小野瀬雅生オフィシャルブログ「世界の涯で天丼を食らうの逆襲」by Ameba

食物漫遊記

種村季弘

ちくま文庫

 

稀代のエンサイクロペディストによる食にまつわる随筆集。

面白い話がいっぱいある中で私が取り上げますのは「天どん物語 -蒲田の天どん」。

ただの天丼賛辞ではないんです。

闇市で揚げ物を食べて悶死した友人。

外科のインターンの大根切り宣言。

日曜午後の凶悪犯の告白と懺悔。

ウイルス性急性肝炎。

3流ポルノ映画館。

こうやってキーワードだけ挙げていっても面白そうでしょ。

でも天丼への強い気持ちは本当に共感出来ます。

つまずいた出前丼の中にあったエビの尻尾を見て天丼を食べたくなる。

それ、とってもよくわかります。

「パリパリの揚げたてはいけない」

はい。

「タレがしみすぎてくたんとなったのを」

「前歯と舌の間に挟んで」

「にったり食いちぎる」

にったり。

ああ、それです。

にったり。

こんなに豊かな表現が、この本にはいっぱい詰まっています。

「人生は地獄だというのに、天どんを食えばうまい」

ウマイですね。

天丼を食べている時の至福感。

地獄ですら太刀打ち出来ないウマさ。

ああ、蒲田の天どん、食べてみたい。

そう云えば先日蒲田に行ったな。

天どんは食べなかったけれど。