2011-05-28 01:08:41

日韓図書協定について考える

テーマ:政治

我が国で初めて、炭鉱記録画家山本作兵衛(1892~1984)の絵画や日記など計697点が、福岡県田川市などの申請でユネスコの世界記憶遺産として登録されることになった由、本当におめでとうございました。

さて、今日、国会でいわゆる「日韓図書協定」として知られる協定が承認されました(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110527/t10013150271000.html)。本協定には、自民党などが、韓国側所管の日本の文化財の取り扱いを決めないまま日本側が一方的に文化財を引き渡すのは問題だとして反対し、議場には「売国だ!」等の自民党によるヤジが飛び交いました。

そのような激しい自民党の主張があったので、あえて記しておこうと思うのですが、2006年、東京大学は朝鮮王朝実録(以下、「実録」)をソウル大学に引き渡しました。今回の日韓図書協定で引き渡されることになる朝鮮王朝儀軌(以下、「儀軌」)には唯一本は含まれませんが、実録には唯一本が含まれ、また、韓国では国宝に指定されると共に、儀軌と同様、ユネスコの世界記憶遺産に登録されている貴重な書籍です。

ところが、この「実録」は、独立行政法人たる東京大学所蔵の品であることを理由に、政府は全く何の関与もせずに韓国側に引き渡されました。ここに大きな疑問があります。第一にそもそも、「儀軌」と同様に朝鮮総督府経由で我が国の国有財産となったこの「実録」の引き渡しに、なぜ政府は関与しなかったのか。第二に、独立行政法人所蔵の文化財は、それが重要文化財に指定されていない限り、独自に処分してよいことになっているが、マグナ・カルタやアンネの日記と同様に世界記憶遺産に登録され、韓国で国宝となっている「実録」が、なぜ我が国で重要文化財に指定されなかったのか、あるいは検討すらされないまま引き渡されたのか。第三に、2006年、当時の麻生外務大臣は国会での答弁として、我が国に残された朝鮮半島由来の文化財引き渡しに関し、「重要なことは(1965年の日韓基本条約によって解決済みであるから)返還ではなく、引き渡されることである」と述べているが、引き渡された「実録」が韓国において「還収」もしくは「返還」とたびたびされていることで、果たしてよかったのか。

そこで木曜日の外交防衛委員会でこの「実録」の問題を取り上げ、上記の質問をしたところ、以下のような答弁でした(議事録が公表されたら、改めて小生の質問とそれに対する答弁はこのブログにアップします)。

第一に「実録」の引き渡しに際しては、東京大学から通告はあったが、重要文化財に指定されていなかったので、何ら関与しなかった。

第二に、所有者が申請をしなかったので重要文化財に指定しなかったし、現物についてもよく承知していなかった。また、ユネスコ等での評価は必ずしも我が国の文化財基準の価値と同じではない。

第三に、東京大学が引き渡したものであるから、韓国側が使用する用語について政府が関知するものではなかった。

しかしながら、「実録」は当時多くの報道で取り上げられ、国会でも取り上げられたことがあるのだから、やはり政府は「実録」の引き渡しという外交上の重要性を有するこの問題に目をつぶったことは、適切ではなかったと思います。

また、所有者が申請しない場合でも、重要文化財に指定された例は数多くあるどころか、法律によれば所有者申請は要件ではありません。文化財保護法の目的が「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」にあるのですから、いったんは我が国の国有財産であったこれだけ重要な「実録」を「知らなかった」で済ませるのは、無責任と考えます。

さらに、国益の最大化に努める外交の常識に従えば、二国間の外交に資する形を整えずに、「引き渡し」についてもあいまいな形のまま政府の関与なしに行わせたことは、大きな失態と言わざるを得ません。それどころか、「実録」の由来がわからないとされていたにもかかわらず、当時の朝日新聞が公にされている書籍にその由来が記されているのにおかしいと指摘していることに鑑みれば、当時の自民党政権は面倒な問題に目をつぶり、知っていながら敢えて無視し、国民の目から隠ぺいしたとすら考えられなくもないのです。

今回の「儀軌」の引き渡しが、二国間協定の形で外交的に恩義を売った形を整え、日本語と韓国語で「引き渡し」と明記し、国会での透明性を伴う議論を経て政府が責任を負うこととしたことと、「実録」の時の対応はあまりに違うのではないでしょうか。もちろん、「実録」引き渡しの際に自民党政権が韓国にある我が国の文化財返還を求めなかったことが、今回を含めて未来に亘り我が国が韓国に主張しないことを正当化することにはなりません。1965年の基本条約を踏まえ、韓国と同様、我が国もこれまで行ってこなかった文化財返還の国民の声を「世論」として相手国に伝える必要があると思います。

