2010-12-16 14:15:45

地球温暖化対策主要三政策について

テーマ:政治

昨日、党の成長戦略・経済対策プロジェクトチームがとりまとめている地球温暖化対策の主要三施策に関する提言とりまとめのための総会に出席した。


小生としても、以前から環境には強い関心があり、総会において発言もさせていただいた。


民主党は地球と環境に優しい党であると同時に、グリーン・イノベーションによる成長・雇用の実現を掲げ、環境と経済の両立を主張してきた。そのような中で議論になったのは、地球温暖化対策のための税、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度、および国内排出量取引制度であった。


前二者については、多電力消費業界への配慮の必要等も強調されるべきであるが、CO2排出量削減のために必要で、なおかつ環境と経済の両立に資する政策であろう。しかしながら、全量買い取り制度については、環境と経済のいずれにも貢献しないかもしれず、また、マネーゲームの助長や国際的な枠組みへの不用意な参加、官僚による規制と介入促進、測定と買い取り基準のあり方等、現時点で制度導入を検討するには、あまりにも解決すべき問題が多いと考えている。先般も英国大使館と議論したが、英国では商業的関心から専らこの議論に関心が強く、ロンドンのシティが虎視眈々と狙っている我が国の「買い取り」市場創設という手法が適切か、大いなる疑問である。

そもそも、規制と買い取り制度ありきで議論をすると、一義的には消費者と企業への負担が増加するのみではなく、仕事をしない企業が本業以外の排出枠で儲け、環境商品を積極的に製造する企業の負担が増加する等、グリーン・イノベーションという新たな分野での成長戦略へのインセンティヴが減じかねない(たとえば電球よりもLED電球を製造するときの方がCO2排出は多いが、使用時には大きく減少可能である)。また、日本において製造業を続ける限り負担が多いのであれば、海外に転出する可能性もあるが、第三世界に工場を造る場合に、日本において環境対策にかけるほど企業が対策費を出費するとは思えず、かえって排出量が増える可能性もある。さらに、米中を含む国際的枠組みや共有された基準の設定が無く、マネーゲームの要素以外の肝心の環境への貢献に確信がない中で、我が国が先行して買い取り制度を実施する理由がわからない。環境と経済の両立ではなく、経済の深刻な停滞による環境目標達成では、しゃれにもならない。


推進派の方々は、鳩山内閣はCO2削減25%を国際公約としたことを強調されるが、この部分だけ取り上げるのは都合のいい解釈で、この国際公約は、「すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の」前提であったはずである。我が国は意欲的な目標を掲げたのであるから、これを実施・達成するためにも、国際社会による真の環境貢献を目指し、環境に名を借りたマネーゲームに終わらない枠組み作りに指導的役割を果たしていくべきで、その間にグリーン・イノベーションを成長・進展させる政策こそ、世界に役立つ政策ではないだろうか。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2010-12-10 01:23:51

環境安全保障についての意見交換

テーマ:国際政治

2日ほど前ですが、英国の海軍対象と食事をしながら、地球規模の環境変動が安全保障に及ぼす影響に関する非公式且つ忌憚のない意見交換をしてきました。英国側は、このような環境変化は、軍の国際的な災害出動への要請を高め、食糧やエネルギーをめぐる紛争を助長し、国内の不安定を煽るために一部の国を先鋭化させると同時に、破たん国家を作りやすく、テロや紛争を招く素地を創造しかねないとの懸念を抱いている由でした。


これに対する対応のあり方についての意見交換であったのですが、日本としては、このような観点で安全保障を見つめ、予算措置をしているようなこともないので、個人的な意見の交換となりました。なお、小生の他に日本側から出席されたのは、民主党の北神佳朗代議士と野党の元防衛庁長官でした。


小生の方からは、食糧安保の我が国における脆弱性および石油以外のエネルギー備蓄体制は不安材料であること、気候変動は国境を超えて地域的な影響を及ぼす可能性が見込まれることから、地域的レジームを作り上げることが重要であるが、アジアにはかかる事態に対処する有効な枠組みがないことから、北東アジアにおいても安全保障の観点からもかかる枠組みを積極的に作る必要性、等を指摘しました。北神代議士からも、かかる問題に対する我が国の対処の遅れを懸念し、希少資源等への地域的レジームの下での取り組みの重要性が指摘されました。

