僕には一つの変わらない柔らかな思いがある。
人に対してでも、モノに対してでも。
それはいつか、『仏性』というモノについて話を聞いた時、
僕の中に蟠っていたモノが、一気に正体を現した気がしたから。
君らか……。君らが、僕を苦しめたり見守ったりしてくれていたのか。
時に親のフリをしたり、友達のフリをしたり、恋人のフリをしたり。
ところで、君ら、偉いの?
そのうち僕は、町に捨てられた看板や空き缶や吸い殻にも、
僕と同じ世の中にくたびれた姿が見え始めて、
それを見て見ぬフリをするすべてに同時に、情と非情を感じて、
あぁ、僕にはやるべきことなんて、はじめから何もないんだなぁ、って、
柔らかな気持ちになったんだよ、あくどきものよ。