みなさま

 

高倉です。いよいよ全国各地で学校が再開されつつありますね。

本校(@東京)は、6月1日の再開を目指し、目下準備に追われているところです。皆さんの地域ではいかがですか?

 

本校の場合、再開から2週間は1日に1学年ずつの登校(午前のみ)を計画しています。月曜は◯年生だけ、火曜は△年生、という感じですね。公共交通機関を使っての通学児童が半数以上と多いので、そこもケアしながらの分散登校の試みです。

 

「試み」と書きましたが、まさに試みです。うちの学校の場合は、どうすることがベストか? いや、ベストなんてわからないし、いくらでもある。最善のベターを目指して議論しよう!という毎日です。結構議論しています。何枚提案のための文書を書いたことでしょう。いや数十枚に達しているかな?

 

誰も正解を知らない。だからみんなで考えて、ベターを試みる。これあるのみ。

幸か不幸か、本校は東京都や文京区の教育委員会と直結していません。

学校の設置者が都でも区でもない、大学だからです。

大学の附属と言っても「小学校」は本校のみ。つまり中学とも高校とも特別支援ともやり方が違う。だから、自分たちで考えることが大切になってくるのです。それだけに、慎重に議論する必要もあります。やや激論になることも……。

そんなこんなで、6月を迎える準備が少しずつ、でも着実に進んできているという日々です。

 

さて、今日は「リコーダーを吹いていいの?」問題を取り上げます。

 

自治体によって「歌ってはいけない」「吹奏楽器を演奏してはいけない」ということになっていたり、「ハミングなら良い」「心の中で歌う」などの措置を取っている地域もあるようです。

 

本校に歌の専門の先生がいらして、彼がコロナ流行当初から「合唱は一番危ないことです!」と言っていました。「息を大きく吸って、肺に自分の周りの空気を取り入れることを求める」「近くの人と一緒にそれをやる」というのはもっとも感染率が上がる、これは歌の世界では常識であるとのこと。

 

多分、同じ理由でリコーダー演奏も望ましくない、という結論になるのでしょう。

事実、3月下旬に東京都の教育委員会では、そのような「お触れ」を出しています。

 

私も「うん、そうだよなぁ」と納得していましたし、今もどちらかというと、怖くて6月になってもすぐに「リコーダーを吹きましょう!」というのは、正直ちょっと気がひけます。

しかし、

これに異を唱える先生がいます。

これまでも一緒にお仕事をさせていただいてきている校長先生です。

校長先生曰く……、

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜以下、校長先生からのメールより〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

再開にあたり、リコーダー演奏時に飛沫が発生するかどうかを調べております。
3月26日「東京都教育委員会は•都立学校版 感染症予防ガイドライン(新型コロナウイルス感染症)」の中で
(4)感染症対策に留意した各教科等の指導
 ウ (例)の中で
・音楽においては、歌唱の活動や管楽器(リコーダー等)を用いる活動は行わないとしております。
しかし、
5月1日の文部科学省の通知には
(2)感染のリスクが高いと考える活動の取り扱いについて
・音楽科における狭い空間や密閉状態での歌唱指導や身体の接触を伴う活動

とされ、リコーダーは記載されていません。

先日、トヤマ楽器が実験を自社工場を行いました。その中間結果が本日出ました。
結論からすると飛沫は出ないことがわかりました。

5月21日本実験を行います。その際、歌唱活動における飛沫の有無も実験していただけるとのことです。
情報は提供していただけるとのことです。
結果はトヤマ楽器あるいは全日本リコーダー教育研究会からHP等で配信されると思います。
分かり次第皆さんにも状況を伝えます。
ですから鍵盤ハーモニカも含めて、楽器の扱い方を留意し、吹き口や鍵盤等を消毒することで感染は防げると考えます。

今不安感いっぱいな子どもたちを救える教科の一つが音楽科だと思います。
豊かな心を育てる音楽教育です。
歌って終わり、演奏して終わりにならないように
身に付けたい資質・能力をしっかりととらえながら授業を進めることが大切です。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜以上、校長先生からのお言葉〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ということです。

「正解は誰も知らない」と書きましたが、「正解」を求めようと動いていらっしゃる校長先生。真理を求めようとする姿勢に頭が下がります。

「長い物には巻かれろ」とは言ったもので、私なんぞは「◯◯が言っているんだから間違いないだろう」とすぐに思ってしまいます。盲信というやつです。

 

でも、校長先生は「疑問」をもってらっしゃるわけですね。「本当か?」って。

これがとても大事なことだと思います。

「思い」があるのですね。最善のベターが本当は他にもあるんじゃないか?って。

 

ちょっと変ですね、「最善のベター」という言い方。

「突き詰めて考えたり、実験したりして、この時点での最善を!」ということですかね。(ふと口から出た言葉というか、指から出た言葉です(^^;;)

 

雰囲気に流されるのが上手な我が国民の性質ではあります。が、その雰囲気には科学的根拠があるのか?という視点は、当然現代社会では必要です。そして求めるべきだと思います。エビデンスを、です。もちろん、数値で測ることのできないものはあります。感性とか美意識とか、私が普段大切だと思っている多くのものはそうです。

しかし、数値で測るからわかることもまた多いですし、真理の一つですね。

 

校長先生が仰る実験が昨日行われたはずです。その結果を注視したいと思います。

このブログを読んでいらっしゃる先生方もぜひご一緒に注目しましょう!

 

もちろん、たとえ飛沫が飛ばないという結果が出たとしても、「雰囲気」も実はこの国では大事ですから、ご自分の学校、地域を動かすことは大きなエネルギーがいることでしょう。そこは上手に、エビデンスと雰囲気の狭間、そしてあらゆる対策を講じたうえで最善のベターを目指すことになろうかと思います。

 

世界が初めて遭遇するウィルスとの闘い。焦ることは全くないと思います。だからと言って、可能性を探らない、考えない、というのももったいないのではないでしょうか。

 

今回のリコーダー、あるいは歌唱に関わる実験、その試みに敬意を表します。

校長先生、貴重な情報をありがとうございました。

 

先生方も、この先もどうぞ安全にお過ごしを。