その一方で、元防衛庁長官殿は、胸を張って「我が国の自衛隊では、LEDの導入等を始めとしてエコ対策が進んでいる」等、とんちんかんな発言に終始し、同席のイギリス人の失笑を買っていました。さすがに官僚依存時代の大臣、官僚の準備した答弁がないと対応は困難だったのでしょうか。ただ一人通訳をお付けになっておられたので、コミュニケーションの問題ではないと思うのですが、このような大臣に国民の命を預けていたと思うと、ぞっとしました。


それはさておき、英国は気候変動を商売として強調する傾向が強い国の一つであり、あの手この手を使って我が国にも、たとえば排出権取引への参加等を求めてきているところ、英国のこの分野における働きかけには十分注意深く対処する必要があると思うものの、かかる問題提起は重要であると強く認識した次第です。


今後は、党内の外交安保調査会等を利用し、広範な議論を惹起すべく努力してまいります。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2010-12-10 01:21:37

「防衛計画の大綱」への提言について

テーマ:政治

 今般、民主党の外交・安全保障調査会は、今後5年間の日本の防衛の指針となる「防衛計画の大綱」に対する提言を行った。小生は、中川座長の下、長島、吉良、三村各衆議院議員等とこの提言のとりまとめに主体的に関与した。党内のとりまとめ作業には少数の異論もあったが、太宗の意見が反映され、全体として提言にご賛同いただく結果となった。党内コンセンサスのプロセスを経てまとめあがった提言であり、国民の安全と命にかかわるからこそ、その結果を尊重し、妥協してはならない結論と肝に銘じ、役員会等でも頑張り、中身に留保が付されないままに「党の提言」とあいなった。本提言およびとりまとめプロセスに関する私見は以下の通りである。なお、提言本文については、本日アップしたブログを参照願いたい。


 「基本姿勢」では、本提言の基礎となる原則として、①平和主義と国連の下で国際協調推進、②文民統制と専守防衛原則への立脚、③日米同盟を基軸としつつ、アジア地域における新たな安全保障体制を模索、④新たな脅威に対する国連強調と、自衛隊の海外派遣に際しての武力行使との一体化防止、⑤世界における核兵器の削減・廃絶と北東アジア地域の非核化指向、⑥インテリジェンス体制の整備、が述べられた。①は我が国の国是でもあり、揺らいではならない部分であろう。②は防衛大綱との関連では伝統的な「拒否抵抗機能」を規定し、③は抑止と国際レジームを、また④では非対称的な脅威を含む新たな脅威への対処が強調されるという組み立てになっている。


 前文は、単なる美辞麗句の記述に終えないつもりであった。私は、既に我が国は狭義の意味での軍事・自衛隊力によって守られているのではなく、オール・ジャパンで守られていることに鑑み、総合的な安全保障を打ち立て、安全で安心な日本にすると、選挙戦中を通じて訴えてきた。この発想は、「縦割り行政を超えた政治主導を実現し、外交・防衛・経済・情報を一体とした総合安全保障」という文章に表れている。さらに日本の訴える平和とは、ともすれば国際社会から「一国平和主義」であり、国際社会・国連との強調を訴えつつもリスクの高い部分は避けていくと受け取られてきた。一国平和主義から、我が国の安定を将来にわたり保障し、不安定な東アジア情勢の中で、地域としての安定を構築し、貢献するためには、域内、ひいては国際的で多層的な協力体制・国際レジーム構築に積極的に関与しなければならないと理解する。
 国内的にも、防衛省主導の縦割り行政の中で書かれた大綱や中期防は意味が無く、総合的な安全保障につながるような大綱でなければならないと考え、自衛隊の人員と装備にとどまらない広範な分野に提言を到らせた。そもそも、政治家主導でとりまとめる大綱で人員を具体的に明記することは困難で、行うべきは5年間の安全保障を見据えた「柱」の提言であり、具体的な人員等については、現場の事情を踏まえて、防衛省がこの「柱」に沿ってとりまとめればよい話だ、との発想も背後にある。


