週刊誌や新聞広告、TV番組で―――
このサプリメントを飲むと健康になりますよ…
このブレスレットをつけるとお金がたまりますよ… 
これを使うと必ず上手くなりますよ…
という宣伝を… 簡単に信じちゃだめですよ~。
ある事象の説明を聞くときには、
そこに「因果関係」があるのか、それとも「相関関係」に過ぎないのかを注意して見極める必要があります。
お金持ちの人がたまたま あるブレスレットをしていたからと言って、「そのブレスレットをつけると必ずお金持ちになる」というわけではありませんね。
上手な人が使っていたからと言って、「それを使うと必ず上手になる」わけではありませんよ。
騙されてはいけません。
権威ある人が堂々とデータのいくつかを示し、あたかも「因果関係」があるように説明をすると、そうかと信じ込んでしまい、騙されてしまいやすいのです。
一度信じてしまうと、今度は自分自身の脳が、その信じていることが正しいと証明しようと活動し始め、その根拠となる情報を集め「やっぱり信じていることは正しいに違いない」と 信じていることを さらに強化していきます。
そこに悪意がなくても(権威ある人の)その言葉を一度信じてしまうと、脳機能が勝手に働いて、信じ込んでいることがより強化されていくのです。
権威ある人とは、その道のスペシャリストでなくても、例えば、4歳の子供にとって9歳の子の言葉は十分権威ある人の言葉であり、
100が切れない人にとっては 80を切ったことがある人の言葉は権威あるものとなるでしょう。
おわかりでしょうか。
かなり不完全なものなのです。
ここで
「因果関係」 と 「相関関係」を整理しておきましょう。
「事象A」 ならば 「事象B」が起こる
この「事象B」に対し、必ず事象Aが元になっている とき
Aが「原因」で、Bは「結果」といいます。
この時、事象Aと事象Bは「因果関係」にあるといいます。
たとえば
空中でボールの打ち出し方向に対し、ボールに右回転を与えていれば、やがてボールは右に曲がる弾道になる。
打ち出し方向に対し右回転を与えた というのが【原因A】であり、
弾道が右曲がりになった というのが【結果B】である。
それに対し
夏が暑い(事象C)ほど、アイスクリームが売れる(事象D)
という場合は、相関関係がある と説明されます。
データを取れば暑い夏ほど多くのアイスクリームが売れていたという事実ある… だからといって、
アイスクリームが多く売れた(事象D) ら 夏が暑い(事象C)
ということにはならないですし、
「アイスクリームが多く売れる」、「暑くなる」というのは それぞれ独立した事象であり、アイスが売れれば、必ず暑いわけではないですね。
統計を取れば何となく相関関係がありそうだ ということです。
ゴルフでは、
飛ばしの技術や上達法がいつも話題になりますが
例えば
飛ばす人は、スイング理論Fで こういう打ち方をしている、
だから、
飛ばしたければスイング理論Fを実践すれば飛ぶようになる…
上手い人はスイング理論Gを実践して こういう打ち方をしている
だから、
上手くなりたければスイング理論Gを実践すればうまくなる…
ということが「必ずそうなるか?」
というと そうではない。
「スイング理論F」や「理論G」をまとめた人たちは、
自らの経験と、その理論(仮説)に適応するデータ(矛盾しないデータ)を集めて結論を導き出して相関関係を示そうとしているが、
そこには適合しない(仮説に矛盾する)データのほとんどを 無意識に排除して、理論(仮説)を構築していくものです。
つまり、一定の相関性はあるかもしれないが、
すべて矛盾なく因果関係をきちんと説明できるスイング理論(仮説)は ほとんどない とも言えます。
因果関係を説明できるものは、ボールとクラブヘッドの衝突の物理現象ぐらいです。(これも絶対ではないですが… )
ここ数年で、トラックマンなどの優れた計測機器の出現で、インパクト前後の状態を数値で確認できるようになってきています。
ところが、
人間がクラブを握り、人間がクラブを振ってボールとクラブフェースがどのようにコンタクトしたか、となってくると、
人間の要素が入ってくるのでナイスショットやミスショットの「原因」を特定すること(一つに絞ること)ができなくなり…
なんとなく相関性が存在しているような事象、例えば、力み過ぎ、軸のブレ、スイングテンポの速過ぎ などを説明はできるが、
