2012-06-22 10:41:54

イラン問題

テーマ:国際政治

19日、モスクワで開催されていたイラン問題をめぐるP5+1(米、英、仏、露、中、独、イラン)協議が物別れに終わった。当面は、協議再開の予定はなく、7月3日にイスタンブールにおいて技術会合が開催されることだけが決まっている。

イランの核疑惑をめぐっては、外交的な解決が行われない場合、イスラエルが武力行使を行うのではないかとの見方が強まっており、イスラエル側の要人もただちにとは言わないが、武力行使の可能性を肯定するかのような発言を繰り返している。かりに対イラン武力行使となれば、石油やそれに連動するLNG、LPGといった価格が高騰し、特に3.11後に深刻になっている我が国のエネルギー事情にきわめて深刻な影響が及ぶことになる。昨年の貿易収支悪化の約半分が高騰する化石エネルギー代金であることからみても、このことは明白である。ガソリン価格はここ数ヶ月低下傾向を見せているが、先のOPEC総会においても生産量維持が決定されたとおり、産油国はバーレルあたり90ドル程度をベースとみているのだから、今後のエネルギーを取り巻く環境には注目が必要である。また、対イラン武力行使が行われる場合、「アラブの春」以降、真情の吐露を厭わなくなった中東諸国における民衆の動きに伴う政情の不安定やイランのホルムズ海峡に対する軍事的影響力行使の可能性、それに連動するヒズボッラーの動き等も懸念される。一朝ことあれば、我が国のエネルギー事情にとどまらず、米国が争いに引きずり込まれるリスク、アジア向けの石油供給が不安定化し、世界経済を牽引するアジア経済の影響から経済不安が拡大する懸念等も存在する。

我が国にこれだけの影響が懸念されるにもかかわらず、日本はイラン問題協議に参加できず、限定的な影響力しか行使できない立場にある。米国やEUの対イラン制裁に振り回され、我が国が取り得る外交的手段は、他国の決定した制裁に従うか否かでしかない。イラン協議については、過去10年近く、我が国政府として協議への可能性を探ってきたが、それは実を結んでいないのが実情である。このような中、すでにご報告させていただいたとおり(http://ameblo.jp/oonomotohiro/entry-11218909496.html)、4月初頭には鳩山元総理と共にイランを訪問し、イラン政府に働きかけを行ってきた。イラン政府の有り様をみれば、直接高いレベルに対して国際社会の声を伝えることが必要と考え、イラン協議を継続できるような譲歩とIAEAとの協力を求めてきたのである。

外交においては可能な限り多くのチャンネルを持ち、巧妙に立ち回ることが必要だが、元首相として訪問をした結果、アフマディネジャド大統領にも直接働きかけることができた。5月にフランスのロカール元首相がイランを訪問しても、アフマディネジャド大統領には会えなかったことをみれば、この機会は貴重であった。我々の働きかけが効を奏したからかは不明だが、この訪問の直後にイスタンブールで行われたイラン協議においては、イランはこれまでの立場を大きく変え、協力の可能性を示した。昨年1月の協議においては、制裁の解除がなければ協議もないとの立場を示し、交渉は決裂していたが、この立場を覆し、信頼醸成と核問題および関連施設に関する協議に入ったのである。その後、5月のバグダードにおける協議を経て今回のモスクワでの協議において、イランは再びその立場を硬化させてしまったのだ。

イランの政府の高い立場の人物に対し、協議において字句を弄する余地はなく、事態が深刻であることを伝えることは重要である。特にイスラエルに唯一レバレッジを有する米国の大統領選挙が行われる11月までが一つの山であるとすれば、この時期の交渉決裂はもちろん、好ましくない。イランの石油輸出は急減し、サウジの生産量は81年以来初めて1000万バーレルを超え、各国の対イラン制裁や最悪の事態に対する備えは数ヶ月前よりも整い始めている。しかしながら、それにとどまらない影響の大きさを考えれば、イランの自制と外交の場における問題解決努力の継続は必須である。現時点では、直接イランを訪問することを考えているわけではないが、我が国の国益を正面から考え、この問題については引き続き努力をしていきたい。