 前文に引き続く本文では、①動的抑止力の向上と南西方面への対処、②人的基盤、③装備品の戦略的整備と武器輸出三原則の明確化、④国際平和協力活動への積極的な取り組み、⑤安全保障・危機管理における官邸機能の強化およびインテリジェンス体制の充実、⑥核軍縮・不拡散に関する取組、の6項目に絞って提言させていただいた。


 本文中の第一は、動的抑止力の向上と南西方面への対処である。南西方面を含め、東アジアの安全保障環境に合わせた体制整備が必要であるが、たとえば中国の軍拡と合わせて我が国の防衛費を増強するとすれば、それは非現実的且つ紛争を煽りかねないし、隣国に脅威であると受け止められかねない。また、北海道から南西部に陸上自衛隊を再展開させることも一案かもしれないが、北海道という一大訓練地の代替地を他でただちに確保することは困難であり、これが確保できない場合、訓練が不十分な防衛というきわめて脆弱な安全保障体制になってしまう。そこで、万が一の場合に迅速に対処できるよう、機動力を高めると同時に、警戒監視能力の強化、事前集積の導入等を活用すると同時に、旧式装備は廃棄を進めると共に、統合幕僚幹部の体制を強化し、弾力的運用を進めるよう提言した。また、米軍基地を自衛隊により管理する手法も盛り込み、将来への展望を記した。

 第二は、人的基盤であるが、人件費が高騰している現況に鑑み、若年化と経験の重視のバランスを再検討し、精強な部隊を整備する必要を強調すると同時に、メリハリのきいた人員を提言した。

 第三は、装備品の戦略的整備と武器輸出三原則の明確化である。この項目は新聞等で事実と異なる形で取り上げられ、本文中に一言もない武器輸出三原則の「緩和」、「見直し」等の誤った見出しが躍り、あるいは武器輸出三原則を堅持するか否か、という議論にすらなっていない文脈で捉えられている部分である。そもそも武器輸出三原則は現実的に万全に機能し得ない状況にある。たとえば、PKO部隊の携行品は輸出と見なされるが、三原則中の紛争国や国連の経済制裁対象国への輸出という二つの原則と相容れず、既成事実が原則を乗り越えてしまっている。また、対共産圏輸出規制の部分については、もはや共産圏は存在しない。この不完全になってしまった原則ではあるが、現時点で武器輸出三原則「見直し」という形で取り上げるには、国民の間の理解もまだ得られないであろうがゆえに、それ以外に基準を明確かつ厳格に定める必要があろうと考えた。また、過去においては、佐藤総理が発言したオリジナルの武器輸出三原則、三木首相の発言した武器輸出三原則「等」の部分という時の政府の姿勢に対し、計16回も、官房長官談話等で「穴」があけられ、この「武器輸出三原則等」はきわめてわかりにくく、不透明なものになっている。内外に対して我が国の姿勢を明確にするためにも、時の政府の恣意により行うことができる談話に委ねることなく、明確な基準をとりまとめることが必要と考えた。さらに、現在のルールでは、地雷除去装置や海賊に対する巡視艇に用いる防弾ガラス等の平和構築に貢献することが期待される装備品が規制される一方で、現代の戦いにおいてより多くの人々を殺傷する能力を有するソフト・ウエア等は放置されている。それに加えて、防衛予算に限界がある中で、共同開発や輸出の規制ゆえに調達品の価格が他国のそれと比較して、100倍になっているものすら散見され、国民の命と安全に影響を与えかねない。このような現実を是正し、他国から見ても明確な基準を作り上げるために、三原則に加えて三基準を付加したのであった(武器輸出の3バイ3)。なお、3基準の第三基準は、それぞれのケースごとに法的担保をすることを定めているが、当然、そのたびごとに必要な議論が行われるという意味で、基準に則していても政治的な幅広い意見が集約できる余地を残してある。

 第四は、国際平和協力活動への積極的な取り組みである。時代と共にPKO活動は変化し、あるいは気候変動の中での国際災害協力活動のあり方も変化してきた。かつてPKOと言えば、二つの紛争国の間に入り停戦を監視するようなものが主であったが、今や、破綻国家の中に入り、民政を含めた国家の再建支援等を行うような種類の活動が多くなっている。このような時代の要請の変化に応じきれなくなったPKO5原則にに見直しを加え、現場での必要性に鑑みたものに変化しなければならないとの意識から、提言を行った。

