「X」、旧Twitter、を見てたら、例の「タイマーズ、夜ヒット事件」の映像が流れてきた。そんなこともあったなあ、と眺めていたのだが、それへのコメントがちょっと酷いのだな。

 曰く、公共の電波を使って、罵詈雑言や卑猥な中傷を歌うのは、大物ロッカーとしていかがなものか、とか、そんな自分勝手な主張は自分のライブやステージでやるものだ、どれだけ周囲に迷惑をかけていると思っているのか、とか、うんぬん。

 ま、今時の、モノゴトをよくわかっていないハナタレ小僧ども~ロックに政治を持ち込まないで~などとほざくバカタレどもだと思うし、今時の「X」など、エロ画像とネトウヨと陰謀論者の巣窟と化しているから、さもありなん、とは思う。

 

 でもね、もう四半世紀前の出来事を「現在」の尺度で測るから、そんなことになるのだ。その事件を実際、オンタイムで目撃した人々からは、ちゃんとした意見が反映されている。

 つまり当時のTV番組やその関係者は、司会の古館伊知郎を含めて、結構大喜びだったフシがある。そもそも生放送の歌番組にタイマーズを呼ぶこと自体、そんなスキャンダラスな事件が起きることは想定済みだったようなのだな。

 予想通り、視聴率はハネ上がり、翌日のワイドショーではその話題で持ちきりとなった。今時のバカが言うような、謝罪とかお詫びとかは、当然一切なく、それは突発的な出来事であり、「表現の自由」の範囲内だということだろう。

 

 当時のTV、とりわけ民放局の立ち位置は、「公共の電波」とか言う意識は薄く、どちらかと言えば、今時の週刊誌的な立ち位置で、割合、突発的な「好き勝手」を繰り広げていた。何より視聴率第一主義で、またスポンサーも番組内容に口を出すことも無かった。更に、当時のテレビマンたちは、群雄割拠のツワモノ揃いであって、上層部から現場まで、そんな突発的(仕込みを含め)事件などに微塵ともしなかった。今時の、ちょっとしたクレームにも震え上がるTV局上層部とは雲泥の差である。

 だから「放送禁止語」やらオッパイポロリやら、スキャンダラスな事件が大好物で、いつもハプニングを織り込み済みでの放送であったのだ。その為、放送後の対応も、いわゆる「大人」の対応で、誰も大事にはしなかったのだよ。あくまで「表現や言論の自由」の範囲であるのだな。

 

 もう一つ言えば、今のような「コンプライアンス」重視な放送にならざるを得なかったのは、安倍政権によるものだ。様々な報道番組などで安倍政権の独裁振りが報道されると、政権は「放送法」を盾に、圧力を強めてきたのだ。つまりTV局の放送許可は所轄大臣の権限下にあって、政権の意向に沿わない放送にはスポンサー(大企業)を含めて、圧力をかけるなどしてきたのだな。

 その他にも「ヤラセ事件」だの、それこそ「不適切」な放送もあったりして、今に至るのである。

 

 モノゴトには必ず歴史や流れがある。モノゴトを一面的に判断すること、それは非常に危険な事である。それがいつかは自分の首を絞めることになることをキモに命じて。