「オーディオセット入りましたよ」
とマスターに聞いてから今日まで随分と月日が流れてしまった。
江南市にあるここ鈴木珈琲館は、jazzライブが出来るカフェをコンセプトに設計デザインした。
ドアを開けてすぐ右にそれは鎮座していた。中央上から
・レコードプレーヤー DENON DP-1200
・CDプレイヤー DENON DCD-S10III
・プリアンプ McIntosh C27
・プリアンプ McIntosh MC2255
そしてその両脇に
・スピーカー JBL 4331A
オーディオラックは余ったカウンター材とレンガを組み合わせて作ったものだ。
往年の名機がずらりと並び、店内にJBL 4331Aが奏でるjazzが静かに流れていた。
私が店に入ったときはほぼ満席。その後も客足が途絶えることがない。
珈琲だけで勝負するのはとても難しいと思っていたが、この繁盛ぶりを見て設計者としてとても嬉しくなった。
美味しい珈琲とマスターのお人柄ががっちりと地元客の心を掴んだようだ。
「あとは外のカフェテーブルを残すだけですよ」
とマスターが言うのは、私が完成予想図にそれを描いたからだ。
レンガの床に丸いテーブルと椅子が2脚。そしてその脇にオートバイ。
オートバイはクラシカルなカフェレーサーか、もしくはアイアンスクーター。
オートバイについては私が訪れるときには勝手にディスプレイさせてもらっている(笑)
それを見たお客さんが話しかけてきてくれるし、昔自分も乗っていたと懐かしんでくれる人もいる。
そもそもカフェレーサーという言葉にはカフェの文字が入っている。
ウィキペディアの解説によると、イギリスのロッカーズ達が行きつけのカフェで、自分のオートバイを自慢し、公道でレースをするために「速く、カッコ良く」との趣旨で改造したことに端を発するとされる言葉である。
珈琲とjazz、そしておしゃべりをひとしきり楽しんで私は店を出た。
店のディスプレイの一部となっていたオートバイに跨り、太陽に向かって再び県道に出る。
クーラーで冷えたはずの革ジャンが高温に戻るのには、わずか3分とかからなかった。
鈴木珈琲館
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