2013-01-19 01:10:49

アルジェリア情勢:軍事作戦の意味と情報戦術

テーマ:国際政治
アルジェリア情勢が混迷していると同時に、情報も錯そうしている。邦人の安否についても、良い知らせと心配を強める情報が混在している。また、昨日のブログにも記したが、今回の武装グループの犯行は人質事件としては異例のもので、強力な武力で警備兵等を圧倒した強硬且つ凶悪なものであった。この点に鑑みれば、今回の事件には武力的な側面が前面に出ているようで、心配である。

その一方で犯行グループは、声明こそ出しているものの、たとえばマリ情勢に絡めて連日国際社会を揺さぶったり、人質の画像を出して広報戦術として使用するといった手法をとっていない。また、さらなる要求を出すこともなく、どちらかといえば国外に人質を連れて早く退去したい様子すら伺える。脱出しようとした車両が攻撃を受けたとの報道もある中、武装勢力は国外逃亡することも、情報を外に流して揺さぶることもできず、身動きが取れない状況にあるのかもしれない。
また、アルジェリア政府からの情報を含め公式な発表は断片的で、首都から1000㎞以上離れていること、町中の事件ではなく隔絶された場所で発生していること、報道関係者がそばにいないこと等が、状況を見えにくくしている。行方不明の方々の安否は最優先されるべきで、情報の制限は致し方ない。しかし、アルジェリア内務大臣や英首相等の公の発言で明らかになったことについては、我が国政府としても情報を出すべきではないか。安倍総理の帰国を待ってから情報を一気に出すような、偏狭な考えにあるとは思いたくないが、情報が制限されていることを政府に都合よく解釈してはならない。

アルジェリア軍による一方的な軍事作戦は、極めて残念であった。その一方で、この軍事作戦とアフリカの多国籍部隊のマリ到着は、アルジェリア並びにマリ情勢に絡み強硬な態度を取る国の立場を軟化させる方向に働くかもしれない。人質になっているとみられる国の政府は、通告なき軍事作戦に批判を強めており、政治的にはこれ以上強硬な作戦を単独で実施できにくくなっているし、各国もテロリストに対する強硬姿勢を出しにくくなりつつある。しかし、不安定な状況にあるアルジェリア政府が国内的理由から反政府勢力に対し強く出る、あるいはアルジェリア軍が独自に行動する可能性は排除できず、懸念は払しょくできたわけではない。

武装勢力側もアルジェリア政府側も次の一手を打てずにいるのか、あるいは一部の報道にあるように政府側が強硬に軍事作戦を継続させるのか、不明であるが、人質の方々の体力も考慮しつつ、交渉の可能性を含めた国際的協調下での早急なイニシアティヴが望まれる。本邦で報道を中心に情報を見ている自分としては、何もできずにいるのがもどかしい。
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2013-01-17 23:55:51

アルジェリア情勢

テーマ:国際政治
アルジェリアの人質事件、心配である。

情報が交錯しているが、いくつか気が付いた点を昨日に引き続き書いておきたい。

1)犯行グループ
米英両国を始めとする多くの政府、アラビア語紙等は、犯行グループをアル・カーイダ系の組織、特にハーリド・アブ―・アッバースの率いるモラーセムーン旅団としているようだ。「ベル・ムフタール」もしくは「隻眼」として知られる1973年または1978年アルジェリア生まれのハーリド・アブ―・アッバースは、アフガン内戦参加後、FIS分派のGIAでアルジェリア内戦に参加し、その後マグレブのアル・カーイダに所属したが、内紛で独立した。その後はリビア内戦で大量に出回った武器やたばこの密輸や反フランス闘争で知られ、最近ではマリの勢力とも関係が深いと言われている。これまでの彼らが関与したとみられる誘拐事件に、ここまで大規模なものはなく、身代金目的の者も多かったようである。リビアやマリの紛争に乗じて、勢力を拡大させている様子が伺われる。

