おーい、丼
ちくま文庫編集部編
ちくま文庫


タイトル通り、丼にまつわるエッセイなどの文章を集めてある本です。
天丼、カツ丼、牛丼、親子丼、海鮮丼などそれぞれの丼に対していくつかの文章がまとめてあります。
天丼が最初に来るのが個人的には誇らしく思います。
その天丼の文章の中でワタシが特にグッときたのは種村季弘さんの文章「天どん物語 - 蒲田の天どん」。
以前読んだことのあるこの名文にここでまた出逢えるとは。
闇市で家庭教師で病院でポルノ映画館で最後は全てごちゃっと混沌となって地獄。
天丼に対する2つの「くたっ」「にったり」の秀逸なオノマトペにも感動ふたたび。
内田百閒先生の天丼への言及にに劣らない天丼への最高の賛辞。
憧れるなぁ。
小沢昭一さんの「”丼”旅行」ではなんと岡山の『だて』が出て来てビックリ。
ベンキョウになりました。
松本よしえさんの文章も『だて』に言及されております。
他にも『天茂』も出てくるしそう云うのを見つけた時の嬉しさもひとしお。
団伊玖磨さんの文章には名古屋の『八千代』が出てくるのですがこれは『八千代味清』さんと関係があるのかなと色々と考えたり。
コロンブスの卵丼、ポセイ丼、ミルク鰻丼、どんどん出て来ます。
短編ばかりなので軽く読めますが興味のポイントは無尽蔵。
小さな宝箱のような本です。
お正月にどうぞ。
ところで宝箱ならぬ宝丼ってのはあるのか。
探してみよう。