
「親の家、空き家になりそう。」
「誰が管理していくんだろう…」
心のどこかで気になっている方も多いのではないでしょうか。
先日、わたしが開催した終活セミナーでも、
「実家を相続したけれど、どうすればいいのかわからない」
「空き家のままでいいのか、不安な気持ちがある」
という声が、寄せられていました。
実は、空き家をそのままにしておくと、固定資産税が高くなってしまったり、倒壊や火災のリスクが発生したりと、思っている以上に大きな問題に発展してしまうことがあります。
この記事では、空き家を放置することで起こる3つの主なリスクと、将来後悔しないために今できる対策を、わかりやすくお伝えしていきます。
「まだ大丈夫かな」と思っている今だからこそ、未来の自分と家族のために、一緒に考えてみませんか?
空き家を放置すると、何が起こるの?
空き家をそのままにしておくと、思っている以上にさまざまなリスクが発生します。
ここでは、代表的な3つのリスクについて詳しく見ていきましょう。
固定資産税が最大6倍に
空き家を放置すると、固定資産税が跳ね上がる可能性があります。
なぜなら、「特定空家等」に指定されると、住宅用地に適用されていた軽減措置が外れてしまい、税額が最大で約6倍になることもあるからです。
「特定空家」とは、倒壊の危険性や景観の悪化、衛生面での問題があると自治体が判断した物件のこと。
一度この指定を受けてしまうと、解除されるまでの間、税制上のメリットはなくなります。
つまり、「まだ使ってないけど、とりあえずそのまま…」の状態が、気づかないうちに家計に大きな負担を生む原因になってしまいます。
※これは、住宅用地に適用されていた固定資産税の軽減措置(1/6)が、「特定空家等」に指定されることで解除され、結果的に税額が最大6倍になることもあるという仕組みによるものです。
詳しくは、以下の国土交通省や総務省の資料をご参照ください。
⬇️
国土交通省:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
火災や倒壊など、安全面のリスク
空き家を長期間放置していると、建物の劣化が進み、安全面で深刻な問題が起きる可能性があります。
たとえば老朽化によって、台風や地震などの自然災害で屋根や外壁が崩れるリスクが高まるんですね。
さらに、誰も住んでいない状態が続くことで、放火や不審火による火災の危険性も上がるといわれています。
また、外壁や屋根の一部が剥がれて通行人にケガを負わせてしまったり、隣家や車を損傷させるような事故につながるケースも。
このような事態では、建物の所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。
「うちは大丈夫」と思っていても、時とともに建物は確実に傷んでいきます。
何もせずに放置してしまうことが、思わぬトラブルの引き金になるかもしれません。
近隣トラブルや不法侵入の可能性も
空き家を放置することで、周囲との人間関係や地域の安全にも悪影響が出る可能性があります。
たとえば、庭の雑草が伸び放題になったり、郵便物が溜まったままだったりすると、
見た目の印象が悪くなるだけでなく、「管理されていない家」として目立ってしまいます。
その結果、不法投棄の対象になったり、空き巣や不審者の侵入を招いたりと、
治安の悪化につながることも少なくありません。
さらに、景観の悪化や虫の発生などが原因で、ご近所との関係がギクシャクしてしまうこともあります。
実際に、「空き家のことで苦情を受けた」「近隣トラブルに発展した」という相談も増えているようです。
自分では気づかなくても、「迷惑をかけているかもしれない」という視点で考えることも大切。
空き家の管理は、地域との信頼関係を守るためのマナーでもあるのです。