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2012-06-21 10:41:36

エジプト情勢

テーマ:国際政治

エジプト情勢が再び混迷の様相を呈してきた。先週末に実施された大統領選挙決戦投票では、同胞団系のモルシー候補が有利と伝えられる中、選挙管理委員会は不服審査申し立てが多いとして選挙結果の発表を延期した。その一方で、大衆革命の標的であったムバーラク元大統領の容体が急変しているとの報道もある。

 エジプトの混迷の原因は、大衆革命のあり方とエジプト社会、新たな国作りの制度的問題の二点に集約されるのではないか。第一に「アラブの春」ともてはやされた大衆行動は、「ショート・メッセージによる革命」である。エジプトもそうであるが、今回の大衆行動の特徴は、たとえば「ムバーラクを倒せ!」といったショート・メッセージが様々な媒体で不満を有する層に拡大し、党派や主義主張を超えた連帯へと発展したことにある。歴史上典型的な革命のパターンは、たとえば共産革命やイスラーム革命のようなイデオロギーに基づくもの、あるいはイデオロギーは不明確でも軍によるクーデターのような一定の組織によるもの、のいずれかあるいは両方であった。ところが、エジプトでは右から左までの大衆が、確固たる組織基盤無しに既存のピラミッドの頂点にいた大統領を排斥した。つまり、確固たる見通しが立たず、既存の権力・利権構造という大衆が本来標的にしたはずのものも残ったままで政権が転覆したのである。このような中、エジプトに根強かったが押さえ込まれてきた宗教的なアイデンティティが地下のマグマが噴火するように吹き出した。

 エジプト大統領選挙には、資格審査を経た後に5名の有力候補が出馬したが、2名のイスラーム系、元首相、元アラブ連盟事務総長、汎アラブ主義ナセリストが出馬し、それぞれが総得票の10%以上を獲得した。最終決戦に残った二名の得票率は併せて50%強であるが、残り三名が50%弱、他の8名が2.5%であった。つまり、決戦投票は二項対立ではなく、ムスリム同胞団系の候補がよいか、ムバーラク政権にいた元首相がいいか、あるいはいずれも否定するか、の三項対立であった。革命は成し遂げたものの、着地点は見通せておらず、国民の多くを包摂する現実的な受け皿も見えなかったのである。

 第二の新たな国作りの制度的問題であるが、こちらも深刻である。ムバーラク政権転覆の後、軍最高評議会が移行期間の実権を握り、ガンズ-リー現首相が執政職を担ってきた。国民投票の結果、【新たな憲法制定→大統領選挙→議会選挙】ではなく、【議会選挙→憲法制定評議会の指名→大統領選挙→新たな憲法制定】という手順になった。ところが、国会選挙を行ってみると、イスラーム系が大躍進し、既得権益層並びに軍にとっては受け入れにくい状況が現れた。また、特定にイデオロギーに基づくものでなかった革命であるがゆえに当然ながら、革命に参加した層の全員が納得するものにはならなかった。たとえば人民議会においては、508議席中498議席が選挙の対象となったが(10議席は軍最高評議会が指名)、同胞団を中心とする会派が45%、サラーフィー系のイスラーム・ブロックが25%を占めることになった。その一方で、軍との対立も表面化し、憲法制定評議会に選出されたイスラーム系を始めとする委員の辞任が相次いだ。

 5月には、当初から決定されていた選挙制度に対して異論が出て、憲法最高裁判所が個人リスト分に当たる3分の1の投票結果無効を宣言し、軍が国会を封鎖するという挙に出た。来年の憲法制定までは、軍最高評議会が大きな権力を維持することの表明であるが、モルシー氏が大統領に就任すれば、既得権益と軍に対する対抗勢力となる可能性が強くなる。また、反革命勢力として反対キャンペーンにさらされたシャフィーク大統領候補に有利な仲介や司法介入があれば、これに対する反発も現れるであろう。

