オールウェイズ・朝日町の夕日 -28ページ目

幼なじみK

只今失踪して10年になる友人。

家庭もあった。

なのに音信不通と聞いたのが、10年前彼の奥さんにバッタリ会った時の事・・・。

子供も2人目が生まれて間もない頃、生活の為県外に出稼ぎに行ってから2ヶ月後の事らしい・・・。



Kの実家は、当時実の父、兄、祖母と、父親の再婚相手とその間に生まれた子供が3人の大所帯。

市街地の古い平屋に住んでいた。

義母がKと兄の身の回りの事を何もしてくれないと言って、夕食は同級生宅を転々としてご馳走になってた。

お小遣いも貰えないので、平日の放課後や週末に商店街に居る学生相手に恐喝まがいの事をしていた。

何回か問題にもなった。

Kの兄は、2コ上で中学卒業するなり県外に出たっきり帰ってこない。

残されたKは孤独に後2年は、辛い日々を過ごすしかない・・・。


制服も私服も、干してある物を盗んで着てた。

自分の洗濯も出来ないので、付き合う彼女達が家で洗濯をしてくれる事もあった。

愛嬌があり、お調子者のKは意外にモテた!

甘え上手なのか、年上からも人気はあった。


Kの部屋は、隅っこの6畳和室で、敷きっ放しの布団、脱ぎ散らかした服が散乱してて長居出来る気分にはなれなかった。


夏場は、水浴びと言って実はお風呂代わりだったが、冬場はそうはいかない・・・。

週2回のペースで友人宅を回りお泊りついでにお風呂に入る生活を続けていた。


中学卒業式も両親は来ない・・・

卒業後は福岡市内の寿司屋に住み込みでの就職を希望し、式後3日後には旅立った。

それから2年間と言うもの全く音信不通。

私が高2の夏の事であった。

同級生の女子と町の本屋でバッタリと会った。


「昨日、バレーの試合で帰る途中、鹿児島西駅でKを見たよ!警察官に両腕を抱えられながら特急列車から降りてきて皆ビックリしてた。パンチパーマに派手な柄のシャツを着てて、以前のKとは違ってたよ」


と、教えてくれた。

それから2ヵ月後Kの実家を訪ねてみた。

愛想の悪い、義母が出てきて


「Kの事で迷惑してる。もう家の子とは思って無いので出て行ってくれれば良いんだけど・・・」


と、愚痴を言いつつも呼びに行った。

奥からKが出てきた。

事情を聞くと、仕事を辞め向こうで知り合った連中とバイクを盗んで走ってたら、警察に追われ、40キロくらい逃げて逮捕されたらしい。

窃盗、道交法違反、無免許の罪名が付き、初犯と言う事も有り鑑別所入りだったらしい。

保護観察も付き、実家に居ないといけないらしい。

又、楽しくなると思いきや、Kの口から


「俺も向こうで色んな兄貴分から鍛えられて根性はついたぞ!何かあったらいつでも行ったる!」


と、これまでに無いキャラに変わってた・・・。

しばらく距離を置いた・・・。


数年後、Kが働いてた解体屋の同僚の姉と結婚した。

間も無く娘が産まれ落ち着いた。

Kの奥さんが2人目を生んで間も無く、生活の為県外に出稼ぎに行った。

その先で失踪したらしい。

残された奥さんは、2年の間に裁判所によって離婚を成立させ新しい生活を始めたらしい。


去年地元のコンビニでバッタリあった。

近況を聞いた。

上の子も高校生になり、下の子も中学に成長したらしい。

何事もKの情報が入ってこないのは、どこかで生きてる証拠だと言う。

既に、再婚され子供達も幸せと聞く。


Kがひょっこり帰って来るのを待ってる私・・・。

変わり者の友人T 第3章

ハタチの時の初夏。

週末地元のガソリンスタンドで洗車に懸命な私とT。

特に予定は無いが、土曜の夕方はここに来る。

最後の仕上げをしてると一台の白いセダンがやって来た!


「お疲れです!今日何処か行くの?」


と、後輩のJ。


「別に予定は無いけど・・・」


「じゃあ、今夜鹿児島市内にでもブラァ~っと行きませんか?」


「別に良いけど」


「8時にカラオケボックスの駐車場で・・・」


と、決まり去っていく。

一旦自宅に戻って、風呂や晩飯を食って待ち合わせ場所に行く。

夕方のセダンの後輩と他に数名が集まってる。

間も無くTの登場!

真っ黒の古いトヨタのセンチュリーが入ってくる。


「今日は何台で走るの?」


と、Tが聞くと


「先輩の2台と俺の車の3台で分乗していきましょうか。」


と、言う事で出発!

県道55号線を南下し、国道10号線から市内に向かう。

加治木町位から、同世代の同じ目的の連中が走ってる。

助手席には彼女か何かは不明だが、女を乗せてる。

我々とは大違いあせる


先ずは、照国神社前に路駐し、パトカーの動きを観察する。

同時に、女が運転する車両もチェック!