実際に起きている“空き家トラブル”の事例
空き家を放置するリスクについてはイメージできても、「実際にそんなトラブルってあるの?」と思われる方がいるかもしれません。
ここでは、実際に報道された事例や行政に寄せられている相談内容をもとに、空き家放置が引き起こすリアルなトラブルをいくつかご紹介します。
事例①:屋根瓦が落下、通行人がけが
ある自治体では、老朽化した空き家の屋根瓦が風で飛ばされ、歩道を歩いていた通行人に当たり、所有者が損害賠償を求められたというケースがありました。
このように、建物の一部が事故の原因になることは、他人事ではありません。
特に築年数が経っている家ほど、早めの対策が求められます。
事例②:ごみの不法投棄で衛生環境が悪化
「空き家の前に、知らない人がゴミを捨てていく」
そんな相談が自治体に多数寄せられています。
人の出入りがない家は「管理されていない」と見なされ、不法投棄や悪質ないたずらの対象になりやすくなるのです。
その結果、悪臭や害虫発生といった二次被害にまで発展するケースも。
事例③:空き家が放火のターゲットに
消防庁のデータによれば、放火火災の多くは無人の建物で発生。
特に深夜や人目の少ない場所にある空き家は、放火のターゲットにされやすいとされています。
一度火災が起これば、自宅だけでなく周囲の家や人にまで被害が及ぶこともあり、
被害額も責任も大きくなるため、対策は早いに越したことはありません。
放置する前にできる3つの選択肢
「空き家をこのままにしておくのは不安だけど、何から始めたらいいかわからない…」
そう感じている方に向けて、ここではすぐに検討できる3つの選択肢をご紹介します。
ひとりで抱え込まず、「できるところから少しずつ」で大丈夫。あなたに合った方法を、選んでいきましょう。
選択肢①:空き家バンクなどを活用して譲渡・売却
自治体や民間が運営する「空き家バンク」では、空き家の情報を登録し、譲渡や売却につなげることができます。
近年は「安くてもいいから活用したい」という人も多く、リフォーム前提で購入を検討する若者や移住希望者も増えています。
地域によっては、登録や売却にかかるサポート制度や補助金がある場合も。
まずはお住まいの自治体の空き家バンクをチェックしてみるのがおすすめです。
空き家・空き地バンク総合情報ページ
選択肢②:賃貸として貸し出す・管理会社に委託する
すぐに手放す決断ができない場合は、賃貸として貸し出すという方法もご検討ください。
住む人がいれば家の傷みを防ぐことができ、家賃収入につながる可能性もあります。
また最近では、物件を定期的に見守ってくれる「空き家管理サービス」を利用する方も増えてきました。
遠方に住んでいても、清掃や点検などがプロの手で行われるため、放置によるリスクを大きく減らすことが可能です。
「まだ手放す気持ちにはなれないけど、何とかしなきゃ…」
そんな想いを抱えている方にとって、空き家管理サービスは安心を得る選択肢のひとつになることでしょう。
選択肢③:解体して土地として活用する
建物が老朽化していて、住む予定もない…
そんな場合は、空き家を解体して更地にするという選択肢もあります。
一見ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、解体することで家としてのリスクをなくすだけでなく、土地としての活用や売却がしやすくなるというメリットもあります。
たとえば👇
また、自治体によっては空き家の解体費用に補助金が出ることもあります。
「費用が心配で解体に踏み出せない…」という方は、市区町村の窓口やホームページで確認してみると良いでしょう。
どの方法がベストかは、それぞれの家族や状況によって異なります。
大切なのは「どうしよう…」と抱え込まずに、行動の選択肢があることを知ること。
自分らしい向き合い方を、少しずつ見つけていきましょう。

終活の一環として「空き家」と向き合うという選択
空き家の問題は、単なる不動産の話ではなく、これからの人生や、大切な人たちとのつながりを考えるきっかけにもなります。
親の家をどうするか。
今すぐ答えを出す必要はないけれど、「いつか」ではなく「そろそろ」考えるタイミングに来ているのかもしれません。
先日開催した終活セミナーでも、
「モノやお金の整理はもちろん、“家”のことが気になっている」
という声が多く寄せられました。
それはきっと、家という場所が、思い出やつながりと深く結びついているから。
だからこそ手放す・売るといった選択に踏み出せない気持ちも、ごく自然なことです。
大切なのは、無理に決めることではなく、自分のペースで向き合っていくこと。
空き家と向き合うことは、これからをどう生きるか、自分らしく暮らすための終活のひとつのステップなのかもしれません。

まとめ|“まだ大丈夫”と思っている今が、動きどき
「親の家、空き家のままで大丈夫かな…」
そんなふうに感じている今こそが、行動を始めるチャンスかもしれません。
空き家を放置すると、
・固定資産税が高くなる
・火災や倒壊のリスクがある
・近隣トラブルや人との関係にも影響が出る
など、想像以上に多くの問題を引き起こすことがあります。
でも、すぐに答えを出さなくても大丈夫。
この記事でご紹介したように、譲渡・賃貸・解体といった選択肢はたくさんあります。
「何もしない」よりも、「ちょっと調べてみる」「誰かに相談してみる」
そんな小さな一歩で、未来の安心につながることもきっとあるはずです。
空き家と向き合うことは、自分らしい終活のひとつ。
あなた自身の大切な時間と心を守るために、 今できることから始めてみませんか?
そしてもし、どこから手をつけていいか迷っているなら──
わたしの経営している、不動産コンサルティング会社「OnlyWoman」へ、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの想いや状況に寄り添いながら、不動産や終活の専門家のわたしが丁寧にアドバイスをいたします。
また、終活についてより深く知りたい方には、セミナーへの参加もおすすめです。
同じような悩みを持つ女性たちとともに、未来を前向きに考えるヒントがきっと見つかるはずです。
あなたにお会いできるのを楽しみにしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。