運動会
小学の頃の運動会の思い出。
全校生徒が1000人を超えた時期もあった県内でも有数のマンモス校だった。
過疎の町なのにどうして?
秋の大運動会も町のイベントの様な盛大なものだった。
普段広すぎるくらいの運動場がこの日ばかりは狭く感じる。
運動会前日の深夜に父親に連れられて、場所取りに行ってた。
真夜中の学校ではあるが、意外に場所取りの父兄は多かった。
4人家族であったにも関わらず、10人はゆっくりと観戦出来るスペースを確保してた。
母親は、早朝5時にはお弁当の準備をする。
私と妹は、6時には起こされ準備をする。
毎年の事であるが、我が家は恒例の儀式があった。
それは、家を出る時に、玄関先で父親に生卵入りのオロナミンCを飲まされた。
パワーが出るおまじないみたいなものだった。
学校に着き、運動場に行くと、校庭には色とりどりの敷物で埋め尽くされてる。
一見華やかである。
一気に緊張が高まる。
プログラムが始まり、順調に進む。
お昼時間近くになると、門から沢山の大人が校庭に入ってくる。
田舎町の独特の現象の始まり!
児童の両親の兄弟や祖父、祖母等お昼ご飯に招待するのが定番だった。
だから敷物も大きな物で確保するのが理由。
運動会の応援と言うより、年に一度の大人のピクニック化していた。
当然、大人達はビールや焼酎を飲む。
次第に、近所のオジさん達や、父の友人達も集まり、宴会ムードになる。
この時間帯、毎年の事であったが運動場にゴリラが出現していた。
児童の親か、呼ばれて来た方かは解らなかったが、ゴリラのマスクをして色んな家族の所に行ったり来たりする。
200メートルの運動場のトラックを一回りして要約姿をけすゴリラ。
被り物とはわかってたが、近くに来ると怖くて真剣に逃げてた![]()
高学年になった頃には、誰の父親かはわかった。
同級生Hの父親である。
彼も、真似をしなければ良いが・・・・![]()
午後からのプログラムが始まっても、応援の親達は既に酔っ払い、宴会が盛り上がってる。
終了する頃には、真っ赤な顔して荷物を持ってる親や、片付けの最中にも関わらず、寝込んで起きない親などは毎年の光景だった。
小学校の運動会にすぎないが、大人も一緒に楽しめる町のイベントとして活気に一役買ってるのは間違いなかった。
自分が出た競技の思い出よりも、家族とその周辺の人々も思い出に残る運動会だった。
今は少子化の一途だから、あんだけ盛大な運動会を見れる、体験できる事は私が生きてる限り無いと思う。
幼馴染のS 1章
朝日町の頃からの幼馴染と今もたまに連絡を取り合ってる。
保育園時代から毎日遊んでた。
Sは2歳年上の兄、5歳年上の姉の3人兄弟。
実家は、紳士服の店を営んでた。
小学校も一緒、中学では、一度も同じクラスにはならなかったものの、部活で一緒だった。
小学5年の時、自宅兼店舗の新築に伴って引越ししていった。
Sは中学一年生の頃から付き合ってた彼女と1年半後の中2の頃から同棲生活を始めた。
彼女の実家の隣の借家を借りて貰い、そこで生活をしていた。
最低限の生活費は、彼女の親が負担してたと聞いてたが、Sも毎朝、新聞配達で収入を得ていた。
高校に入って、誰よりも早く原付免許を取得し、新聞配達の件数を増やしてもらって収入を上げてた。
その頃には、実家の店も母親の死をきっかけに倒産してしまい、家族がバラバラになったとも聞いてた。
商売人の家庭で育ったせいか、新聞配達で得たお金を元手にバイクのブローカーみたいな事をして更に稼いでた。
先輩連中が卒業すると同時に、要らなくなったバイクを無料若しくは、3000円以内で譲り受け、手入れをし、高価で売っていた。
時には、後輩に無理やり買わせたりと強引なやり方で収入を得ていた。
夏休みや冬休み前には、必ずバイトを見つけフルに働く。
高校生にしては結構な収入があったはずだが、ジュース一本なんかも誰かにたかってた・・・![]()
だから平日の校内での売店や放課後駅周辺の店でSを見かけると、目を合わさず、買うものも買わずに逃げる連中が多かった![]()
高校3年になり、突然Sの出席が減ってきた。
それまでも遅刻の常習はあったものの、欠席はほとんど無かった。
5月の連休明けには、欠席が更に増し同級生達は挙って、
辞めるんじゃねェ~?
と、言ってた。
6月に入り、やはり通学の列車には乗ってこない・・・。
学校に着くと、Sが来てる!
