鳩山”新”政権に望むこと ~その2~ | 公務員ってこんなもん。

公務員ってこんなもん。

ある地方公務員の日常。
仕事もプライベートも、日記を通して公務員の実際をつづります。
なぞの職業「公務員」もこれで完璧?

長くなりそうなので、いくつかに分割しました。

マニュフェストから見えてくる、いくつかの疑問。

それぞれに対する、私なりの考えを書いていきます。

  ② 暫定税率撤廃

 これも、民主党がマニュフェストにおいて目玉の一つに掲げたものです。
 確かに、ガソリン代が下がれば、生活は楽になるように思います。しかし、そこで一度立ち止まって考えて欲しい。

 第一に、環境問題と交通渋滞。
 その1の高速道路無料化とおなじですが、ガソリン代が一定の基準を維持していることで、公共交通機関を利用している人もいると思います。それが、負担に感じない金額になれば、車を使う人が増えて、交通渋滞の悪化や、Co2の増加につながり、25%削減のためにその増加分が企業にまわり、物価上昇として国民に帰ってくると考えられます。
 ゴミ袋の有料化と同じで、国民が安いと感じる価格であれば、抑制効果が見込まれなくなってしまい、せっかくの野心的な目標である「Co2 25%削減」が、色あせてしまうと感じるのは私だけでしょうか。また、Co2削減のための物価上昇と、ガソリン代の低下による費用低減化とは、どちらが勝るのでしょうか。

 第2に、地方の道路整備をどうするのか。
 別に私は、道路特定財源至上主義ではありませんし、むしろ必要ない道路は作らなくていいという主義です。しかし、これまで特定財源による整備は、東国原知事の言葉を借りるまでもなく、都市部に集中し、地方の道路整備は後回しでした。
 わが県でも、過疎地域では道路整備が遅れていて、車や緊急車両が通れる幹線道路が一本だけという地域がいくつかあります。このような地域は、もし災害に襲われた場合、陸の孤島と化す可能性が高いです。その場合、重傷者や急病人の搬送には空路か海路しか方法がなく、普段の交通量が少ないと言っても、安全面を考えれば至急バイパスの整備が必要だといえると思います。
 今、ようやくその整備に着手されていますが、もし道路整備が凍結された場合、こうした地域を切り捨てたと同じことだという認識を持っていただきたいと思います。

 第3に、道路維持費をどうするのか。
 道路というものは、当然ですが使えば使うほど悪くなります。
 国道などの幹線は、ガソリン税の一般税率部分でまかなえるかもしれませんが、今財政危機にあえいでいる地方には、国道以上の延長がある道府県道や市町村道の維持費にすら、回せる予算がなくなりつつあるというのが実情です。
 これまで悪者として語られてきた道路特定財源ですが、考え方によっては、道路にしか使えないわけで、財政難で苦しんでいる地方でも、特定財源として交付されるがため、道路維持費がかろうじて確保されているのが実際なんです。これがもし現状よりも削減された場合、日常の道路維持費が地方において十分確保されるかというと、疑わしいといわざるを得ないと思います。

 以上のことから、ガソリン税に関する議論として、これまで誰も言ってこなかったことですが、私としては国税部分の税率を下げ、地方税としての税率を確保し、直接道路特定財源として地方に分配されるべきだと考えます。
 国税である理由は、再分配の必要があるからだと思いますが、私としては、本来地方ほど車を使う機会は多いと思いますし、国民の皆様が普段最も利用されているのは、生活道路である身近な市町村道だと思います。
 だから、暫定税率を撤廃するなら、ガソリン税の地方税化を進めて通常税率として法制化し、現行の税率と比較して余剰部分を減税すればいいのではないかと思います。

 この問題についても、選挙対策としてあまりにもあからさまな対応をするのではなく、国家全体としてバランスを考えて実施して欲しいと思います。