たまに、私はここまで来る事もなかったんじゃないかって思う事もあった。


筋肉移植ならまだしも、神経移行くらいそこそこ有名所ならどこの病院でも良かったんじゃないかって。


このブログもそう。
書く暇は山ほどあったのに、更新できなかった。


所詮、上位型。


完全に元通りにはならないにしろ、手術したらそこそこ使えるようにはなるし、指が動くのはデカイ。


そんな私がウダウダ泣き言いったって所詮・・・だし、
前向きに明るく頑張ろうって言ったって所詮・・・。


腕神の世界では所詮軽症。


でも日常の世界では葛藤もある。

地元では、腕が動かないなんてだいぶん大怪我。

痛みが一生続くなんて、あちこち切って傷まみれなんて、けっこう可愛そう。



入院の間にはけっこう考える事もあった。


世間から離れて家族から離れて・・・

気分も落ちたり上がったり。

卑屈になったり明るく振舞ったり。


でも、なんか意味はあるはずだって、




怪我した意味?


手術が2回になった意味?


山口まで来た意味?




人間、失ったものより得たモノの数のが多いってのが世の筋っでもんでしょ。

こんな想いしたんだから、人として何か大きくなりたいし、得たものがあると信じたい。


こうなって、得たものを探してた。


意地でも帰るまでになにか見つけなきゃいけない。




見つからなかったら見つからなかったで、何か答えみたいなものをこじつけてでも持って帰らなきゃいけない。


実際、退院が近づくにつれて見つけた気になってたかも。






退院まであと1週間って所で一人の人ととっても仲良くなった。


彼が事故したのはもう10年以上前で、車椅子で、両手が腕神経叢損傷。
つまり両手両足。
左手は全型、右手の指も少し動くくらい。


正直、最初は「うわ~」って思った。


大変だろうな、なんて言葉じゃ軽すぎる。

この人は今までどんな壮絶な苦しみを味わってきたんだろうって。

この人に比べたら私の苦痛なんてあって無いようなもの。

そう思った。



この人はとにかく明るい。
社交性がハンパない。

誰とでも仲良くしゃべってるし、だれかれ構わず部屋を訪ねてくる。

用事で部屋に来た看護師さんがいつもケラケラ笑ってる声が聞こえる。



「その社交性すごいよね」って言うと

「だってどうせなら楽しくなきゃ」って言う。



昼間は彼とお笑いのDVD見たりして過ごすようになった。


もちろん、出来ない事はたくさんある。

でも、自然に頼んでくれる。


私も片手になって、出来ない事が増えたけど、
出来る事でも周りが過剰に手伝ってくれたり、逆に気にしてもらえなくてイラだったり。

こんな事もできないのか・・・と落ちたりもした。




10年の月日が流れてるとはいえ、彼は私とは比べ物にならない葛藤を経験してきただろう。



卑屈になろうと思えばいくらでも卑屈になれる。



彼の明るさが、キツイ状況をどう過ごしてきたか、

色んな経験が産み出した明るさだって見えるから

彼の人としてのすさまじい努力にただひたすら頭が下がる。




人間、生きなきゃならない。

どんな状況でも生きていかなきゃならない。

過酷な状況、つらい気持ち、自分をなかなか保てない時も。


それをどう生きるかは自分だけが決められる。




卑屈になって、できない事数える方が楽。
つらいのは、悲しくって蜜の味。
かわいそうな自分に酔える。


その状況をいかに良く過ごせるかを実践するのはものすごく難しい。




希望がまだあるから救いなんじゃない。

希望を持てる自分である事が大事。



私も含めて皆絶対言うけど、


足でなくて良かったね とか

顔が傷つかなくてよかったね とか

寝たきりにならなくてよかったね とか


言い方悪いけど下を見て慰める事に意味はない。


下はいくらでもあるし、上もいくらでもある。


そもそも怪我なんてしないのが一番良かったって話だし。




自分が立ってるのはここ。

今のその足元をしっかり見て進まないと、

踏み外してしまう。



私は私。

怪我したからってかわいそうでもない。

女なのに傷が残ったからってかわいそうでもない。

傷は勲章でもないけど、恥でもない。

私の一部。

右手が動かないのも、傷いっぱいなのも。



この右手とも、痛みとも逃げても仕方ない。

元にもどす!!無かった事にする!!じゃなくて、

受け入れて一緒に生きていかなければけない。

もちろんリハビリ頑張るけど。

この状況から逃げるためじゃなく、良くなる為に頑張ろう。

同じ事なんだけど、気持ちの持ち様って事。



やっと強がりじゃなく、気持ちが落ち着いた。


答えが見えた。


ココに来た意味。

追加手術までした意味。


気持ちがココまで来るまでは、まだ帰っちゃいけなかったんだ。


帰ったら、手が動かないかわいそうな子ぶるのは辞めよう。


人が手を差し伸べてくれるのを待ったり、分かってくれないからと嘆くのは辞めよう。


かっこつけるのも。

怪我が大した事ないフリするのも


大した怪我のフリするのも。



これ。


コレが私。