第五はインテリジェンス機能であるが、兵員、配備、装備等が充実しても、シビリアン・コントロールの下でしっかりとした情報と分析が行われ、信頼のおける指示がなされなれば意味がないのは当然である。かねてより私は、日本のインテリジェンスの問題は資源の投下先やその手法よりもまず、情報を扱うトップの体制にあると考えてきた。この部分の問題が解決されなければ、いかに素晴らしい情報がどれだけもたらされても、情報を処理できず、何の役にも立たない。そこでこの提言を防衛大綱に入れさせていただいた。

第六は核の部分である。この項は必ずしも我が国の安全を保障するための項目ではないが、唯一の被爆国としての我が国の立場を明記し、核のない未来への提言として敢えて含めた。人類は愚かにも、核抑止という恐怖のシステムの下でなければ安全を保障できない状況にあることも事実であり、その事実については、米国の核抑止への依存という形で記したが、将来に希望を持ちたいという思いである。


 上記のような思いで書き上げた大綱への提言が、政党間の駆け引きや政局により判断される材料にされることなく、しっかりと国民の命を守るために政府の大綱に反映されることを望んでいる。また、大きな時代変化に対応しきれなかったこれまでの政権の轍を踏むことなく、更なる議論を深めて、政治が役割を果たせるよう努力していきたい。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2010-12-10 01:17:46

防衛計画の大綱見直しに関する党の提言:全文掲載(2/2)

テーマ:政治

3.装備品の戦略的整備と武器輸出三原則の明確化:武器輸出にかかわる3×(バイ)

「武器輸出三原則等[i] 」をめぐっては、1967年の佐藤政権による「武器輸出三原則」の政府見解以来、新たな政府答弁や官房長官談話が積み重ねられる中で複雑かつ不明確なものとなり、国民や諸外国から見て非常に分かりにくいものとなってしまった。防衛装備品をめぐっては、第一に、国際協力活動に必要な重機などの海外移転や巡視艇などの輸出が困難となっている。第二に、今や世界的な潮流(米国ですら単独での装備品開発できない)となった装備品の国際共同開発・生産の流れから取り残され、防衛産業技術基盤そのものを蝕みかねないという安全保障上の深刻な事態に陥りつつあると同時に、装備品調達にかかるコスト高が納税者への説明を困難にしている。

このような現状を打開するため、ライフ・サイクル・コスト方式の徹底や第三者機関によるチェック機能を強化するなど装備品調達コストを削減するためのさらなる努力を行うとともに、国際的な共同開発・生産に参加することにより、同盟国や友好国との間で武器の厳格管理および国際的な安全保障体制を強化していくことを提唱したい。そこで、国際紛争を助長しない平和国家としての基本理念に基づく「武器輸出三原則」の原点に立ち返り、国際的な平和活動への協力の促進と装備品調達コストの低減といった視点から、汎用品については国際輸出管理レジームに基づき適切な管理を行うとともに、三原則で禁止される領域以外の武器輸出に関して、その厳格管理を改めて明確化する3つの基準を提案する(武器輸出にかかわる×(バイ))。

① 完成品の海外移転は、平和構築や人道目的に限定する。

② 国際共同開発・生産の対象国は、抑制的にし、国際的な武器輸出管理レジームを有力な目安とする。

③ 共同開発・生産/海外移転相手先国との間で、秘密保持・第三国移転等に関して、紛争の助長や情報漏えいにつながらないような基準と体制を整備する。

4.国際平和協力活動への積極的な取り組み

これまでのような対米協力をもっぱら念頭に置いた国際平和活動への参加姿勢を改め、紛争地域・国に対していかなる貢献をすべきかという視点に加えて復興支援、人道援助外交を我が国自身の国益として主体的に検討し、国連を活用しつつ国際平和協力活動[ii] に積極的に取り組んで行く。そのためは、国際標準と活動現場の実情に即して、現行のPKO5原則[iii] を見直す必要がある。現行5原則の内、停戦合意、受け入れ同意、中立性の3原則については、脆弱国家や破綻国家における紛争の場合の原則適用は極めて難しく、国連の要請等を以ってこれに代える必要がある。