「何で?誰かに送ってもらった?それともバイクで来たの?」
「うん、まぁ・・・」
と、ウヤムヤな返事・・・![]()
帰りの列車にも乗らない・・・。
その週の土曜日、
「今日、用事ある?」
と、Sに聞かれた。
「特に、夕方までは無いよ」
「じゃあ放課後に、自転車置き場で待ってて!」
と、言われた。
素直に向かうと、既にSは来てた。
言われるがままSの後をついていく。
喫煙者の生徒が利用する通称「山道」に導かれる。
歩く事15分・・・。
一台の車があった。
Sはカバンから鍵を取り出し、ドアを開け、制服の上着を脱いでサングラスをかけた。
運転席に座り、エンジンをかける。
「S!これ誰の?お前無免はマズイやろ!」
「良いから、見つかればヤバイから早く乗って!」
と、言われ助手席に乗り込んだ。
室内は、コンポなんかも搭載してある。
そこで気付いた!
バイトや悪徳で収入を得てた原因は、この車の購入資金だと・・・
最近まで、学校に顔を出さなかったのは、免許取得の為であった。
しかし、彼のバイトやブローカーぶりは更に増す。
毎朝の新聞配達、夕方の出店のバイト、週末のテキ屋のバイト、学生服を後輩に高額で売りつけたり、バイク本体とパーツのブローカー・・・・。
金の亡者に化けていった![]()
あまりに金に執着しすぎたSに天罰が下る事となる・・・・
東京からのUターンした友人
今から15年前東京、横浜、千葉の関東地方で仕事をしてた友人がいきなり引き上げて帰ってきた!
他の友人から、
「あいつが、お前に会いたくて探してた!」
と、聞いてた。
後輩のJの自宅に来るとの連絡を受け、向かった。
向かう途中Jから着信が入った。
「早く来て!前のキャラと違って話も合わない
ムチャクチャ変わったよ!」
と、困惑した内容だった。
到着し、Jの自宅に上がると、数年前地元を出た時の容姿が全く違い、変わり果てた姿を見て言葉を失った・・・。
東京に向かう時は、田舎のヤンキー丸出しで、額の剃り込みにリーゼント姿、眉毛も超細いものだった。
しかし、今私の前に存在する友人は、全く違った・・・![]()
茶髪にロン毛、重ね着にごついベルト、ブーツに原色のジーンズ姿。
しかも開口一番は、
「おう!久しぶり~。元気にしてんのぉ~?探してたんだぜェ~」
と、標準語!![]()
「お前、向こうで何かあったの?」
と、訪ねると
「俺の何がおかしい?向こうじゃ普通なんだけどね~」
と、完全に都会かぶれしてる・・・。
Jも私もどう接して良いかわからない![]()
焦って、間が持たないJから電話がくるのもわかる。
しばらく、彼の都会での自慢話を聞かされた。
テレビを通して都会の情報は入る時代なのに、我々田舎に住む者が世間知らずの様に上から目線で語ってる。
あまりにも馬鹿にしてる様にしか取れない事に、久しぶりの再会の嬉しさはどこかに去り、腹が立ってしょうがない我々・・・![]()
突然その友人の携帯電話が鳴った。
「もっしィ~、お疲れェ~。・・・・・・・。今、悪友達と遊んでるからさぁ、後で又こっちから掛けるよ~。」
周囲の者は互いに顔を見合す・・・。
「おい!もっしィ~って何?都会じゃ流行ってんの?しかもそれ何?電話?これが携帯電話ってやつか?小さくて薄いし、軽いんだな~。で?何処にテレホンカードを差し込むの?」
と、ほとんどが携帯を所持してるにも関わらず、馬鹿にして言動で仕返しに入った。
するとその友人は、
「今の携帯は安いぞ?それにカードなんて入れるんじゃないし・・・。あれば便利だからお前らも買えよ!」
と、真面目に勧める。
「とんでもない。買うとき10万以上掛かるし、毎月の基本料金が2万円は無理!」
「お前らいつの時代の話をしてるの?話にならないぜ!」
と、呆れた態度。
私の行動を見てる、仲間連中は今にも噴出しそうな表情だが我慢してる。
すると、突然私が隠し持ってた携帯の着信音が鳴った。
普通に出て、会話しながらその友人の顔を見ると、不思議そうな表情。
ここで馬鹿にされてると解り、怒って帰ることを想像してた。
「何?持ってんじゃん!」
「ん?これ?携帯じゃないよ。自宅のコードレスの子機と思ってた。これって携帯だったんだ~」
と、追い討ちをかける。
すると、
「まあ、お前らも世間知らずだから俺が今後は色々と教えてやっからよ!又、来てやる!」
と、言い残し帰って行った。
一同大爆笑!
Jが、
「あの先輩おちょくられてるのわかってないんだろうか?天然なんだよね?昔から変わってるとは思ってたけど、中々変わらないね」
と、つぶやく。
後に、街では彼の事を知らない者は、不思議な存在で見てたらしい。
田んぼが広がる街にロン毛、銀のアクセサリー、B系ファッションは、いくら高価な物でも価値は無い。
焼け石に水・・・。
未だに彼は、都会的な物に拘ってるらしい・・・。
人の趣味だから仕方ない。
でもお店の事を「ショップ」って言うのはやめてほしい・・・今日この頃・・・もう40代なんだから![]()