 新たな国作りの枠組みが定まったときには、エジプト安定化への期待もあったが、その中でも最も重要なプロセスである大統領選挙が終わり、新生エジプトの抱えてきた問題が一気に表面化してきた。様々な権力や権益の対立構図、まとまりが無いながらも「こんなはずではなかった」と考える大衆層の不満、これらを収束させるはずの政治プロセスの混乱は、かすかな期待をますます小さくしてしまいそうである。エジプトの安定は地域の安定に直結するところ、可及的速やかな政治プロセス進展に向けた支配層の妥協が望まれる。
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2012-06-19 13:16:35

社会保障と税の一体改革に関する三党合意

テーマ:政治

社会保障と税の一体改革に関する民主・自民・公明の三党協議が合意に達し、我が国にとりきわめて重要なこの問題に関する将来が見えてきた。この一連の法律は、社会保障関連費が毎年増え続ける中で消費税の増税をお願いし、その増加分を社会保障および社会保障の安定のための財源にすることを目的としている。政治の役割は、「100年安心な年金」などと、できもしないアピールをすることではなく、政治主導で受益と負担のバランスが取れた信頼のいただける制度を構築し、国家の債務を若者や将来の層に無責任に押しつけ無いようにしていかなければならない。

今国会においては、すでに民主党の主張通り合意されたいくつかの法案に加えて、衆議院社保・税特別委員会において、以下の法案が審議されてきた。

消費税法改正

地方税法・地方交付税法改正

国民年金法改正(年金制度強化)

厚生年金法改正(年金制度一元化)

子ども・子育て支援法

総合こども園法

子ども施行法

その一方で3月に党内政策調査会での手続きを了した経緯を踏まえて、三党間で協議が行われ、基本的な合意ができあがった。これらの経緯を通じて明らかになったのは以下の3つの分類であろう。

1.民主党案で成案に至ったもの

社会保障分野では、医療・年金・介護・子どもの4分野における信頼のおけるシステムを構築し、それを消費税値上げ導入前に決定させることが合意された。税分野では、14年までに8%、15年までに10%に上げることが合意された。年金の制度改革については一体化の主張が受け入れられており、国民会議の審議を経た上で大綱にある通り来年度提出への道筋ができた。社会保障番号制度については早期導入が合意され、低所得高齢者への給付額制度も維持されている。こども園については、自公の制度では幼児教育の機会を等しく与える制度として定着していない中で、幼稚園は文科省、保育園は厚労省という縦割り行政を廃し、内閣府で一元化して取り扱うということが合意された。小規模型保育についても原案通りで、待機児童の解消を含めた子育て支援は幼保一体化を柱として進められることになる。

税分野では、8%への引き上げ段階からの低所得者に配慮する簡易な給付措置の導入が合意され、導入の際の経済成長目標を数値として残し、引き上げ時期の政権が実施の判断を行うこととされた。また、独占禁止法・下請法の特例条項を付して消費税の適正な転嫁を担保できた。

2.民主党案から落ちたもの

総合こども園法案については取り下げることになったが、認定こども園法改正となる中身については民主党の手法が大きく取り入れられることになり、名ではなく実を採る形になった。ただし、株式会社の参入部分は落とされたが、この部分は党内議論でも異論の大きかったところであった。保育費の徴収主体も自治体のままとなったが、恣意による認可ができないよう厳しい条項を付した。最低保障年金は年金制度の外で対応することになったが、拠出元や実施主体は同じであり、ここでも名ではなく実を採ることになった。後期高齢者医療制度の廃止については平行線であったが、「必要があれば国民会議に委ねるとして、早期に決着をつける方向で努力することになった。高額所得高齢者への年金額調整規定は削除され、その分の財源が減ったため、低所得者への加算額が6000円を基準から千円引き下げられた。

