「暴かれた古代史」から読み解くもの(5)オオクニヌシの変身 | akazukinのブログ

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「日本史のいわゆる「非常時」における「抵抗の精神」とは真理追求の精神、科学的精神に他ならない」野々村一雄(満鉄調査部員)

オオクニヌシの変身


スサノオがシラギの女に産ませた子供がオオクニヌシ。
オオクニヌシがシラギの女に産ませたのがイソタケル。


オオクニヌシは出雲教の主祭神となり、
イソタケルはシラギ教の主祭神となった。


シラギ教が下火になると、イソタケルを少名彦命(スクナヒコノミコト)という本名に戻し、イソタケルと縁の深い出雲教のオオクニヌシが表に出された。


オオクニヌシの名前は、信仰が低迷すると時代や流行に合わせて代わってきた。


以下引用。


大国主の謎
http://masakaki.web.fc2.com/newdir/hitorigoto/ookuninusi.htm


京都府の出雲大神宮のページに、由緒書きに書かれた別名一覧を記載したが、ここにももう一度書いてみる。


大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)
大己貴神(おおなむちのかみ)
大物主神(おおものぬしのかみ)
八千矛神(やちほこのかみ)
大穴持神(おおあなもちのかみ)
大国魂神(おおくにたまのかみ)
顕国魂神(うつしくにたまのかみ)
広矛魂神(ひろほこたまのかみ)
大地主神(おおとこぬしのかみ)
所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ)
奇雍魂神(くしみかたまのかみ)
芦原醜男神(あしはらしこおのかみ)
三穂津彦神(みほつひこのかみ)
伊和大神(いわおおかみ)
幽冥事知食大神(かくりごとしろしめすおおかみ)
出雲御影大神(いずもみかげのおおかみ)
杵築大神(きずきおおかみ)

以上。


あと、〝兵主神ひょうずのかみ〟も大国主とされることが多い。


以上引用。


『出雲大社由緒略記』にはオオクニヌシの神名がたくさん書かれています。「このようにご神名が多いことは、大神(オオカミ)のご神徳(しんとく)がいかに広大であるかを明示するもので、その一つ一つに大神のご神徳を拝することができます…」と書かれています。


名前が多いのはご神徳である、偉大さを表しているとあるのです。それで大衆は額面通りに……信じて疑わないのです。(『暴かれた古代史』327頁~328頁)


何でも良い方に良い方にとらえたいのは多くの日本人の持つ心情だ。


だから、本当のことでも気にさわることは言わなくなる。


宗教で乗っ取ろうとするものは、逆にそれを利用しているというのにさ。


飛騨の口碑によれば、


…大己貴命(オオムナムチノミコト)とは天照大神の尊称なのです。

…大物主神(オオモノヌシノカミ)も、大国魂神(オオクニタマノカミ)も、元はといえばニギハヤヒの尊称なのです。


尊称は役職や手柄などにつけられたりしていますから他人の偉大な敬称を横取りしてそっくり手柄までも横取りしたのです。(『暴かれた古代史』328頁)


オオクニヌシのあだ名は葦原醜男(アシハラシコオ)という。


日本で一番評判の悪い男で軽蔑されていたあだ名も、時代がかわって意味がわからなくなったら『出雲大社由緒略記』に別名としてちゃんと記載された。


醜男(シコオ)を色許男(シコオ)と解釈しているのだから日本語も便利なものだ。


そもそもオオクニヌシ〈の最初の意味〉とは、出雲が九つに別れていたことの一地方である意宇(おう)という(小さい)国の主である、意宇国主(オウクニヌシ)ということなのです。


漢字が伝来してから、シラギ神崇拝教・出雲教は、オウクニヌシつまり意宇の国の主を、大国(オオクニ)と当て字しました。


そしてあたかも大きな国の主であるかのような大国主(オオクニヌシ)としました。


さらに仏教やインド思想が入ると大国(オオクニ)を大国(ダイコク)と読み、さらに大国を大黒(ダイコク)と当て字して大黒様(ダイコクサマ)に変身させ、〈息子の〉コトシロヌシが魚釣りしたことから、鯛を持たせて恵比寿(エビス)様に変身させ、オオクニヌシとコトシロヌシ信仰が色あせてくると大黒様、恵比寿様と真新しく化粧をしなおして盛んに活動したのです。(『暴かれた古代史』257~358頁)


どこでこのような知恵が回ったのだろう。


すがた、かたち、名前はかわっても同じ神を拝んでいるというのも、どこかで聞いた話だ。◆