろうろしていたけど、
そんなことをすればするほどますます、
世界はわけのわからない物事でみっちりと濃度を増して、
僕の居場所はどんどん小さく、わからなくなった。
だから僕は自分そのものを隙間だと考えるようにしたんだよ。
僕は、隙間。変幻自在、無色透明、有名無実の隙間。
そう考えると突然、周りがガランとして、圧がさがったんだよ。
誰も悲しんでない。
誰も気づいてない。
確かに僕、消えたんだけど……。
すると突然、猫に膝をカリカリやられて、思わず、痛! って言っちゃったんだよ。
今、いいとこだったのに、あくどきものよ。