2)規模と事件の性質
相当な治安措置を敷いていたはずのガス関連施設を襲撃して多くの外国人を拘束するという大規模な手口は、人質事件の中でも珍しいものである。イラク戦争後の混乱で誘拐事件が多発したが、正面から堅固な警備を突破したのは2003年のクルナの警察署襲撃事件だけであったことからも、この事件の特異さがわかるであろう。アルジェリア軍はメンツをかけて対峙しているようで、アイン・オンム・アン・ナースの施設を包囲し、あるいは報道にあるように攻撃を仕掛けている趣だが、この報道が本当であれば、被害ゼロで済むという希望的観測がかなう確率は低くなるかもしれない。
ハーリドはすでに大きな成果を手にした。政治的要求を行うことで、マリ情勢に国際社会の耳目を集めることに成功し、内紛続きのマグレブのアル・カーイダ系勢力の中で地位を確立できた。単なる密輸やから、闘争の指導者に出世したとも言えようし、今後のリクルートにもプラスになったはずだ。その一方で、彼はおそらく、国外もしくは遠隔地から状況を見ているのであろうが、アルジェリア政府が抱えてしまったダメージと同政府の本気度に鑑みれば、話し合いでの「痛み分け」的な解決をシナリオから排除している危険性も否定できない。
さらに今回の事件は、モラーセムーンの主張にしたがえば、マリの紛争をアルジェリアにおいて表明するという手法になる。「アラブの春」以降、中東・北アフリカ諸国では不安定化が継続しているが、脆弱になった場所において問題が噴出するパターンの先駆になる可能性があり、「弱気に強い」テロリストのやり口が繰り返されないよう、心配させられる。

3)多国籍人質
今回の今一つの特徴は、人質が複数の国にまたがる点にある。つまり、たとえば日本政府が人命優先と言いながらも、単独の政府の判断で身代金を支払えば終わるというようなパターンにはないと言うことである。すでに米国政府などは、人命優先としながらも、マリにおいて断固たる立場を採ることがテロリストたちの基盤にダメージを与えるという点で有効であると主張し、欧州諸国との連携を強めているが、明らかに米国の立場と日本の立場は異なる。欧州訪問をしていたパネッタ米国防長官を欧州諸国説得と連携のために欧州にとどめた米国政府と、欧州訪問中の木内政務官をアルジェリアに向かわせた日本の違いは、この考え方の違いにあるのではないだろうか。

人質の安全を祈念しながら、冷静に情勢を見つめていきたい。
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2013-01-17 16:35:46

ワシントンに行ってきました

テーマ:国際政治
ご報告が遅れて恐縮ですが、6日から11日までワシントンに出張してきました。一昨年、昨年に引き続くワシントン出張となりましたが、今回は米国の2049年研究所と東京財団の招きで、同地において非公開の専門家との討論、米政府や専門家との意見交換、米国のマスコミや研究者を対象とした講演等を行ってきました。

もっぱら米国の方々の関心は、安倍政権下の日本がどこに向かうのかにあったようでした。特に質問が多かったのが、経済面では金融緩和による経済対策はどこまで持つのか、ムードはよいようだが実質的に経済を押し上げる目新しい政策はあるのか、さらに安全保障面では、防衛大綱を見直すとして動的防衛力構想に代わる構想を有しているのか、南西諸島防衛は米国の安全保障上の関心事項でもあるが、安倍政権の歴史認識見直しや中国プロペラ機の領空侵犯に対するF-15でのスクランブル等、国内配慮の鷹派的政策は行き過ぎではないのか、等に集中しました。

これらの質問に対しては、「金融緩和政策は行き過ぎてしまうのが常で止めるのが難しいのは事実で、きめ細かい経済対策も今後を見る必要があり、参議院選までの票をにらんだ政策にとどまらないことを希望している」、「名前だけ変えるならばともかく動的防衛力構想を捨てることは困難と考えており、民主党政権で書いた動的防衛力下の日本の機動力・統合力重視をベースとした日米ガイドライン見直しというシナリオにも大きな変更があるような、しっかりした安全保障の構想は未だ示されていない」、とお答えしてきました。

興味深かったのは、前述の動的防衛力を柱とした22年の防衛の大綱に対する米側の評価が一様に高かったこと、与党を経験した野党として、米国政府とは野党外交を継続してほしいとの要望が米政府側から示されたことでした。

改めて、日米間の協調のあり方を考えさせられました。主催者の皆さん、大変お手数をおかけしました。

なお、写真はヘリテージ財団で講演をしている様子です。
大野もとひろオフィシャルブログ Powered by Ameba-講演の様子
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2013-01-16 23:41:49