「絶対これが原因だ」と特定できるか? といわれると、「そうだ」と言い切ることはできません。
一つじゃないことの方が多いのです。 大まかに 当てはまることもあるが、当てはまらないこともあるのです。
問題なのは
そもそも因果関係がなく 相関関係もないのに、権威ある人の話を聞いて、あるいは、偶然起きた経験を「思い込み」によって 因果関係があると信じている人は、上達を遅らせる(妨げる)ことが多くあります。
「結果が悪いのは、体のこの部分のスイング動作がいけないのが原因だ」と 原因(らしきこと)を 権威ある人から指摘されると、
「それを直さないとスイングが良くならないし、ショット(弾道)も良くならないし、それがスコアが悪くなる原因だ」 と信じ込んでいる(信じ込まされている)人は、なかなか上達しないで 伸び悩むことが多いのですが…
あるとき
私から見て、身体能力が優れていて、スイングスピードもそれなりにあり、きちんと当たった場合は とても良いショットが打てるのに、上達しない人を見ると残念になります。
例えば、「右に曲がるフェードボールを打ちたい」と希望を述べているのですが、構え(セットアップ)とクラブをグリップする両手の角度がフェードを打つ状態にセットできていないのに、ショットがフェードしないといって自分に不満をぶつけている、
前腕のローテーション(回旋)が、ダウンスイングの早い段階から左へ回旋し過ぎて、早い段階でフェースがかぶり、ボールに左回転がかかる状態でインパクトしているのに、このローテーションを抑える工夫をしない、
ほんの数球を試すだけで、上手くいかないと自分を責め(ちょっと腐り)また元の打ち方に戻してしまう。
どうしてそうするのか尋ねてみると、
「右ひじを曲げたままインパクトができないから…」
「右ひじが上手く使えてないから」
「右ひじが… 」と
また「右ひじ」を意識して練習を続け、結局、安定したショットが打てずに不満を抱えたまま練習を切り上げる…
う~ん、残念ですね。
「こだわり過ぎ」を起こしています。
「右ひじの使い方にこだわり過ぎ」て、ほかの大事なことが見えなくなっているのです。
ちょっと待ってください。
その「考え(こだわり)」は、誰から手に入れた「考え」ですか?
一度「そのこだわり」から離れてみると、違う景色が見えることがありますよ。
別の「考え」を参考にして試してみると、思いがけないブレイクスルーを起こし、突き抜けて上達することもあるのになぁ…
― ― ―
「ある問題(事象H)」が発生したときは、過去の経験から導き出された「解法(a)」があるとしましょう。
その「解法(a)」を使って問題を解こうと思ってチャレンジします。
すぐに正解を導き出せれば、その「解法(a)」は、問題(事象H)に対して合っていたといいます。
ところが正解がなかなか出ない、あるいは、望んでいる結果からは ほど遠いものになっているなら、その解法(a)は合っていないのです。
いったんその解法から離れて 問題は何かを再確認し、「別の解法(b)」を試すことです。
しばらくチャレンジして やはり望んだ結果にならなければ、また「別の解法(c)」に変えてチャレンジしていくことです。
この間、ずっと望んだ結果は出ていません。だからといって「自分はダメだ、上手くなれない」などと考えないことです。
腐ることもないのです。
つべこべ言わず
望む結果が出るまで、「様々な解法」を試してみることです。
「そのうち見つかるさ」と気楽に考えた方が スピードが早まるものなのです。
求める一つの答えを導くのに、問題の解き方はいくつもあるのです。
そうやっているうちに、
合わなかった解法のうち、以前は気づかなかったことでも、
解法を二つあるいは三つを組み合わせると、
上手く行く方法の発見につながることもあります。
最近伸び悩んでいる人、問題点で こだわっていることは何ですか?
その「こだわり」は、あなたの目標に到達するために、「絶対に大切なもの」でしょうか?
思い込みではありませんか?
その「こだわり」を 一旦わきに置いといて、自分のやり方を変えてみるのもありですよ。
でも、グリップと、方向取りと、セットアップ(構え)は大事ですよ。
See you next time !
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