非二元（ノンデュアリティ）の教えに関して一般的に生じやすい誤解（誤り）と、それに対する本質的な理解や対処法について、高木悠鼓氏の資料に基づき書かれています。
これらの誤解は、非二元の学びを始めたばかりの人や、一時的な「一瞥体験」を経験した人が陥りやすい傾向があります。
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ノンデュアリティの教えで生じやすい誤解と対処法
1. 誤解：目覚めることで特別な人間になる
多くの人が、目覚めや覚醒、悟りによって、現在の取るに足らない自分から、何か別な特別の人間になるのだという変身願望を抱きがちです。
• 対処法（本質）: 実際には、特別な人間になったり、変化したり、変身したりするわけではありません。そうではなく、本来の自分自身であること、それに気づくことが目覚めの本質です。これはエゴやマインドの世界にとっては面白みに欠けることかもしれません。
2. 誤解：目覚めとは神秘体験である
目覚めると神秘的な体験が起こる、あるいは神秘的な体験が起こることで目覚める、という誤解を持つ人が多くいます。神秘体験には、エクスタシーの状態になること、光や色が見えること、ビジョンが現実化すること、予知的なビジョンを見ることなどが含まれます。
• 対処法（本質）: 目覚めと神秘体験は必ずしもイコールではありません。指導的立場の人々の多くは、いわゆる神秘体験をしているうちは、まだ真の目覚めではないと述べています。神秘体験は幻想の世界（影の体験）に属するため、そういったものを超えていくことが重要です。また、一時の「一瞥体験」で終わってしまい、それが継続・確定しなければ、真の目覚め・覚醒とは言えません。
3. 誤解：悟りや目覚めがあれば、それ以後すべてがうまくいき、常に幸福で問題がなくなる
悟りや目覚めの経験が起こると、人としての人生において、いつも幸福で、問題がなくなるはずだ、という誤解です。
• 対処法（本質）: 悟ったからといって、現象としての問題や困難が一切なくなるわけではありません（例：ラマナ・マハルシが強盗に遭う、キリストが磔になるなど）。目覚めや悟りによって生じるのは、そういった現象が起こったとしても、一切頓着しなくなり、気にならなくなるという状態です。
4. 誤解・言い訳：深刻な問題をほったらかしにしておいていい／私は何も責任を負わない
「ありのままの私でOKなのだから、自分が持っている深刻な問題はほったらかしにしておいていい」「物事に対して誰にも責任がないのだから、私は何も責任を負わない」という誤解や言い訳です。この種の誤解は、一時的に非二元の概念に触れた人（一瞥体験が起こった人）に生じやすい傾向があります。
• 対処法（本質）: たとえすべてが幻想であるとしても、この現実生活を生きていく上では、現実的な手段で解決に取り組む必要があります。
• 特に、経済的な問題はきちんと解決しておくべきだと、ラメッシ・バルセカール（マハルシの弟子）のような覚醒者も説いています。経済的な問題があると、意識は日々の生活や食料の確保に向かってしまい、非二元どころではなくなってしまうためです。
• 「責任を負わない」というのは無責任に当たります。非二元の教えが現象世界に完全に当てはまるわけではないため、社会や自分の肉体などをないがしろにするのではなく、責任を負うべき時は負うことが大事です。
5. 誤解・言い訳：私はただ干渉しているだけで、目の前の人や状況と関わるべきではない
自分はただの観照者（観察者）であるという認識に固執し、目の前の人や状況に関わるべきではない、と考えてしまう傾向です。
• 対処法（本質）: 時と場合や状況次第によっては、当然、目の前の状況に関わる必要があります。目の前で人が倒れて苦しんでいるのに、ただ「私は観照しているだけだ」として何も行動しないのは、**「ただの無知」**や不適切な態度となってしまいます。行動が必要な時には行動することが重要です。
6. 誤解・言い訳：すべては神の意思だから、現状を変えることはできないし変えるべきではない
「すべては決まっている」「現状を変えることはできない」と決めつけてしまい、一切の行動や活動を止めてしまう考え方です。
• 対処法（本質）: 確かに根本的には非二元において「そうである」側面はありますが、現状を変えようと働きかけるという行動や活動が必要な時もあります。現状維持を肯定し、何も行動しないという姿勢は、**悪い意味でのニヒリズム（虚無主義）**になってしまうため、取り組むべきところはきっちりと取り組む必要があります。
これらの誤解や言い訳について、知識として知った上で注意を払うことが、非二元の学びにおいては非常に大切です。かつて特別な人間になるための「変身願望」を持ち、修行に励んでいた私自身も、その考えを手放し、本来の自分自身であることに気づくことこそが、ノンデュアリティの本質であると理解するに至りました。
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