皆様

 

高倉です。1月ももうおしまいですね。早い早い!

さすがは真冬。列島には大寒波が襲来していますが、皆様ご安全に過ごておられますか? 今のところ東京はひどい降雪とか大きな交通障害などはないようです。

25日(水)にお仕事で仙台に赴いたのですが、その日は新幹線が20分遅れてちょっとヒヤリとしました。杜の都仙台も白一色に染まっておりました。幻想的でもありました。仙台の先生方、お世話になりました。楽しい時間をありがとうございました!

そう、22日(日)は、広島でリトミックの会、そして音楽授業ラボラトリー研究会in広島を行いました。これまた底冷えする日でしたね。広島の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。

 

さて、お知らせです。来たる2月11日(土)〜12日(日)は、本校筑波大学附属小学校の2月恒例「学習公開・初等教育研修会」が開催されます。

3年ぶりとなる対面(一部)での開催となります。一部対面ということは、残りはオンラインということになります。つまりハイブリッド。

 

音楽部の分科会は12日(日)に行われます。その日は、午前中、笠原先生と平野先生のオンラインによる授業公開があります。午後は、音楽部の提案授業として、不肖高倉が5年生の「剣の舞」(ハチャトゥリアン)の授業を対面で公開いたします。鑑賞の授業です。これは、オンラインによる配信はありません。著作権の関係です。申し訳ありません。

 

今回は、密を避けるために広い会場での授業公開を予定しています。そのため、まだ席に余裕があるようです。もし、対面での参観をご希望の方がありましたら、以下よりお申し込みいただけます。

 

 

「剣の舞」の鑑賞授業を研究会で初めて公開したのは、同じく2月の研修会ででした。もう17年も前のことです。当時は〔共通事項〕が学習指導要領に登場して間もない頃でした。子どもに音楽を聴かせるときに、シャープに音楽を形づくっている要素に着目させることでどの子も授業のねらいに向かっていくことができる……、そのことがとても新鮮に感じられる時期でした。今となっては当たり前のことですが^^;

 

17年前の授業では、歌遊びを通して「合いの手」の概念を子どもと共有したのちに、「剣の舞」を聴かせ、「合いの手」を聴き取るという授業の内容でした。「合いの手」にフォーカスさせれば、自ずとABAの三部形式に気付くことにつながります。

さらに、前々時から常時活動でやっていた「黒鍵による即興演奏」とつなげて、「剣の舞」の最後に出てくる5音音階にも気付き、CD音源と5音音階の共演を鉄琴で行うという授業の建て付けでした。

さらにさらに、本時では扱う時間はなかったのですが、曲の途中で一か所だけ現れる「変拍子」のリズムにも気付かせることも行いました。

以上、1曲の中で4つの聴きどころ、いや聴かせどころを用意したわけです。

その際、「合いの手」を聴き取ったらその場に「立つ」という活動も、おそらくこのとき初めて取り入れ、公開したのだと記憶しています。

 

今となっては、「剣の舞」を鑑賞する際の学習内容、そして方法は、ごく一般的なものになってきました。これはありがたいというか、嬉しいことです。教科書(教育出版)にも掲載されている教材となっています。

 

では、今回の授業はどこか変わるのか? あるいはこれ以外の切り口で聴かせるのか? と疑問に思われる方もあろうかと思います。

ん〜〜、ある意味難しいかもしれません。でも挑戦する価値があるとも思っています。

今、うちの学校では「『美意識』を育てる」というテーマで校内研究を進めています。4年間の研究も今年が最終年度です。このテーマは不肖高倉が研究企画部長として創出し表向き推進に当たっています。しかし、研究企画部長としての役割は、このテーマを考えて提案したところまでで、後の推進は企画部のメンバーを中心とした本校の教員たちに委ねられていると実感します。「一を知って十を知る」の如く、うちのメンバーのすごいのは、「美意識」のテーマを聞いて、各教科部でどんどん新しい発想で授業を作り出し、理論を構築し始めるんです。

我が音楽部は、平野先生が主任であり研究企画部のメンバーですが、それはそれはすごい勢いで研究を進めてくれています。

これはすごいことです。ホントに「企画部長いらず^^;」のうちの学校なんですよ。

ありがたいことです。

 