また、自衛隊による文民や他国の要員の防護に必要な武器使用、駆けつけ警護のあり方についても見直しが必要である。これらの検討に際しては、自衛隊派遣に関するシビリアン・コントロールの徹底のため、原則として国会による「事前承認」とした上で、国際協力法を見直す。なお、恒久法(一般法)の制定といった課題については、今後、いかなる枠組みを整えていくか、時間をかけて議論していく。また、新たなPKO[iv] への対処を念頭に、人・モノ・カネといった我が国の外交資源を一体的に活用した官民協力を通じ、特に現在ニーズの高い後方支援分野において、たとえばNGOとの連携やODAの効果的な協力・運用を推進していく。

5.安全保障・危機管理における官邸機能の強化およびインテリジェンス体制の充実:政治主導の安全保障体制構築へ向けて

縦割り行政を超えた政治主導を実現し、外交・防衛・経済・情報を一体とした総合安全保障戦略を策定することは、我が国の安全と国益の最大化の必須条件である。

そのために、情報が統合されて、政府の戦略立案に有効に活用されるよう、内閣情報官を中心とする既存の情報関連機関に加えて、官邸首脳の意思決定を補佐する組織として、官邸に情報に関する適切な資質を兼ね備えた国会議員を中心とする20名程度の専属スタッフからなる「国家安全保障室(仮称)」を創設し、政治主導で安全保障・危機管理における意思決定および情報関連機関との連携の強化を図る。また、情報収集目標の設定、省庁間の情報共有と政治家主導の情報交換・分析会議の主催、政府主催の専門家会議のあり方の見直しを進めると同時に、情報を扱う人材の育成を含む情報収集能力強化やサイバー攻撃への対処を含む情報セキュリティやIT技術の活用に努めていく。人材育成に関しては、安全保障シンクタンクの設立を含めて真摯に取り組むべきである。また、情報保全や秘密保護法制、人権とプライバシーを守るための仕組みづくりも重要である。

.核軍縮・不拡散に関する取組

 オバマ米大統領による2009年のプラハ演説を契機として、昨今「核兵器のない世界」に向けた国際的な機運がかつてなく高まっていることに鑑み、我が国は唯一の戦争被爆国として、より一層「核兵器のない世界」実現に向けた国際社会の取組を主導していく責務がある。核軍縮の分野において、核兵器および運搬手段の削減、核不拡散分野ではIAEAの強化を通じた拡散リスクの低減等に積極的に貢献し、北東アジア地域の非核化を目指す。一方、現実に核兵器をはじめとする大量破壊兵器が世界に存在する中、核兵器の脅威に対しては米国の抑止力に依存する。同時に、抑止を核兵器使用の唯一の目的とすることを目指す国際社会の努力を真摯に受け止め、核兵器の役割の一層の低減に向け米国と協力していく。

 以上の提言は、あくまで我が国の新たな安全保障戦略策定への第一歩である。外交安全保障調査会としては、今後とも、我が国の安全保障を確立するため、民主党が国民に示したマニフェストの考えを踏まえ、「新安防懇」の諸提言について、引き続き議論を深め、継続的に政府に提言していきたい。



[i]  武器輸出三原則等について

武器輸出三原則等に関する主な議論は以下の通り。

(1)衆議院決算委員会における佐藤首相の三原則提議(1967421日)

共産圏諸国向け、国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けおよび国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けには「武器」の輸出を認めない。

(2)衆議院予算委員会における三木首相の答弁(1976227日)

三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。

三原則対象地域以外の地域については憲法及び外国為替法及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎むものとする。

武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。

なお、軍隊が使用するものであって直接戦闘の用に供されるもの、本来的に、火器等を搭載し、そのもの自体が直接人の殺傷又は武力闘争の手段として物の破壊を目的として行動する護衛艦、戦闘機、戦車のようなもの、が「武器」に当てはまる。

(3)中曽根内閣の後藤田正晴官房長官による談話(1983114日)