アルジェリアでの誘拐事件

テーマ:国際政治
報道によれば、アルジェリアにおいて日揮の社員と見られる邦人が拘束されたそうである。現時点で情報は錯そうしているが、どうやら、邦人に加えてアイルランド人やフランス人も拘束されているらしい。また、アルジェリア政府による発表や現地からの邦人の電話などの報道が正しいとすれば、誘拐というよりも現地の施設が武装勢力により抑えられ、一部の人々に被害が出ているという状況なのかもしれない。

多くの日系企業がリスクの多い地域への展開を躊躇し、外国企業の後塵を拝する中、日揮は、アルジェリアで長期にわたり事業を継続し、現地法人も設立してきた。同社はアルジェリアにおいて、石油処理プラントやガス関連プラントを受注し、我が国にとって必須のエネルギー分野においても貴重な役割を担ってきた。報道を見ると、どうやら同社がガス・プラントを受注したアルジェリア南東部のアイン・オンム・アン・ナース(英語表記ではインアメナス)のガス施設における出来事のようだ。

現時点で憶測は避けるが、可能性としては以下のようないくつかのシナリオが考えられると思われる。
1)アルジェリア国内のイスラーム系過激派による犯行
アルジェリアにはかつての反体制イスラーム勢力を母体とする『マグレブ諸国のアル・カーイダ』が、かつてよりは弱体化していると見られているものの確固たる拠点を築いており、彼らが外国人の多い施設を急襲、あるいは誘拐の対象とした可能性が考えられる。かねてより、アルジェリアで見られたこのような犯行が再び発生したのかもしれない。なお、8日には、この組織の前身である『教条と聖戦のサラフィー・グループ』のナンバー2であったベン・ムハンマドに誘拐の罪で無期懲役の判決が出されたばかりである。
2)リビアと関連の深いイスラーム系組織による犯行
アイン・オンム・アン・ナースはリビア国境に極めて近いが、アルジェリア東部はリビア西部のイスラーム系勢力や部族勢力と関係の深いアル・カーイダ系の勢力が拠点を築き、あるいはリビアとの間の武器・麻薬密輸の拠点となってきた。これらの勢力は、外国人の誘拐を繰り返してきた。
3)マリ情勢に関連したイスラーム系過激派による犯行
マリ情勢の悪化を受けて同国北部に勢力を拡大させている『アンサール・アッ・ディーン』などのイスラーム系勢力が、アルジェリア南部に越境し、あるいはアルジェリアでもその影響力を拡大させていると見られている。アルジェリア政府はアンサールに対する武力での制圧に乗り出しており、その余波を受けた可能性がある。また、マリに派遣されたフランス軍が北進し、イスラーム系勢力と本格的戦闘に入ったまさにそのタイミングであり、この影響も考えられる。

安倍総理は、小泉政権時代にイラクで3名の邦人が誘拐された際、総理に情報伝達を行うのを遅らせて初動に影響を与えた「前科」があり、危機管理には不安を抱かせるが、政府には冷静な分析と的確かつ迅速な判断が求められるところである。かりに、アルジェリア政府軍と武装勢力間の交戦が発生しているとの報道が真実であれば、事態は急速に展開する可能性もあり、あらゆる資源を投入して邦人の安全確保と正確な情報の把握に努めてもらいたい。その上で、邦人の方々の安全が一刻も早く確保されることを祈念している。
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2013-01-08 21:27:48

本年もよろしくお願いいたします

テーマ:つぶやき

新年、明けましておめでとうございます。 昨年は、民主党内のごたごたや分裂、解散に引き続く総選挙における大敗等、多くの出来事が起こりました。これらの政局に絡む様々な動きや、票第一の政治家の本性を目の当たりにし、勉強させてもらいました。


その一方で、首都直下地震対策、サイバー等の分野で政策作り、体制作りに力を注ぐこともできました。10月には防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官にも任命され、国益を追求し、自衛隊員を守るという政府に入った政治家の職責を果たすべく、全力投球してきたつもりであります。


遅ればせではありますが、本年もよろしくお願い申し上げます。

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