しかしながら重要なことは、自らの過去の過ちを反省することなく金切り声をあげるようなパフォーマンスではなく、二国間関係を含めた外交上の利益、文化財の保護とその正しい活用等、冷静な議論の中で我が国の国益を最大化する努力ではないでしょうか。

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2011-05-18 00:23:40

外交防衛員会での原子力組織に関する指摘

テーマ:国際政治

原発の問題がさまざまな形で議論をされている。


小生はこれまで、外交防衛員会で、我が国として積極的に対外的に説明責任を果たすこと、海外から信頼を得られるような環境を醸成すること、今回の事件を奇禍として、ドラスティックなエネルギー戦略の転換を果たし、そのために必要な対外的働きかけを行うと同時に、それを国際的な意味での強みに変えていくことを指摘してきた。


そのうえで今日の外交防衛委員会においては、震災後のどさくさまぎれに火事場泥棒的に北方領土をロシア副首相が訪問したことについて、抗議のみならず、対外的にもPRすべきこと、震災に際しての救助・復旧活動における日米関係が周囲の国に与えたメッセージの重要性、より緊密にわが国が日米間の調整に役割を果たすべきであったこと、中東の民主化とわが国の立場等について質問をさせていただいた。


その中でも、いくつかの外国における報道が、今回の原発の問題の所在を、長きにわたり作り上げられてきた原子力村と言われる我が国の原子力行政文化に見ていることを指摘し、事故を起こし、外国に対して加害者となり、風評被害と言いながらも、相手国の疑心暗鬼を煽った現実を踏まえて、諸外国から信頼を得るためには、以下のように厳しく対処すべきと申し上げた。


① 指摘されるような規制機関や電力会社に対する長年続いた関係諸官庁からの天下りを厳しく監視し、防止すること

② 以下の表の通り(小生が勉強用に国立国会図書館「外国の立法244」(2010,6)、2010年版原子力ポケットブックを元に作成)、G7の現在でも原子力発電を認めている国の中で、原子力規制機関が独立ではなく、原子力推進省庁の下に置かれているのは、我が国のみである現実を改め、諸外国から信頼を得ること


が必要であると指摘した。せっかく政権交代を成し遂げたのであるから、過去の政権が犯した過ちの轍を繰り返してはならない。仮に今一度同様の原子力事故があるときには、この惨事を経験しながら何もしなかった政権の罪は過去の政権以上に重くなると考えている。




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2011-05-13 23:23:10

20ミリシーベルト問題について

テーマ:政治

本日の本会議において、住専の損失および残存債権の処理に関する特別措置法が採択され、やっと自民党政権時代の負の遺産に目処がついた。その一方で、税と社会保障の一体改革では、やはり前政権の負の遺産である後期高齢者医療制度見直しは、議論はされたものの盛り込まれず、年金一体改革は先送りされてしまった。残念な限りである。

東日本大震災後の問題の一つとして、福島県内の校庭利用に関する、いわゆる20ミリシーベルトの問題についてどう考えるのかとの照会も多いところ、自分なりに考え方を整理しておきたい。

第一に、20ミリシーベルト/年レベルの放射線を浴び続けるような状態に子供たちを置くことは断固反対である。報道ではあたかも政府が20ミリシーベルト/年を許容しているような誇張されたものもあるが、政府は長期的にこの基準を保持するのではなく、暫定的なものであり、7月には見直すとしているので、この点は理解できる。

第二に、長期的に子供たちが放射線を浴び続けるのは、大きな問題である。1ミリシーベルト/年に近づけていくという政府の主張を具体的に実現する措置を早急に講じなければらならない。

第三に、その間の期間の放射線基準であるが、それが暫定的なものだとしても、私は、20ミリシーベルト/年は危険だと思う。子供たちに対する「配慮が必要」とする国際的な勧告に従えば、米国の原発で働く成人を前提とした5年間100ミリシーベルトの許容量と同等の最大限の許容量が暫定的にせよ適用されることが適当とは思えない。公衆の年間被曝線量限度1ミリシーベルトがよいのか、しばしば指摘される57ミリシーベルト/年にすべきかは専門家に改めて判断いただきたいが、いずれにせよ、政治家の使命として重要なことは、第二番目に指摘した1ミリシーベルト/年に近づけるための具体的施策と考える。

今回の事件においては、JCO臨界事故の際のように政府の措置が後手に回り、退避が遅れた轍をせっかく踏まずにすんだのであるから、政府が主導権を握る以上、未来を担う子供たちを守るために安心できる基準を示さなければならないと強く感じている。

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