大宮妄想小説です

BL要素含みます

パラレルです







side O








寝室のドアを開けるとリビングでは……。






「えっ、叩いたんか?」






ポチに手を上げる彼女が居て。

ポチは怯えた顔で尻尾を下げて鳴いていた。


俺は慌ててポチを抱き上げた。

彼女はポチを庇うようにした俺が気に食わなかったのか、少しムッとした顔をした。







「だって、この犬が唸ってくるから!

智くん、こんな可愛くない犬は捨てて、チワワとかトイプードルとかフレンチブルドッグとか血統書つきの可愛い犬を飼った方が良いよ!

それにこんな犬、散歩に連れて歩くの恥ずかしいもんっ」







「捨てるって……、そしたらポチがどうなるか分かって言ってる?」









ポチを拾ってきた時のニノの必死な顔が思い出された。

あんなにニノが助けたいって言った命なのに、それをくだらない理由であっさり捨ててこいって言うなんて。


強い怒りが湧いて、その怒りで低い声が出た。


すると彼女はしまったという顔をした。






「や、捨てるなんて冗談よ。

本気にしないでね」







誤魔化すように優しげな可愛らしい笑みを浮かべるけど。

もうそれはどう頑張っても醜悪にしか見えず。



ああ、俺、また見る目無かった?



『もう少し考えて付き合えば良かったのに』って苦笑するニノの顔が浮かんだ。





「ねぇ、もう俺と別れてくれる?

合鍵も返して、もう帰って」






今までの彼女達にここまで怒りの感情をもった事が無かったから、ずっと俺は別れを告げられる方だった。


だから、俺は今日、初めて自分から別れを告げたんだ。






「ちょっと待って、智くんっ!

私、智くんが好き、別れたくない」







「いや、俺がもう無理だわ。

どんな命でも大切に出来ない人とは付き合えない」







そう言うと、彼女は泣くではなく怒って合鍵を投げつけて出ていった。







「俺は本当ダメだな……」







そう呟いた俺を、ポチは心配そうに見つめていた。








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