決意 ~知行合一~ | 公務員ってこんなもん。

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ある地方公務員の日常。
仕事もプライベートも、日記を通して公務員の実際をつづります。
なぞの職業「公務員」もこれで完璧?


 知行合一


プロフィールに書いた、私の座右の銘です。

これは、儒学の一派である『陽明学』からの言葉です。
陽明学は、中国の政治家であり思想家であった王陽明が始めた実学で、わが国には、江戸時代に入ってきました。皆さんも、学生時代に『朱子学』というものは聞いたことがあると思います。
朱子学がまず学問ありきであるのに対して、陽明学は、知ることはすなわち行動することだと位置づけていて、『革命の学問』ともいわれています。

陽明学を修めた人物で最も有名なのが、江戸時代の役人 大塩平八郎です。
大塩は、飢饉にあえぐ民衆のため、私利を肥やす富豪や役人に対して、自ら兵を挙げ、歴史上有名な「大塩の乱」を起こしました。
これは、知識だけでは民衆は救えない、行動することこそが重要であるという、陽明学の趣旨を最も明確に表した行動であるといえます。

また、私が敬愛する幕末の偉人 河井継之助もこの学問の学徒でした。
彼もまた、幕末の激動の中で自らの信じる未来のため、幕府側にも官軍側にも属さず、武装中立により両者の間を取り持とうとしました。

話が少しそれました。陽明学については、詳しくはwikiなどで読んでみてください。

さて、知行合一とは、すなわち知識を得ることは、行動することと同じことであるという考え方です。
つまり、ただ知識を得るだけで、行動に起こさなければ、それは単に自らの内側に知識を蓄えるだけのことであって、その知識を行動として外部に示さなければ、その得た知識は誰かのために使われるわけではないのです。

人間、生きていく上では様々なことを知り、それを自らの中に蓄積しています。
しかし、なかなかその知ったことに対して、行動することというのは難しいものです。
今、公務員という立場で、私はたくさんのことを知り、学ぶ立場にあります。
例えば、最近のニュースからいえば、災害に対して、自分のまちが十分な準備ができていないと知っていながら、それに対して何も行動を起こさないというのは、もし災害が起こったとき、知っていたというだけで罪だと私は思います。
また、たくさんの人が貧困に苦しんでいる中、財政難を理由に、福祉や医療を切り捨てることは、場合によっては間接的に人を殺すことにも繋がりかねないと思います。

知ることはすなわち行動すること。

このことを心に刻み、自分ができる精一杯で、やれることをする。
「知らなければ幸せ」ではなく、より多くのことを知るように努力して、知ったからにはそのことに対して行動していく。
それは、必ず誰かのためになる。

公務員としてだけではなく、ひとりの人間として、この考え方でもって積極的に外部にかかわりをもって生きていきたいと思います。

誕生日を迎えて、ひとつの決意としてここに記しました。

 注)陽明学における「知行合一」とは、解釈において若干の相違があるかもしれませんが、
  あくまでここに書いた内容は、私自身の認識における考え方です。悪しからず。