観劇近況 | 人間の大野裕之

人間の大野裕之

映画『ミュジコフィリア』『葬式の名人』『太秦ライムライト』脚本・プロデューサー
『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』岩波書店 サントリー学芸賞受賞
日本チャップリン協会会長/劇団とっても便利

先週の東京滞在では打ち合わせの合間にたくさん舞台を見ました(あるいは、舞台の合間に打ち合わせをしたというべきか)。
まずは、歌舞伎座で忠臣蔵の七段目。白鸚さんの由良之助の大きさ、仁左衛門さん・玉三郎さんの平右衛門・お軽の名コンビを堪能。幕見でしたので、寒空の下2時間並んだのですが(その間に本を一冊読み終えた)、その甲斐がありました。
翌日は音楽劇『ライムライト』を上演していただいたシアタークリエで、2015年トニー賞のミュージカル『FUN HOME』を見せていただきました。レズビアンの漫画家が回想する家族の思い出。同性愛者でのちに自殺することになる葬儀屋の父親との関係を中心に。これはやられました。軽く嫉妬してしまいましたね。
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その晩に見た別の舞台についての感想は省略。
さて、ばったり旧知のプロデューサーと出会い、ご案内していただいたのが、ジャニーズの屋良朝幸さんの歌とダンスの舞台「Yonng Love Discotheque」。1時間半歌い踊り続けるエネルギーに圧倒されつつも、1970年代のディスコ・ナンバーから振り返る構成で楽しめました。にしても、客席に中年男性は僕だけでなんか申し訳ない気分でした笑
神楽坂の70人の小屋で、声優界の大御所・羽佐間道夫さんの泉鏡花の朗読劇にも行きました。ラストは圧巻。声優とは声のアクション俳優なのですね。小劇場ゆえチケットは5分で売り切れたそうですが、この濃密な空間でしかできないものでしょう。2013年の赤坂アクトシアター以来久々に、朴璐美さんにもご挨拶できました。
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舞台ではないのですが、ICCの坂本龍一さん+高谷史郎さんのインスタレーション『設置音楽2』は、やはり素晴らしすぎた。前衛的な音楽と映像のハイテックな空間の真ん中で、宮城県で被災した高校のピアノが時折音を奏でる。感覚が洗われました。
というわけで、歌舞伎・佳作ミュージカル・ディスコナンバー・泉鏡花・現代音楽/映像のインスタレーションと幅広く触れることができました。