本を読むのがとても遅い私は、三宅勝巳さんの出版パーティーから2日かけてこの本を読み終えた。
三宅さんファミリーと知り合ったのは2010年ごろ。私自身もこの時を境に別の人生を歩き始めた頃だった。
三宅さんは知り合ってまもなくO.P.E.N.の仲間となった。今現在もファミリー3人いつも一緒で、仲間とツーリングや食事を楽しんでいる。
勝巳さんとのお付き合いもそれなりに長い(とは言ってもほんの一部でしかないが)ので、お手洗いの時などちょっとした時間だけ勝巳さんを見ててくれる?と頼まれたことがある。
2人きりになったとき、私は勝巳さんに話しかける。
「今日は暑いね」とか、勝巳さんの持ってる絵本を見て「これ何かな」とか。
簡単な返事をしてくれる時もあれば無い時もある。
本の執筆者である江草さんが幾度となく戸惑われていた事が本に書かれているが、その正直な気持ちは本当によくわかる。
重度自閉症という勝巳さんにどう接するのがベストなのか、私にだってわからない。
ただ、いつだってみんなと一緒というスタイルを貫いてきた勝巳さんのお父様、お母様の姿勢には敬服してやまない。
自分では健常者だと思っている我々は、伝える言葉も手段も持っていながら、それを使いこなせていない事は日常茶飯事だ。
思っていることと裏腹のことを言ってしまうこともある。
言えばよかったのに言えずに胸に閉じ込めてしまうこともある。
言ったことで相手も自分も傷つけてしまうこともある。
それが原因で病んでしまうこともある。
重度自閉症と健常者との差なんて無い。
僕達は同じだ。
正直であること。
素直であること。
一生懸命になれること。
あきらめない努力をすること。
まだ起こってもいない未来の心配事に臆病にならないこと。
シンプルになれること。
勝巳さんとそのファミリーとご一緒させていただく事を、これまでも、これからもとても光栄に思う。