松下政経塾より、よっぽど為になる
幻影流競馬塾（第一回）
＜この塾の受講者には不向きな方＞
明日の現金が必要な方、たまにしか競馬をやらない方、競馬で金を儲けようなぞと、ファンドや株と同様にお考えの方、オウマサンの好きな方、忙しい方、女子供の方、貧乏な方。
<この塾に最も向いている方>
水の星座生まれの方、競馬に限らず博打好きの方、好きなものには何時間もかけられる方、友達のいない方、エッチな方。
＜第一章＞博打とは、あるいは競馬とは？？
例えば競馬の出馬表で18頭の馬を眺める、カジノのルーレットで0から36までのマス目を眺めるのは、大海原に船を出した漁師の気持ちに似ている。いったい、この水平線の先まで続く海のどこに魚がいるのだろうか？考えただけでも気の遠くなる話ではある。ただ、多くの漁師が魚群探知機を使わないまでも、あのへんに行けば、なにが取れて、あのへんに行けばなにが取れるかを熟知しているのはすごいことだ。
なにせ、住所も番地もない海の上で、これを知っているのは、長年の経験とカンの賜物であろう。
博打もまったく同じで、出馬表なりルーレットテーブルを見た時に、1番から18番、或は0番から36番までをひとつひとつ検証していったのでは、時間がかかりすぎる。特にカジノではそんな暇はない。
ざっと眺めて、その時々に応じて、まったく必要のない、競馬なら18頭中8頭、ルーレットなら上・中・下のゾーンに分ければ2つのゾーン。これらを切ることを身体が自然と行わせることが出来る人間しか、
ギャンブルには向いていないのだ。
さらに、軸にした馬が、或は数字が例え外れたとしても、来た馬、或はルーレット玉がポトンと落ちた場所が、自分の選んだゾーン以外にたびたびあるとすれば、その時点で、博打は諦めて、ゴルフやテニスなどのスポーツにいそしむか、別の趣味に向った方が賢明である。
博打はスポーツと同じように、センスと決断力が大きなファクターを占める。
時には、宗教的な呪縛やひらめきといったものも必要だろう。
そういったもののない人は、娯楽として楽しむのなら別だが、のめり込んでもいい結果は得られないだろう。また、こういったものは年と共に衰えていくし、あるサイクルごとに変遷を繰り返していく。
漁師と博打打ちの違いは、漁師に名人はいても、博打に名人はいないのだ。
したがって、競馬に「匠」もいなければ、「カリスマ」もいないのだ。
東京スポーツの匠やカリスマが、どれ位的中しているかをみれば、おわかりいただけるだろう。
博打にゴールはない。どんな名人の漁師が魚を捕ったところで、地球上の魚を全て釣り上げることなど不可能な訳で、博打もいくら儲けたから終わりということはないし、そんなことは必要がない訳だ。
「月に何万円の副収入」などと考えるのであれば、博打なぞ止めて、仕事の後にアルバイトをした方が賢明だ。本来博打というのは、漁師で言えば釣り糸を垂れている時が、全てであって、張っている時が全てな訳である。漁師も博打打ちも「ボウズ」などということは、全くあり得ないことで、そんなことを繰り返していたら、漁師ではないし、博打打ちでもない。ただの甲斐性なしである。
従って、魚や馬券を「金」という目線で、見ているうちは画家でいえば、日曜画家の程度である。
博打に関していえば、ルーレットテーブルやカードテーブルにうずたかく積み上げられたチップを前にすることが、至上の喜びであって、それを換金してポケットやバッグに入れてみれば、夢は跡形もなく消え去ってしまう。自分は漁師ではないから判らないが、やはり船が沈む程の大漁で港に帰る時の気持ちが、仲買人に値を付けられて夢から覚めちまうみたいなことはあるんじゃないだろうか？
博打に必勝法なぞ無い。それぞれが、工夫を凝らして打つしか方法はない。
従って、本講義もそういったノウハウを教えるものではないことはあらかじめお断りしておく。
ところで、「この塾に最も向いている方」の最初に「水の星座生まれの方」と書いたのは、アトランティクシテイに行った時に、ディーラー募集があって、その条件に「魚座生まれ」というのを見たからだ。なるほど、あるカジノのディーラーの大半は2月3月生まれであった。
これは、なんとも説明のつかないことではあるが、この月に生まれた御仁は自信をもっていいだろう。
かくゆうワタクシも3月生まれの「魚座」であります。