日米安全保障条約の観点から米軍向けの武器技術供与を緩和することを武器輸出三原則の例外とする(その後、118日に、対米武器技術供与を日米相互防衛援助協定の関連規定の下で行うという基本的枠組みを定めた「日本国とアメリカ合衆国との間の相互援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術の供与に関する交換公文」が締結された。ただし、日米間では武器技術供与は、技術ならびに技術の供与を実行あらしめるため必要な物品であって武器に該当するもの(試作品)に限定されており、その技術を用いてアメリカが生産した兵器を輸出することは許されていない)。



[ii]  国際平和協力活動

一般に麻薬やテロなどの人間に対するものをも含め、国際平和の達成・維持のための協力を言うが、我が国の国際協力法における関連部分は以下の通り(この項、省略。国際協力法を参照願います)。

[iii]  PKO参加5原則

国際平和協力法に規定されている5原則。

1)停戦合意が存在すること

2)受入国の同意が存在すること

3)中立性が保たれていること

4)要件が満たされなくなった場合には派遣を中断又は終了すること

5)武器の使用は必要最小限度とすること

[iv]  新たなPKO

国連安全保障理事会は、パレスチナおよびインド・パキスタン紛争に関し、停戦の成立を受けて停戦監視団を派遣した。これは、軍が当事者の間に割って入る「伝統的・軍事型」平和維持活動の始まりであった。ところがポスト冷戦期には、予防展開、内戦介入等の「平和執行・軍事行政複合型」国際平和維持活動が重要視されてきた。さらには、人間の安全保障といったかつてない安全保障観も加わり、NGOの役割、開発行政や国家のオーナーシップならびに警察・司法権の育成等も重要視されるようになってきた。ここにおいて国連の役割も大きく変遷し、「国連にとって、武力紛争予防以上に高い目標、深い約束、大きな野心はない(アナン事務総長報告、20009月)」と言われるまでになったのである。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2010-12-10 01:13:46

防衛計画の大綱見直しに関する党の提言:全文掲載(1/2)

テーマ:政治

『防衛計画の大綱』見直しに関する提言

民主党外交安全保障調査会

 今日の東アジアの安全保障環境は、冷戦終結後の世界的な地域紛争や破綻国家・脆弱国家の生起とグローバル化の進展により、また、これまで地域秩序をほぼ単独で支えてきた米国の力の相対的な低下、並びに新興国の台頭によるパワー・バランスの劇的変化により、不確実で不安定な情勢が続いている。

政権交代後初めての『防衛計画の大綱』では、憲法の平和主義や国際協調主義の理念を遵守することはいうまでもなく、上述した情勢変化に対応すべく、これまで正面から取組まれてこなかった安全保障上の諸課題に対する大胆な改革提言が求められている。私たちは、本年8月に公表された「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」(新安防懇)の報告書に示された我が国をとりまく安全保障環境に対する基本認識、および防衛力の在り方に関する問題意識を概ね共有するものである。我が国の安全と平和を守るためには、我が国自身の努力が第一義、その上で同盟国や友好国との協力、国連を始めとする国際機関・国際社会との協調により、我が国周辺地域および国際社会全体の平和と安定を維持・増進することが不可欠であるとの立場をとる。そのためには、これまでの受動的な一国平和主義国家から、国際社会の安定と繁栄を支える環境づくりに積極的に貢献する国家を目指し、新たな安全保障戦略を構築しなければならない。

この新たな安全保障戦略[i] は、国際平和協力活動、「人間の安全保障」の充実、更には、世界的・地域的な多国間安全保障の枠組み構築、自由で開かれた国際システムの維持等に主体的かつ能動的に参画してくことを目指す。併せて、縦割り行政を超えた政治主導を実現し、外交・防衛・経済・情報を一体とした総合安全保障の観点から、既存の国際および周辺地域の安全保障秩序や経済・社会環境を安定・発展させ、国際的、地域的な信頼を醸成しながら国益を最大化する外交を展開していくことが肝要である。