3.社会保障制度改革国民会議に委ねられたもの、将来の検討として先送りになったもの

上記の合意を主とする三党合意に従った年金制度、医療・介護保険制度、更なる少子化対策を国民会議で審議する。本年閣議決定された社会保障・税一体改革大綱を含めた幅広い観点からこの会議は審議を行うことになる。委員は総理により指名されるところ、民主党の考え方の反映は担保されたと考えている。なお、民主党政権はかねてより、この問題は政権が変わったからといってころころ変わってしまってはならないために超党派の協議を呼びかけてきた経緯があり、協議の枠組みができあがったことは重要とも考えている。

控除に関する考え方、軽減税率か給付付き控除か、歳入庁を設置するかについては、与野党の考えが対立しており、25年度税制改正をにらんで改正していくことになろう。軽減税率は高所得者優遇の逆進性があり、給付付き控除には所得の把握ができるかという問題点があるため、マイナンバー制度のあり方を含めた議論が進められていくことになるであろう。

小生は参議院に出馬するにあたり、新聞社のアンケートに対し、「消費税は15%位になるよう政策を作らないと、遅くなればなるほど事態は深刻になる。しかし、国民に負担をお願いする前に自ら身を切ることを示すためにも議員定数の削減をすべきである。」と回答した。その新聞社は数字だけを取り上げ、参議院選挙の候補者の内、ただ一人消費税増税論者として報じられ、ご批判をいただいた経緯がある。しかし、問題が深刻であり、政治家としていやがられてもやらざるを得ないことがあるというのが当時の認識であった。その一方で、議員定数の削減はまだ満足いく形で収れんしておらず、その点はお詫びするしかない。議員定数削減問題については、改めて記させていただくとするが、ここではそのための努力を継続することのみとしたい。

社会保障と税の問題はきわめて重要であることは、前述の通りである。だからこそ、信頼のおける社会保障のシステムの構築は、国民一人一人に等しく重要である。そうであれば、本件は政争の具にしてはならず、社会保障のあり方や税制のあり方に異なる考えを有するとしても各党が国民主体で検討していかなければならないと考えている。このような観点から、この問題が幅広い議論を喚起し、近い将来信頼できるものとして完成していくことを強く願っている。
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2012-06-06 22:34:13

大飯原発再開反対署名に関する私見

テーマ:政治

原発再開に関して「安全は確保されていると」小生あるいは小生の事務所がしたとの根拠のない情報があるようなので、今回の大飯原発再稼働反対に署名しなかった理由を申し述べます。


再稼働には安全に鑑み慎重であることは当然ながら、地熱発電以外の再生可能エネルギーによる発電以外は、すべて危険リスクを負いますが、それはリスクの大きさ×事故発生の確率になります。我が国が原発を選択する以前であればともかく、現在では停止している原発も同様に、自然災害となればそのリスクは甚大です。


このような中で、①使用済み燃料のあり方を含め、総合的な対策が急務、②電力確保とのバランスを考慮すべき、③原発の代替は当面、我が国の依存する一次エネルギーの82%を占める化石エネルギー以外にあり得ないが、その確保とコスト対策への検討が不十分なままで原発停止ありきの議論は無責任、④このままでは、10年以上前のタービン等を活用した発電が継続し、そのリスクも考える必要がある、⑤あまりにリスクの大きい原発以外については、規制委員会の設立もにらみながら検討の要がある、と考えました。したがって、浜岡の際には反対を表明してきましたが、今回は署名を見送りました。


なお、国民を代表する国会議員の責任として、上記の懸念については、①使用済み核燃料に関するWTの役員となり、議論を主導、②政府が承認した化石燃料小委員会の中間報告提言に大きく関与等、積極的に活動してまいりました。ご理解いただくことは困難かもしれませんが、与えられた現実的な与件の中で、危機管理の手法に鑑み、今後も責任感をもって判断をしていくつもりです。

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