で、話は逸れましたが、「美意識」研究で大切にしている授業構築のあり方があります。それは「子どもの『みえ方』から授業をつくる」という教師の構えです。

「見方・考え方」という概念がありますが、「見方」に至る前の、子どもの素朴な「教材の『みえ方』」というものがあるんじゃないか。そこから「見方」へと昇華させていく過程を大切にすることで、上位下達ではなく、子どもたちが自分たちで獲得するその教科独自の見方が身につくのではないか、という仮説を立てたわけです。

 

そこで、今回の「剣の舞」の授業は、こちらから「聴きどころ」を最初に示すのではなく、まずはあの音楽が子どもにはどのように「聴こえているのか」ということを大切に授業を進めたいと考えているところです。

そのとき、これまでの学習経験、既習が役に立つかもしれません。「あれ? これって●●のときに授業でやった▲▲と関係あるんじゃないのかな?」という発言が飛び出すことも期待するところです。

「聴かせどころ」ではなく「聴きどころ」を子どもたちと私とで探っていく、そんな授業にしていきたいと考えています。

そして音楽の学びが「剣の舞」の一点で終わることなく、ちゃんと前の学習から線でつながること、そしてその後の学習につながっていくことが大切かと思っているところです。

 

「美意識」研究は、同時に文部科学省の研究開発の指定も受けています。次の代の学習指導要領はどうあれば良いか、というカリキュラム開発を実験的に行なっているわけです。こちらの研究は残り1年となりまして、音楽部では「知識のつながり」ということにかなり重点を置いて実践的・理論的研究を進めてきました。

「深い学び」を実現するためには一つの題材を深掘りするための時間が必要であること。そのためには教科書をすべて消化するのではなく、厳選した題材、教材に絞る必要があることも見えてきたところです。そのとき、「知識のつながり」による時間の効率化、学習の積み上げも必須条件となります。

 

このような視座で「剣の舞」の授業をもう一度見直したいというのが、私の考えです。さて、本時の授業はどうなることやら、ドキドキハラハラではありますが。

対面でご覧いただけたら幸いです。そして忌憚のないご意見をいただきたいと思っています。

 

ところで、音楽部の研修テーマがあります。

それは「子どもの「みえ方」を中心に据えたカリキュラムデザインと教科書教材 ーカリキュラム・オーバーロードの改善を見据えてー 」です。講師は石井ゆきこ先生(東京都港区立芝小学校)です。こちらもカリキュラムを問題として取り上げます。オーバーロードが問題視されている今の日本の教育界ですが、音楽科におけるその問題と教科書との関係をテーマに、学習指導要領や教科書づくりにも深く関わってこられている石井先生に論じていただき、本校音楽部教員と討議したいと思っています。もちろん対面でご参加の先生方、オンラインでご参加の先生方ともです。

 

2月7日まで申し込みが可能です。ぜひ、おいでください。

https://www.elementary-s.tsukuba.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/2022kenkyuukai_2gatsu_mousikomi_honban.pdf

 

1月25日の仙台市内中心部(欅並木)の様子

 

◆2月25日(土)午前、名古屋音楽学校を会場に、教科書(教科書会社を問いません)掲載の教材をどのように料理して授業を展開するか…というワークショップを行います。不肖高倉が講師を務めます。ご興味のある方はぜひおいでください。2月22日まで申し込みを受け付けています。どちらの教科書をお使いの方もぜひお集まりください。どちらの教科書にも掲載されている教材曲を扱います!

 

 

◆6月24日(土)、京都にて音楽授業ラボラトリー研究会を開催します。追って詳細をお知らせいたします。

 

◆音楽授業ラボラトリー研究会では、オンライン講座も開講しております。2月からも企画を進めます。このブログで開催告知をいたしますので、どうぞご覧ください。

 

あなたの街で、音楽授業ラボラトリー研究会を開きませんか? ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。dalcroze2000@yahoo.co.jp

これは、コロナ前に行なっていたNEW DESTINATION企画の一環です。まだラボがお邪魔したことのない地区、あるいは高倉がお邪魔したことのない地区を優先してラボを開くという企画です。集まる人数などをご心配いただかなくとも、ラボから半ば押しかけていくというもの。お気軽にお声がけください。

まだお仕事でお邪魔したことのない県、奈良、大分、宮崎、岡山、徳島の先生方、ぜひご検討ください。