なお、最近の東アジア情勢、朝鮮半島情勢の不安定性は、我が国の安全保障上極めて深刻な懸念となっており、我が国としては、日米同盟の機能性や実効性を更に高めて行くとともに、日米韓の確固たる協力体制を構築しなければならない。同時に、日米同盟は、我が国自らが自らを守るという意思と覚悟と能力を備えてはじめて機能することに十分配意し、過度な対米依存に陥らぬよう我が国独自の取組みが一層求められることを改めて確認しておきたい。

このような情勢認識および目的意識を持ち、私たちは、新たな『防衛計画の大綱』の策定を絶好の機会と捉え、予算が限られる中であっても確固とした防衛基盤の整備に努めるべく、以下の6課題に焦点を絞って提言する。

1.動的抑止力向上と南西方面への対処:量から質へ

尖閣沖における最近の漁船衝突事案発生のはるか以前から、東シナ海等における中国海軍の動きが活発化している一方で、南西方面の我が国の防衛力は依然として手薄な状況が続いている。このため、冷戦型の重厚長大の旧式装備を中心とした静的抑止力による「基盤的防衛力構想」の考え方と決別し、「動的抑止力」を充実させるべく、①統合幕僚監部の体制強化、②旧式装備の戦車や火砲の大幅な削減、③南西方面における島嶼防衛に即応した機動的防衛力(装備の事前集積を含む陸自展開のためのインフラ整備および海空輸送力)の強化と同時に効果的な訓練地の確保と災害対処体制の維持、④海空自衛隊の抑止力と警戒監視能力の強化、⑤日米の統合・共同作戦能力向上のための共同作戦計画や共同訓練の拡充、⑥米軍基地の日米共同使用の拡大[ii] と基地負担の軽減、等を図る。

2.人的基盤: 実効力ある精強な防衛力を構築

隊員の高齢化と人件費の高騰が防衛予算を圧迫し、部隊の精強性を損ないかねない状況にある現状を抜本的に改革するため、「選択と集中」によるメリハリを利かせ、①米英の軍隊に比べ平均年齢で35歳高齢化している自衛隊全体の若返り、②1015年単位のロードマップ策定を通じた幹部・曹・士のバランス適正化、③自衛官の一部職域(後方職種)の事務官・技官への転換などを通じた一段の効率化、④政府・自治体、地域社会が一体となった若年退職者を含む再就職環境の整備、⑤陸海空自衛隊および統合幕僚監部における予算配分や人員構成の見直しを通じた総合的な防衛力の強化、等を図る。なお、大胆に現状変更を迫るこの機会に、国を守ることに命をかけている自衛官の名誉や尊厳を考慮する必要がある。



[i]  新たな安全保障戦略

「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」による「新たな時代における日本の安全保障と防衛力の将来構想 -「平和創造国家」を目指して-」(20108月)は、日本が目指すべき国の「かたち」を「平和創造国家」として提言している。それは、自国の平和と安全を守り繁栄を維持するという基本目標を実現しつつ、地域と世界の平和と安全に貢献することを目指す、いわば、受動的な平和国家から能動的な平和を目指す国に変わるために、持てる資源や手段を最も効果的に利用すべきする概念であり、これを我が国の新たな安全保障戦略の基礎において、今後、本調査会において議論を深めていくべきものと考える。なお、ここでいう「平和創造」とは、PKOにおける平和創造(Peace-making:紛争発生前の予防措置)とは異なる概念であることを付言しておく。

[ii]  日米地位協定第2条4項b(2-4-b)

米軍が、自衛隊施設等の日本側の施設を一時使用することを以下の通り定めている。

【日米地位協定より抜粋】

4(a) 合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとつて有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。

(b) 合衆国軍隊が一定の期間を限って使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

Ameba芸能人・有名人ブログ

芸能ブログニュース

    ブログをはじめる

    たくさんの芸能人・有名人が
    書いているAmebaブログを
    無料で簡単にはじめることができます。

    公式トップブロガーへ応募

    多くの方にご紹介したいブログを
    執筆する方を「公式トップブロガー」
    として認定しております。

    芸能人・有名人ブログを開設

    Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
    ご希望される著名人の方/事務所様を
    随時募集しております。

    Ameba芸能人・有名人ブログ 健全運営のための取り組み
    芸能ブログニュース