『おくりびと』でアカデミー賞外国映画語賞を受賞した滝田洋二郎監督が
獅子プロダクション時代に脚本の高木功と組んで製作した作品。
成人映画だが、非常によくできた作品であった。
あらすじ
流れの映写技師勝三(大杉連)は新作映画を観て驚く。
20年前の彼の犯罪がそのまま描かれていたからである。
勝三は映画会社に行き、その脚本を書いたという女性を
付け狙うが…
重要な点
日活ロマンポルノなどの成人映画は若手監督の登竜門的な要素もあり
数多くののちに日本映画界を牽引する逸材を輩出してきた面は否めない。
作品のタイプとしては3つに分類されるように思う。
①純粋にエロティシズムを追求した作品
②エロテックな要素や濡れ場はあるが青春映画であったり、ミステリーの要素が成立している作品
③完全にエロスよりも監督が描きたかったテーマを中心に構成されている作品
滝田洋二郎監督高木功脚本のこの作品はおおよそ②のタイプのように見受けられる。
要するにサスペンススリラーとしても一級の面白さがある。
良かった点
大杉連素晴らしい役者だ。先年、惜しくも亡くなられたのが本当に惜しい。
バイプレーヤーとしてではなくこの映画では主役だ。
またヒロインの織本かおるが非常に魅力的だった。
こんな素敵な女優がいたことを再発見できてよかった。
悪かった点
悪い点ではないが、尺が60分と短いのが残念だ。
しかし短いからこそ中身が締まっていて傑作といえるのかもしれない。