2014-08-19 00:51:43

中東訪問の悲惨な感想をご報告します。

テーマ:国際政治
先般まで海外出張に行っておりましたが、中東における混乱を改めて肌身に感じて帰ってきました。その感想をいくつか。

紛争の出口がない中、人道状況があまりに悲惨になっていることです。シリア難民は900万人と、人口の4割を超え、その多くが長期間に亘り悲惨な生活を強いられています。難民キャンプの中の状況はご想像の通りですが、キャンプには入れずにいる、たとえばヨルダン北部に滞在している難民たちは、ヨルダン人との間で軋轢を呼んでいると聞きました。

今回、北イラクでシリア難民のキャンプを訪問しましたが、それはまだましな方で、モースル等から逃れてきたイラクの国内避難民のキャンプの状況は緊迫し、且つ荒れていました。
私がイラクの国内避難民のキャンプを訪れた日は、米軍がイラクを空爆するきっかけとなったシンジャール陥落の日で、その日だけでも多くの避難民がキャンプに押しかけ、極めて緊迫していました(小生がエルビールを後にした翌々日に米軍が滞在していた地域から20kmの地点を空爆したわけで、直接の難は逃れましたが)。難民の中にISIS関係者も居る可能性があるのみならず、たどり着いたばかりの難民は興奮し、敵対的でもあるからでしょう。国連のスタッフはその緊張感のためにキャンプにはおらず、テントと緊急食糧だけでまさに「放置」されたずたずたの難民がぼーっとしているだけでした。声をかけようにも、クルド側の兵士が、「危ないから」と制止して、難民に銃を向ける様子は、あまりに悲しいものでした。

直接訪れることはかないませんでしたが、ガザ地区の状況は極めて深刻で、停戦こそかろうじて続いているものの、飢えて死ぬか、空爆されて死ぬか、将来を悲観して嘆くか、あるいはイスラエルと戦うか、という本当にぎりぎりのところまで追い込まれているようです。

さらに、写真はシリアにあるヤルムーク・パレスチナ人キャンプの様子で、数週間前に国連のスタッフが入り、撮影したものをヨルダンでUNRWAの清田さんからいただいたものです。小生もこのキャンプを、平和なときに何回か訪れましたが、当時はキャンプとは言え、落ち着いたものでした。しかしながら、写真はあまりにショッキングで、シリアの内戦の中で忘れ去られたパレスチナ難民が置かれている地獄が目に浮かぶようです。

根本的な解決は、いずれの問題も遠いように思われてなりませんが、改めて、国際社会による支援を働きかけていかなければならないと強く感じました。

あまりに暗いご報告で恐縮ですが、これが中東の現実です。シリアのパレスチナ・キャンプ
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2014-08-08 16:24:44

緊迫する北イラク情勢:とりあえずの所感

テーマ:国際政治
オバマ米大統領が、米国の権益及び米国人に脅威が迫り、あるいは北部で少数派住民が孤立し救援が必要な場合に限り、空爆を許可した旨の報道がなされています。

小生は今週、まさに現在焦点となっているシンジャールが陥落し、クルド自治政府の置かれているエルビールへの守りが揺るがされたその日に、北イラクのクルド自治区を訪問し、同自治区政府関係者との会談や、ISIS(ここでは、Da'ishもしくはイスラーム国をISISで統一しておきます)の攻撃から逃れてきた難民キャンプの様子を見てきました。現在はまだ、外遊中であり、詳細な検討は別途述べたいと思いますが、取り急ぎ、論点だけでも整理しておきます。

今回のISISのシンジャール及びモースル・ダムに対する攻撃で明らかになったのは、以下のポイントだと思います。
○ かねてより弱いといわれてきたイラク軍のみならず、クルドのペシュメルガもほとんど反撃せずに逃走した由であることから、北イラク防衛の不安さが露呈された。
○ クルド勢力とは、キルクークでも交戦しており、中部を含め、ISISが複数の戦線で十分な作戦を行えることを示した。
○ マスウード・アル=バルザーニ大統領は直ちに隣国及び米国に飛び、支援を要請しているが、結局、彼らの安全の頼みは、外国であることも明らかになった。
○ ISISに対して比較的寛容であったクルド政府に対し刃を向けたということは、シンジャールが陥落した今、ISISにやはり寛容なトルコのアナトリアも標的になる可能性がある。
○ イラク戦争以来、ほとんど戦闘に巻き込まれてこなかったドホーク県、特にトルコ国境のハブールに脅威が及びかねない状況が、この20年で初めて発生し、クルド地域への物流が危惧される。
○ 現在、シンジャール前線で指揮を執っているのは大統領の息子で、若手の期待の星であるマスルールであり、同人の将来を占うことになる。

また、米国の介入の影響は以下の通りと考えます。
○ シンジャールのヤジーディやトルコマン、あるいはキリスト教徒保護のために空爆を行い、無用の被害が出れば、スンニー派や一定の部族の反米感情を煽ることになる。特に、ISISとされている勢力には、ナクシュバンディ一族や旧バアス党員も含まれているとされているところ、彼らや彼らの家族が標的になれば、2006年の状況を再現しかねない。
○ デンプシー統幕議長は、米軍のアドバイザー派遣を決定した直後、戦術目標を与えられないままには戦闘行為は行い得ないと議会で証言しているが、シンジャールが突如としてクローズアップされる中、軍としての戦術目標が容易に設定されるとは考えられず、ますます泥沼にはまっていくのか、米軍がどのような立ち位置になるかが問われる。
○ モースル陥落でイラク正規軍の武器を手にしているはずのISISは、様々な攻撃手段を有しているはずで、イラク上空の安全が脅威にさらされる可能性が出てくる。
○ オバマ大統領の限定した条件を超えると考えられるモースル・ダムにまで攻撃が及ぶことになり、ISISが敗走する場合には、ダムを決壊させる等の一か八かの作戦に出る可能性があり、その場合、モースル等の下流では大量の死者が出る可能性を否定できない。

取り急ぎ、箇条書きで懸念事項を書き連ねました。

いずれにせよ、北イラク情勢は非常に緊迫した状況を迎えているようで、強く懸念されます。
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