3台はバラバラになり、繁華街に繰り出す。

照国神社前が我々の中継地点になっていた。

大体30分感覚でそこに戻るように自然にお決まりだった。

歩道には、ナンパ待ちの女が歩いている。

しかし、Tと私の車には目をそらす・・・・。

黒い大型セダン車は警戒されるみたい・・・・得意げ

2・3回照国神社に戻るが、誰も帰ってきていない。


深夜3時になった時、Tの車に便乗してた後輩が立ってる。


「お前、どうしたの?」


と、私の車に乗せた。


「Tさんがいきなり変な事を始めたんですが・・・・。多分、シンナーでラリってます?」


「あいつはシンナーなんかしないよ。どうしたの?」


聞けば、ナンパを諦め照国神社に車を停めてからの言動が原因だったらしい。

我々の事を、中々帰ってこない事にイライラしてたT。

いきなり、車内の肘掛のボックスを開け、取り出したのが自動車電話。

便乗してる後輩らは、まさかTの車に自動車電話が設置してある事を知らなかった。

電話を取り出し、いきなり掛け始めたらしい。


「もしもし、俺だ!今何処を走ってるの?etc・・・・・・・」


と、3分位話してたらしい。

電話の相手は、想像するに私だと言う後輩達。

私の車についてるわけがない。

Tの車についてるのも聞いた事無い・・・。


当時珍しい自動車電話を見たくなり、早速照国に向かった。

後輩Jの車とTの車が並んで止まってる。

後ろに停め、Tの車に行った。


「お前の車には電話ついてるの?見せろよ」


と、急かす。


「あぁ、これか?これダミー」


「でも、誰かと喋ってたんじゃないの?それにダイヤルボタンなんかもちゃんと電気点いてるし、NTTって書いてあるじゃん」


「これは偶然粗大ゴミ置き場に捨てられてたのを、拾ってきて自宅で配線繋いだらハッタリに良さそうと思って取り付けた」


「じゃあ、何か誰かと話してたんじゃないの?」


「ん?誰がそんな事を教えた?・・・・・」


と、口数が急に減る・・・。

まさか、一人芝居で3分も生々しく会話出来るはずが無いと後輩連中は思ってたらしい。

あれから20年、いまだに飲み会の席でその話が出る。

当然Tが居ないとき・・・・。

新たに変わった先輩と後輩達からも思われている。


後に、Tは車を変えた時も、その自動車電話を取り付けたらしい。

当然、ダミーだけど・・・・ショック!


一年後、東京に旅立ったT。

2年後にUターンをした時にも周囲を唖然とさせる事が発生する・・・後日!

大口の熱血ラグビー馬鹿物語~Part11~

ビッグマウスジュニアの監督である私の友人の息子達の話であるが、創部当初は長男が8歳、次男が6歳だった。

特に子供達はラグビーに興味は無かったが、英才教育としてラグビーを始めた。

長男は、大の洋画好きで暇な時はレンタルビデオ店に出向いては、5本位の洋画を借りては見るの繰り返し。

次男は、同級生達と遊び回り、帰宅すると台所の炊飯ジャーや冷蔵庫を開けるのが日課。

おやつとして、白いご飯を食べると落ち着くらしい・・・。


その兄弟の兄は、平成20年に中学を卒業し、名門 鹿児島実業高校にラグビーの特待生として入学した。

初めて親元から離れての寮生活が始まる。

入学して5日目には、「もう辞めたい」とホームシックにかかった事もあった。

同じ鹿実には、鹿屋出身で同じくビッグマウスジュニアでプレイしてた者も居て、同じ寮だった。

他には、中学の頃県選抜で共にチームメートとしてプレイしたメンバーや対戦相手の顔ぶれも入学してた。

練習がつらいとかの理由ではなく、単にホームシック・・・。

理解できる。

頑固で厳しい父親兼監督ではあったが、家族が何でも言い合える形が出来てたからである。


入学した年、1年生でスタメンに選ばれる。

花園をかけた決勝で惜しくも敗退した。

翌年、やはり2年生でもレギュラーを獲得し、正式にスクラムハーフのポジションに君臨した。

素早い動きが長男の持ち味!

その年の年末、見事鹿児島県代表として花園出場が決まった!


監督であり父親である古くからの友人有志が、お祝いの応援用横断幕を注文し、町の目立つ場所に設置した。

それを目にした、あらゆる人達からお祝いのメッセージが引っ切り無しに自宅に寄せられた。

これは、監督兼友人の人徳である。

その前の年は、県代表として玉龍高校が花園に行った。

そのメンバーにも1年生でレギュラー入りを果たした選手が居た。

それもビッグマウス出身者!

初めての我が教え子から花園出場が出た時も嬉しいと語ってたが、翌年には我が息子が出場を果たした。

言葉に出来ない位嬉しかっただろう。

残念ながら、一回戦で負けたが、長男の姿はテレビで幾度と無く映った。

私も自宅で見てて、涙が流れた。

長く見守ってきた、家族とチームだったので感極まった。


そして、次男も進路を悩んでいたが、結果長男同様鹿実に入学した。

私や友人達の中では、兄弟出場も夢では無い!と、今から楽しみにしている。

春先からの兄弟を見てると期待が持てる。


今日も九州選抜にエントリーされて県外に合同練習で行ってる。



とにかく、怪我だけが気がかり・・・。

年末まで見守りたい・・・。